ソニーがアルミ二次電池向け新型電解液を開発

2012-11-09 11:00:43 | 技術

ソニー先端マテリアル研究所は、次世代二次電池の一種「アルミニウム二次電池=用語参照」向けの新たな電解液を開発した。25度Cの室温で、二次電池に不可欠な可逆反応を繰り返せることを確認した。これまでは70度Cの高温にしたり、反応性が高い電解液を使ったりする必要があった。リチウムイオン電池より2―4倍のエネルギーを蓄えられると期待されている同タイプの二次電池の実用化に一歩近づいた。
 


 アルミニウムの酸化状態は非常に安定しているため、アルミニウム金属がアルミニウムイオンになって溶け出したり、イオンから金属に戻って析出したりする、二次電池に不可欠な可逆的な反応を起こすには、反応性が高いイオン液体を電解液に使ったり、高温にしたりする必要があった。
 


 今回、硫黄と酸素を含むスルホン系の有機化合物を溶媒としたアルミニウム電解液を使い、電解液の粘性やアルミニウムの濃度を最適化することで、25度Cで可逆反応を起こすことに成功した。
 


 今回開発したスルホン系溶媒は、電池のパッケージに使うステンレス素材を腐食しない。このため、基礎研究段階で必要になるコインタイプの試作電池が作れるようになり、研究開発が進めやすくなるという。現在、アルミニウム二次電池向けの正極材料を探索している。
 


 【用語】アルミニウム二次電池=負極にアルミニウム金属を用いるタイプの二次電池。アルミニウム金属の容量は、1リットルあたり8000アンぺア時で、現行のリチウムイオン電池で利用されているグラファイトと比べ10倍、研究段階にあるリチウム金属と比べ4倍と大きい。アルミニウムイオンは3価の陽イオンで、1価のリチウムよりも多くの電子を授受できるため。ソニーによれば電池全体としてのエネルギー密度は、現行のリチウムイオン電池の2―4倍に相当する1キログラムあたり450ワット時にのぼる。アルミニウムは資源量が豊富で材料コストが抑えられる可能性もあるが、まだ正極や電解液を探索する基礎研究の段階にある。



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