小泉元首相、原発ゼロ政策を公然と主張

2013-10-03 10:14:17 | 原発

山本拓 東京電力の破たん処理反対

地下式原子力発電所政策推進議員連盟

父は鯖江市長、福井県議会議長、自民党福井県連幹事長を
歴任した山本治。父方の祖父は山本雅雄(元福井県議会議員)。
妻は同じく自民党衆議院議員の高市早苗。

小泉純一郎元首相(71)の原発再稼働反対発言が論議を呼んでいる。在職時に支持率が80%を超えたこともあるなど、歴代首相の中でも人気が高かった上、安倍晋三首相の後見役と目されているだけに、再稼働を目指す安倍氏にとっては頭痛の種になりそうだ。

7年前の首相退任後は世間からの注目を極力避け、現在は政界から引退している小泉氏だが、今年になってから同氏と個人的に面会した人々を通じて、反原発を訴えていることが各方面に伝わり始めていた。

最近では、講演会や議員らとの会合の場で原発への反対姿勢を公然と示すようになった。
1日には名古屋市内で講演し、主に会社役員など約2500人の聴衆の前で、安倍氏率いる与党自民党に向けて原発をゼロにするよう訴えかけた。

地元紙の中日新聞によると、小泉氏は「原発ゼロを実現し、循環型社会を目指すべきだ」と語ったという。さらに「『原発をゼロにする』という方針を政府・自民党が示せば、野党側も賛成して一挙に雰囲気が盛り上がる」と指摘、出身政党の自民党に自身の要望をぶつけた。

講演では安倍氏を名指しすることはなかったが、再び小泉氏が注目されるようになったことで、政府のエネルギー政策は好ましくない形で脚光を浴びることになりそうだ。

安倍氏は日本経済を支えるためには安い電力の供給が不可欠であると強調、2011年の東日本大震災で稼働停止した原子炉については、新安全基準をクリアーした時点で再稼働させる考えを明言している。さらに、日本のインフラ技術を海外に売り込もうとする政府の取り組みの柱として、原子炉の輸出を後押ししている。

景気が回復する中で安倍氏の支持率は高水準で推移している。世論調査によると、原発の再稼働問題についてはほぼ拮抗しているが、反対派が賛成派をほんのわずかだけ上回っている。

また野党の一部では、支持率を上昇させるために脱原発を旗印に結束する動きもみられる。

みんなの党の渡辺喜美代表は1日、先週小泉氏と会談した際に原発ゼロを目指す姿勢を見て「大きな勇気」が得られたと語った。さらに「危機認識を共有できる偉大な政治家が現れた」と述べ、小泉氏との連携を模索していく意向を示した。

小泉氏の発言については、単に注目を集めるだけなく、世論や政治を動かす可能性もあると考えられる。2001年から2006年までの首相在任中、同氏は一貫して原発を支持していた。福島原発事故が発生して以来、反原発を主張し始めた著名人は多いが、小泉氏のように立場を180度転換した例は少ない。また、事故からの2年半の間、原発に反対する国民感情が強いにもかかわらず、反原発運動は、小泉氏のようなその言動が広く注目される指導者を中心に一つにまとまることがなかった。一方、小泉氏は政界から引退して以来、主要な問題に対する立場を明らかにすることを控えてきた。今回、小泉氏が原発問題で沈黙を破ったことで、政策論議に影響を及ぼそうとしているのではないかという憶測が広がっている。

小泉氏は今でも一般国民の間で人気が高く、そのコメントは議員から常に注目されている。次男の小泉進次郎氏は若手自民党議員で、将来の首相候補とみられている。進次郎氏は原子力エネルギーについて語ることがほとんどない。ただ、東日本大震災の復興では被災地の住民を積極的に支援しており、先月30日には安倍氏から震災の復興を担当する内閣府政務官に起用されたばかりだ。

一部の大衆紙は小泉純一郎氏の反原発発言に飛びついており、進次郎氏が自民を離党して父と新党を結成するかもしれないという噂まで流れている。

小泉新党の結成というアイデアは一見、信ぴょう性に欠けるが、小泉純一郎氏のポピュリズム的な傾向を考えると全くあり得ない話とは言い切れない。同氏の政治手法は、受けのよいキャッチフレーズを使い、政策問題を対抗勢力の守旧派との主戦場と位置付けるため、「小泉劇場」と称されることもある。