三井物産、企業向け電力小売りに参入
【中川透】三井物産は9月から、企業向けの電力小売り事業に参入する方針を固めた。発送電分離など電力改革が今後進むのをにらみ、発電から小売りまでを手がける態勢を整える。大手商社は今まで海外の電力事業に力を入れてきたが、経験を生かして国内でも強化する動きを広げている。
三井物産は、企業向けの小売事業者「新電力」の届け出を経済産業省にすでに出しており、売電先の交渉を進めている。風力や太陽光の発電所の建設も、愛知県や鳥取県などで始めた。小売りへの参入で、発電から小売りまでのサービスを一貫して提供する。
海外で三井は、原発6基分の約600万キロワット分の発電所を持ち、地元の政府系電力会社などに電気を売っている。国内では、昨年7月に自然エネルギーの固定価格買い取り制度が始まったのを機に、電力事業を強化。政府が発送電分離や電力自由化を今後進める方針のため、小売りの商機も広がる、と判断した。
政府は6月にまとめた成長戦略で、電力制度改革を進めてエネルギー産業を育てる方針を掲げた。電力以外の異業種から新規参入を増やしたり、サービスの融合を進めたりして、競争を進める。商社のほか、NTTやソフトバンクなど通信各社も電力事業を広げている。
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