三洋電機OB リストラ技術者たちが挑む“照明革命”

2013-01-07 11:18:39 | 技術

次世代照明と期待される有機EL照明分野で、注目されているのが有力ベンチャー企業、イー・エル・テクノ(福岡市、豆野和延社長)だ。有機EL照明を普及させるために必要な低コストのパネル量産技術で先行している。このベンチャーを設立したのは、三洋電機と米イーストマン・コダックの合弁会社で、有機ELディスプレー生産に関わった技術者たち。合弁会社の解散によるリストラという悲哀を味わったが、その後はちりぢりになった仲間が再び結集し、先端市場に挑んでいる。

 現在、熊本県合志市にある工業団地の一角で、空き家になっていた工場の改装が急ピッチで進んでいる。クリーンルームには、基板に回路を描く露光装置や成膜装置などの設置が終わった。年明けにはエッチングや蒸着などの装置もそろい、4月には量産を始める。

 発売時のサンプル価格は32センチ角の基板で2万円を予定。パナソニック電工やカネカなど大手が見込む価格のおよそ10分の1にしている。「大手が出てくる前に市場を抑えておきたい。まず安くものをつくって、こうした使い方があるよとマーケットを開拓したい」と豆野社長は話す。

 大手に量産で先行するだけでなく、価格でも10分の1程度と安い
 
低価格を実現するカギとなるのがイー・エル・テクノが最も得意とする製造技術だ。三洋電機やコダック時代から蓄えてきたノウハウを生かし、製造装置を改良し、高価な有機EL材料の使用量を抑制することに成功していたのだ。有機EL照明パネルは通常、真空容器の中で、有機EL材料をパネルに蒸着させる。従来の技術ではこの材料全体の5%しかパネルの表面につけられなかったが、同社の技術ではその比率を一挙に10倍の50%に向上した。つまり、パネル1枚当たりに必要な有機EL材料の使用量は10分の1になるということだ。