16日投開票された衆院選で、小選挙区で落選候補に投じられ、有権者の投票行動が議席獲得に結びつかなかった「死票」は、全300小選挙区の合計で約3730万票に上った。小選挙区候補の全得票に占める「死票率」は56.0%で、前回の46.3%と比べ9.7ポイント増となった。
今回は「第三極」として新たに日本維新の会や日本未来の党が参戦して12党が乱立。共産党も前回までの方針を転換し、原則として全選挙区に候補者を立てた。当選者が1人の小選挙区制では、候補が多数で票が分散されれば当選ラインは下がり、落選候補の合計得票数が増える傾向があることから、前回より死票率が上がったとみられる。
死票率を政党別にみると、小選挙区で237議席を獲得した自民党は12.9%で、大敗した前回の74.0%から大きく低下。一方、惨敗した民主党は前回の13.2%から82.5%に大幅上昇した。第三極同士で共倒れが目立った維新も81.9%。小選挙区全勝の公明党は0%だった。
民意とは何かを考えさせられる結果となった。自民党が政権復帰することになった衆院選。安倍晋三総裁は選挙中「誇りを持てる日本を取り戻す」と威勢良く、繰り返した。しかし国のありようについて、私たちには一人ひとりの思いがある。原発をなくしたい人、平和憲法を守りたい戦争体験者…。数は届かずとも切実な一票だ。3・11後、初めての総選挙。課題は山積するのに、投票率は伸び悩んだ。厳しいまなざしが、国の行方を見据えている。
原発政策を推進してきた自民の大勝に、脱原発を訴えてきた人々から「あきらめない」の声が上がった。
十五日に続き、脱原発イベント「Nuclear Free Now」が行われた東京・日比谷公園。福島県白河市に「原発災害情報センター」の設立を呼び掛けるチラシを配っていた自由業小原紘さん(70)=千葉県我孫子市=は、期日前投票で比例は未来に投じた。共産支持層だが、反原発勢力の広がりに期待した一票だ。「変えるのは本当に大変だね。でも自民に戻るのも一時的で、半年後『あの選挙はなんだったのか』と思うはず。望みは捨ててないですよ」と語気を強めた。
「(今回の結果も)歴史の一こまにすぎない。僕らがちゃんと物事を知っていくことが大事」。トークイベントで語る宮台真司首都大学東京教授の言葉にうなずいていた学校職員武田理香さん(28)=世田谷区=は福島県出身だ。「あれだけ大きな原発事故が起きても変わらない。無関心な人が多い」ともどかしい表情を浮かべた。
「原発をやめられない状況を私たちの意識と力で変えられたらと思う。選挙も私たちができることの一つ」。前回は政権交代に期待し深く考えず民主を選んだ。今回は各党の政策を比べ、投票所で鉛筆を握った後も悩んだ末、再び民主と書いた。
大学教授茅野(かやの)佳子さん(55)=東京都日野市=は小選挙区と比例も未来に投票した後、国内外の活動家が議論する「脱原発世界会議」に足を運んだ。草の根の力強さを信じている。「国会を取りまく市民の行動は、政治に影響を与えていると思う。選挙の結果がどうであれ、今までと同じようにはいかないのでは」
投票締め切りの一時間前。延べ五千五百人が訪れた二日間のイベントを振り返りながら、主催団体の一つの環境NGO「FoE」渡辺瑛莉(えり)さん(30)は、脱原発の民意とかけ離れる結果を踏まえ、決意を話した。「日本社会は変化を好まず、どうせ自分一人では何もできないと思っている人が多い。でも、体験すれば変わる。自分の考えを政治や社会の仕組みに反映させる体験を身近にするために、市民活動をもっと広げなくてはいけない」
三井物産、カナダの風力・太陽光発電事業に出資参画
三井物産は17日、GDF SUEZ S.A.の子会社であるGDF SUEZ Canada Inc.(GDFスエズカナダ)がカナダで開発・運営する再生可能エネルギー発電事業に出資参画することで同社と合意したと発表した。三井物産は新規に設立した投資子会社MIT Renewables Inc.(MIT-RE)を通じてGDFスエズカナダから同事業の30%持分を取得した。同事業の事業規模は20億カナダドル(約1,700億円)超となる。
