「クモ糸繊維」量産へ 山形県 鶴岡のベンチャー・スパイバー

2013-03-01 16:57:55 | 技術

 バイオベンチャーのスパイバー(山形県鶴岡市)は自社開発の新素材「クモ糸繊維」の量産化に向け、トヨタ自動車系部品製造の小島プレス工業(愛知県豊田市)と共同で工場を鶴岡市に建設する。5月に着工し、10月に完成させる予定。新素材はタンパク質由来で、石油から作る化学繊維より環境負荷が少なく、十分な強度を備える。繊維事業での実用化を手始めに、車体など自動車の樹脂製品への応用も目指す。
 新工場は鶴岡市のインキュベーション(ふ化)施設「鶴岡メタボロームキャンパス」の敷地内に建てる。床面積約1400平方メートルの平屋で、建設費7億5000万円の一部は、国の補助金なども活用する。
 両社の研究開発スタッフ計10人でスタートし、1カ月に100キロ生産できるプラントを使った試作と評価を行う。2015年度には設備を増強して月産1万トンまで引き上げ、利用を見込めるメーカーへのサンプル出荷を始める。量産は18年ごろを目標とする。
 衣料、タイヤ、人工毛髪などでの実用化を第1段階と位置付け、極めて細い手術用の糸や人工血管などの医療分野、自動車の樹脂製品へと展開していく計画だ。
 スパイバーは07年、慶応大大学院生だった関山和秀さんが同大先端生命科学研究所(鶴岡市)内に設立した。開発した人工合成のクモ糸繊維は伸縮性や耐熱性にも優れ、「夢の素材」とも言われる。
 「量産体制をどう築いていけるか。最大の課題克服に向け力を合わせたい」と小島プレス工業。スパイバーは「石油が中心だった工業材料に新たな分野を生みだし、鶴岡市を含む庄内地域を一大研究開発拠点にしたい」としている。

[クモ糸繊維] クモの糸の主成分「フィブロイン」と呼ばれるタンパク質と、培養したバクテリアを合成させて作る糸を基にした繊維。石油由来ではないため生産時の二酸化炭素排出は極めて少なく、微生物で分解され廃棄も容易。人工的な生成を目指す研究者の間では「夢の素材」と言われてきた。


高知県警による証拠ねつ造

2013-03-01 08:50:03 | 報道

高知県警による証拠ねつ造

警察とは、不祥事を起こして当たり前の組織だと思われ始めて、どれくらい経つのだろう。いや、昔は警察が潔白な組織に見えていたというのは錯覚で、実は今も昔も不祥事だらけだったのかもしれない。では、なぜ潔白に見えていたのか。それは、不祥事を隠蔽していたからだ。
 
■微罪で家宅捜索され、起訴された男性

週刊新潮に、高知県警による不祥事の隠蔽疑惑について報じている。話が入り組んでいるので、内容を簡単に整理してみる。まず、今年の1月21日に高知市鷹匠町で、63歳の男性が軽犯罪法違反で逮捕された。起訴状には、県警本部長宅の付近で夜中に大声で歌ったことと、警察官舎の近くで夜中に大声を出したことが罪状として記されている。
 
法律の専門家は、こんな軽い罪状で、男性を「わざわざ起訴までするのか理由がまったく分からない」(筑波大名誉教授の土本武司氏)と言う。さらに、「そんな〝微罪〟でガサ入れ、つまり自宅の家宅捜索まで行っていた」のである。では、男性はなぜ微罪なのに「ガサ入れ」され、起訴されたのか。
 
新潮によれば、男性は警察の不正追及に力を入れていた人物だったのである。そして、男性の元には、現職の警官から内部告発が寄せられており、その中に2006年3月に発生した白バイ隊員が事故死した事件に関するものも含まれていた。筆者は、事件発生から現在に至るまで、この事件に注目している。
 
■男性と白バイ隊員の事故死との関係

スクールバスに白バイが突っ込んで隊員が死亡。警察は、スクールバスが走行していたから、白バイが衝突したと主張し、バスの運転手を逮捕・起訴した。他方、運転手側はバスが停止していたことを主張し、同乗していた生徒や教師など多くの証言を得ていた。だが、その証言は裁判でなぜか採用されず、運転手には禁固1年4カ月の実刑判決がくだった。
 
ところが、警察が証拠として裁判に提出したが、捏造だった可能性があり、冒頭で紹介した男性は「すでに捏造の実行犯も特定している」と言うのである。加えて、県警内で「証拠捏造が内部で知れ渡っているため、不祥事を起こしても処分されない警察官が続出している」のだとか。
 
運転手側の再審を請求している弁護団は、「バスのスリップ痕写真」を入手し、フィルム鑑定の専門家による「完全な捏造であるという鑑定書」を裁判所に提出している。つまり、再審ではバスの運転手が逆転無罪となる可能性が出てきているのだ。さて、再審の判決はいかに。
 
■高知県警は証拠を捏造したのか

県警が、冒頭で紹介した男性を微罪で逮捕・起訴したのは、県警の「不正行為とその隠蔽工作」が告発させないための「口封じ」であった可能性がある、と新潮は指摘している。いずれにせよ、男性の逮捕・起訴が本当に「口封じ」だったのか、また白バイ隊員の事故死でバスの運転手が本当は無罪なのかが、再審で明らかになりそうだ。
 
県警が証拠を捏造していのかどうか。もし捏造していたのだとしたら、警察の信用は地の底に落ちることであろう。

[今週の軍配]文春には「都内有名幼稚園で園児に『性的虐待』」というスクープ記事が写真入りで掲載されている。また、両誌が「パソコン遠隔操作犯」として逮捕された片山祐輔容疑者に関して詳しく報じている。とはいえ、高知県警に関する記事が一歩抜けているので、今週は新潮の勝ち。