外来医療費の上限上げへ 70歳以上、厚労省が検討

2014-08-31 17:26:39 | 政治

外来医療費の上限上げへ 70歳以上、厚労省が検討

産経新聞 8月31日(日)7時55分配信

 厚生労働省が、医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度について、70歳以上の外来医療費の上限を引き上げる方向で検討に入ったことが30日、分かった。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で近く議論を始める。

 現在、70歳以上の外来医療費の毎月の負担上限額は、年収370万円以上の場合は4万4400円、370万円未満は1万2千円、住民税非課税の低所得者は8千円となっている。70歳未満(上限額3万5400~15万円)に比べると大幅に優遇されており、増え続ける医療費を抑制するためには、高齢者にも支払い能力に応じた負担を求めるべきだと判断した。

 上げ幅は、入院を含めた上限額に近づける案が有力だ。同額まで引き上げた場合、年収370万円以上の人は8万100円、370万円未満の人は4万4400円まで上限額が上がることになる。

 低所得者に関しては、現行の8千円が据え置かれる公算が大きい。

 ただ、引き上げに対する高齢者の反発は必至で、統一地方選を来春に控えた与党内にも、「世論の地ならしが必要」(自民党幹部)との慎重論がある。

医療費の自己負担は年齢じゃなく年収にすべきです

 


アベノミクス3本の矢、いまだ的中せず 土建屋にばら撒くだけ

2014-08-31 10:49:41 | 政治

人手不足は自民党の取り巻きの土建屋だけ

アベノミクス3本の矢、いまだ的中せず

2014/8/28 14:35
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 8月中旬のお盆の時期、日本の人々は故郷に帰って祖先の霊に敬意を表する。お正月は将来に目を向けるのに対し、お盆は過去をじっくり振り返る時だ。今年のお盆は、目標に向かって突き進むことがいかに難しいかを改めて思い起こすことになった。

 4~6月期の国内総生産(GDP)は6.8%のマイナス成長となり、市場予想を大幅に下回った。純輸出はプラスだったが、輸入が減ったことが原因で、輸出が特に堅調だったわけではない。香港の証券会社CLSAのデータによると、実質ベースの輸出は2008年のピーク時を16%下回っている。

 

 安倍晋三首相の「3本の矢」は明らかに的を外している。理由はそもそも矢が3本ないことで、あるのはたった1本、通貨の下落のみだ。

 これは過去には常に有効な公式だった。円安がかつては日本の電子製品や自動車の輸出を加速させたからだ。だが今日、もはやそうした効果はない。

■構造改革の約束を果たさない首相

 日本の製造業は生産拠点の多くを海外に移転させており、今後もその流れは続くだろう。国内の燃料費が福島第1原発事故が発生する以前から高騰しているためだ。円安が進むと、輸入燃料の代金はさらに上昇し続けるだろう。CLSAは今後2年で、アジアの他の諸国における自動車生産が日本の生産台数を上回る可能性があるとみている。

 さらに重要なのは、日本の製造業が優位性を失ったことだ。6月の鉱工業生産は前月比3.3%減となり、ピークだった1月を6.9%下回った。データを解析するとさらに厳しい現実が浮かび上がる。日銀の元職員であるJPモルガンの東京在勤チーフエコノミスト、菅野雅明氏によると、今年6月の情報・通信機器の生産は10年の平均値に比べて44%低下し、薄型テレビは97%、携帯電話は71%も減ったという。

 通貨安に頼ることの問題点は、メーカーに人工的で一時的な追い風をもたらすことだ。一方で、菅野氏が指摘するように、日本製品を好んでいた日本の消費者も(ついに!)魅力を感じなくなり始めている。

 加えて、安倍氏は抜本的な構造改革に取り組むという約束を果たさず、日本企業で働く労働者の賃金が上昇しないため、内需へのシフトは起きなかった。実際、現金給与総額は5月だけで3.8%下落した。

 アベノミクスの欠点が露呈するにつれ、この数カ月で日本株は、運用成績が最もすぐれた資産クラスの一つから、最も低迷する部類へと転落した。日銀の黒田東彦総裁は安倍氏のチアリーダーという立場から、白川方明前総裁にそっくりな印象に変わってきた。白川氏は金融政策だけでは力強い持続可能な成長を促進することはできないという見解だった。さらに日銀は、弱含みの輸出見通しを受け、15年3月期通期の成長見通しを1%に下方修正した(それでも菅野氏の予想する0.6%よりはずっと楽観的だが)。

■株式市場の買い材料が変化

 そのため、東京株式市場の買い材料も変化している。当初はアベノミクスとマクロ経済要因が日本株を支えていたが、その後、巨額の政府年金基金の動きを先読みし、日本国債の購入から(それは日銀が引き継いだ)国内株式へと資産配分の比重が移ってきた。

 直近ではコーポレートガバナンス(企業統治)の向上が正当化の説明に使われているようだ。法人減税案が打ち出され、自社株買い入れなど表面的な動きはあるものの、これもいずれは中身がないと判明するだろう。東証株価指数(TOPIX)を構成する日本企業の自己資本利益率(ROE)は約8.5%で、欧米企業に比べるとはるかに低い。

 現在の政策で確かに利益を得る者はいる。欧米の金融政策と同様、実体経済がほとんど成長しなくても、金融緩和のおかげで金融資産の価格は上昇し続け、日本の資産保有者や借入金を活用する積極的な投資家など一部の層がその恩恵にあずかっている。

 さらに、事態は悪い方向に進みかねない。安倍氏は、小泉純一郎元首相が少なくともそうあろうとした意味での「真の改革者」ではなかった。安倍氏は将来を見据えるよりも、回顧する政治家だからだ。

 どうか4番目の矢(数え方によっては2番目の矢)として軍国主義が復活しないように願いたい。安倍氏の本当の関心はそこにあるという兆候がしきりに見える。解決策を過去に求めるのは常に危険なことだ。世界の大半の国々は未来のことを考えているのだから。

By Henny Sender

(2014年8月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)