住宅向け太陽熱利用システムに補助金
クール・ネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター)は、集合住宅等太陽熱導入促進事業における「平成27年度 新たな施工技術等を含む太陽熱利用システム」について、認定結果を公表した。
この事業は、新規性や先進性のある施工方法・機器に関する技術や工夫(=新たな施工技術)がなされた太陽熱利用システムを募集し、採択されたシステムを都内の新築住宅に設置する住宅供給事業者に対して、その経費の一部を補助するもの。今年が最後であり、来年度は募集されない。
■集合住宅用太陽熱利用システム
大和ハウス工業(大阪府大阪市)と日比谷総合設備(東京都港区)。
採択されたシステムは「太陽光ハイブリットシステム」で、太陽光発電パネルと太陽集熱器とを一体的に成形した開発パネル「太陽光・太陽熱ハイブリッドパネル」を使用するもの。太陽光発電で発電した後の熱(太陽熱)を、ガス給湯器やコージェネ排熱で約60℃まで加温し、寮の大浴場などで給湯利用するシステム。
発電・熱取得併用のパネルとなっているため、屋上の限られた設置スペースを有効活用できる。
太陽光発電で発電した後の排熱は、太陽光発電パネル裏面のバックボードに取付けたフラット型のマイクロヒートパイプで熱搬送され、太陽熱集熱管内を通る給水に熱が伝えられる仕組み。また、太陽光発電から熱を奪うため発熱による発電効率の低下も抑えられる。
オプションで、災害や停電時への対応として設置するコージェネレーションを常用電源として活用し、その発電・排熱を太陽熱利用システムの配管を活用して供給することができる。
■戸建住宅用太陽熱利用システム
日本熱源システム(東京都新宿区)。
採択されたシステムは「太陽熱集熱器家庭用給湯システム」で、ヒートパイプ真空管式の太陽熱集熱器で集めた太陽熱を貯湯タンクに蓄熱し、その温水を給湯利用するシステム。給湯温度の調整はソーラー接続器とガス給湯器によって行なわれる。
新たな施工技術として、ヒートパイプと集熱板が真空管に覆われており、外気との熱伝導を遮断し、冬期でも集熱部の温度が下がらずに温水が取れ、集熱効率60%以上を発揮する。真空管を回すことで集熱版の角度調節が可能で、屋根だけでなく、壁やベランダ手すりなどにも取り付けできる。
また、ウレタンフォーム100mmの断熱材を施した大型の蓄熱槽(300L、400L、500L)を使用し、太陽熱の変動を緩和しつつ放熱ロスを抑える。高温の太陽熱が貯湯タンクに蓄熱されている場合には、ソーラー接続器により冷水を混ぜ、設定温度に温度調整できる。なお、集熱配管の腐食等については、集熱回路を密閉配管にすることでリスクを抑えた。