石川県 太陽の光と熱で温室栽培

2014-04-10 23:01:32 | 自然エネルギー

小松・木場潟でスマート農業 太陽の光と熱で温室栽培

県内で、太陽エネルギーを農業に利用する取り組みが本格化する。焼却炉メーカーのア クトリー(白山市)と東大先端科学技術研究センター、県工業試験場が、共同開発した新 たな太陽発電システムを使い、野菜を温室栽培する全国初の実証実験を小松市の木場潟で 開始した。暖房に重油を使う従来の温室栽培よりも光熱費、管理の手間が減り、収穫でき る期間は長くなる。県は「石川発のスマート農業」(産業政策課)として事業化を支援す る。
 事業は昨年10月、県から東大先端研との共同研究支援の第1号に採択され、研究が進 められてきた。

 新たな発電システムは、太陽光だけではなく熱も利用できるのが特長。従来の太陽光発 電では日射量が強すぎるとかえって発電量が落ちるが、県工試などが熱エネルギーを電気 エネルギーに直接変換する装置を開発したことで、「邪魔者」だった熱を活用した効率的 な発電が可能になった。

 実証実験はメガソーラー発電を手掛けるウイビリーブ(小松市)とJA小松市、本田農 園(同市)が協力して先月初旬にスタート。発電装置横に建てられた45平方メートルの 温室にトマトの苗木約50本が植えられた。

 通常、県内でトマトを温室栽培する場合よりも3週間ほど早い植栽だが、苗木はすでに 高さ1メートルほどに育ち、枝には青いトマトが鈴なりに実っている。アクトリーの担当 者は「大型連休明けには収穫できそうだ」と順調な生育を喜ぶ。

 温室内では発電装置から送られる電気が照明に使われているほか、室温に応じて水やり や肥料の量、天窓の開閉を自動制御するシステムが作動し、栽培にかかる人的負担を軽減 する。余った太陽熱で作った温水が24時間循環して空気を暖めており、夜間も室温が下 がらないため、収穫時期を延ばすことが可能になる。夏場はヒートポンプ技術を利用して 、太陽熱から冷風を作り出すという。

 県やアクトリーなどは10月までの実験結果を見極める。2020年にはスマート農業 システムとしての販売を開始したい考えだ。JAなどを対象に年間1億円の売り上げを目 標とする。

 県産業政策課の担当者は「地元企業の技術と東大先端研の知見を融合し、これからの石 川の農業を支える事業の一つとしたい」と話した。



コメントを投稿