同事業は、カナダにて風力発電事業(10ヶ所、総発電量660MW)及び太陽光発電事業(2ヶ所、総発電量20MW)を開発・運営するIPP(独立系発電)事業であり、各州の州営の電力会社との長期売電契約に基づき電力を販売するもの。
風力発電所7ヶ所は既に商業運転を開始しており、残り5ヶ所は開発・建設中。また、現在建設中のCape Scott案件に追加で開発中の約50MWの拡張計画を合計すると、同事業の発電容量は730MWになる。
同事業は、再生可能エネルギー分野を積極的に推進しているオンタリオ州を中心にカナダ全域での電力安定供給に貢献するとともに、省エネルギー・環境改善に寄与する案件となる。
また、拡張計画を加えた開発・建設中の5資産に関し、12月14日付で国際協力銀行(JBIC)及び市中銀行3行(三菱東京UFJ銀行、みずほコーポレート銀行、三井住友銀行)とプロジェクトファイナンスに係る融資契約を締結した。
衆院選:自民、比例57 前回並み
毎日新聞 2012年12月17日 11時54分(最終更新 12月17日 14時34分)
16日投開票された第46回衆院選は、自民党が単独で半数を大きく超える294議席(小選挙区237、比例代表57)を獲得して圧勝し、3年前に失った政権を取り戻した。ただ、同様に296議席を獲得して大勝した05年衆院選の比例は77議席で、比例に限れば今回は20議席も少なく、119議席で大敗した09年の比例55議席をわずかに2議席上回るにとどまった。
全国の比例得票数を集計したところ、自民党は1662万票で、05年の2588万票を大きく下回り、09年の1881万票にも及ばなかった。得票率も27.6%で09年の26.7%とほぼ変わらなかった。投票率が09年より約10ポイント低かったことも影響しているが、全国的に自民党支持が広がったとは言い難い。
自民党の小選挙区候補の得票数を合計すると2564万票で、大敗した09年から165万票減っている。12政党の乱立で民主党と第三極勢力が非自民票を食い合った結果、相対的に自民党候補の当選する小選挙区が増え、自民党の獲得議席を押し上げた形だ。
大敗した民主党の獲得議席は57議席(小選挙区27、比例30)で、現在の民主党が結成された98年以降最低だった05年の113議席(小選挙区52、比例61)の約半数まで落ち込んだ。比例の得票は962万票で、09年の2984万票から約3分の1に激減。旧民主党時代に挑んだ96年衆院選の894万票に近い水準となった。
今回初めて国政選挙に挑戦した日本維新の会は54議席(小選挙区14、比例40)を獲得。比例の得票は1226万票で民主党を大きく上回った。みんなの党は比例で524万票と前回の1.7倍に得票を伸ばした。【堀井恵里子】
三井化学は、岩手県宮古市における再生可能エネルギーを利用する新たなプロジェクト「宮古市ブルーチャレンジプロジェクト」にオブザーバーとして参加する。
同プロジェクトは、宮古市の震災復興と新たな地域活性化を目指し、バイオマス由来の「電気・熱・水素」の再生可能エネルギーを生産、活用する取り組み。「電気・熱」に加え、次世代自動車の燃料となる「水素」の3つのエネルギーを供給するプラントは、商用としては世界初。
11月26日には、宮古市とトヨタ自動車など民間企業12社で、地域バイオマスを活用した新たなエネルギー産業の創出を図る「宮古市ブルーチャレンジプロジェクト協議会」を設立した。同協議会では、電気・熱・水素を生産する木質バイオマス発電施設「ブルータワー」の整備を中核として、復興モデル事業を立ち上げる計画。今後は、バイオマスプラントの2014年秋の稼働を目指し、用地選定や建設を進める。
また、同プロジェクトでは、当初は宮古市の豊富な森林資源の間伐材をバイオマス原料として活用するが、将来的には、HIT事業研究会で検討している下水汚泥の活用を視野に入れている。
HIT事業研究会は、ジャパンブルーエナジー(JBEC)、大和リース、豊田通商及び三井化学の4社が発足させた団体。ブルータワーを利用することにより、現在一般的である化石燃料からの水素製造ではなく、その多くが焼却処分されている下水汚泥からの水素製造を目指している。地産地消型の水素イノベーションタウンの実現に向けて、今年9月に下水汚泥から水素ガスを製造する実証試験に着手している。