田村正和追悼のテレビ映画で、「疑惑」を見て、読んでみたくなった。テレビと、小説とでは、若干、設定やストーリーが違っていたが、どちらも楽しめた。
まず、雑誌記者が、テレビでは女性だが、小説では、男性記者になっている。
あとは、それほど変わらない。テレビは、沢口靖子の魅力が全開だったが、小説のイメージとしては、映画の桃井かおりに近いかもしれない。
小説の最後の結末は、ちょっと、衝撃的だ。 . . . 本文を読む
読売新聞のお勧めの本紹介を最近、注意しているが、この本も、その中で、興味を持った本だ。
表題作の「押絵の奇蹟」は、江戸川乱歩をして、「グツと惹きつけられてしまった...私は読みながら度々ため息をついた。」と言わしめた。というから興味を持つのも当然だ。
「氷の涯」「押絵の奇蹟」「あやかしの鼓」の短編集なのだが、それぞれが、長さが違うのも不思議だが、どれも、怪しい夢野久作ワールドなのだ。
「あや . . . 本文を読む
読売新聞の書評欄で薦められていた佐々木譲の「警官の血」を読んだ。
最近、新聞などの書評欄なども気を付けるようになった。
まだ、読んだことのない魅力のある作家が、いかにたくさんいることか。この作品も、中々、面白く読めた。親子三代にわたる警察官の物語だ。ミステリー史に刻む警察小説とも裏表紙に書かれている。
普通、親子三代とかの物語だと、結構、ドラマチックな展開が予想される。しかし、この物語は、ち . . . 本文を読む
キンドルの無料本の中に、「無人島に生きる十六人」という本があり、読んでみた。
子供の時は、ロビンソンクルーソーとか、十五少年漂流記とかが、大好きだったが、明治31年に実際に漂流して、無人島に一年間、乗組員16人が暮らして、全員無事に日本に帰ってきた実話があったことに驚いた。しかも、その暮らしぶりときたら、まさに実務的というか、まさに、無駄のない、生き生きとした生活なのだ。
更に、全員が、絶望ど . . . 本文を読む
百田尚樹の「永遠の0」を読んだ。
最近、ミステリー、山岳もの、時代劇ものを除けば、手に取るのは、百田氏の作品が多い。
それだけ、期待を裏切らない面白さ、読みやすさ、内容があるからだ。
正直言って、特攻隊もの、戦時ものというジャンルのイメージが強く、この作品は、ちょっと、敬遠していたのだが、読み始めて、予想していたのと全く違っているので驚いた。
まず、孫のルーツ探しであるのに非常に驚いた。誰 . . . 本文を読む
5話のショートストーリー集だ。
ただのショートストーリーではない。泣けるストーリーだ。
なかなか、書けるものではない。しかもどれもよくできている。百田氏は、突然、クリスマスの短編集を書きたくなったという。「永遠の0」から2作目の小説とのことだ。風貌から判断してはいけないが、ロマンチックな奇蹟の話は、ちょっと、似つかわしくないが、素晴らしいショートストーリーを書ける方は、才能に満ちあふれているよ . . . 本文を読む
しばらく、山関係の本が多かったので違うものが読んでみたくなった。
その中で選んだのが、「海賊とよばれた男」だ。
出光興産の創業者をモデルに書かれたもので、戦後の日本復興に尽力した日本人を描き切っている。
企業のトップを描いた作品はいくつか読んだことがある。たとえば、ソニーや、アイアコッカなどだが、この作品は実名では出ていないし、企業名も架空だ。
それだけに、小説としての面白さが際立っている . . . 本文を読む
本屋で、無償の8ページのちらし、”江戸川乱歩賞ハンドブック”なるものを見つけて、もってきた。
何と、今年で乱歩賞も第60回を数えることになる。
それじゃ、60作かというとそうでもない。受賞作無しが3回あり、第二回目は、「ハヤカワ・ミステリ」の出版に贈られたり、ダブル受賞も11回もある。
したがって、勘定間違いがなければ、67作品となる。2年ほど前に、江戸川乱歩賞受賞作 . . . 本文を読む
図書館で、4か月待ちで、やっと下巻を読み終えた。
上巻を読み終えた感想として、下巻で何らかのメッセージを期待してしまう。とあったが、どうだったのだろうか。
死というもの。死刑というもの。生というもの。それらについて、いったい、何を言いいたかったのか、残念ながら、よくわからなかった。
ただ、死も生も、それほど大きな違いはなく、一瞬のはかない境でしか区切られてないのかも知れない。
だからこそ、 . . . 本文を読む
ひさびさの高村薫の新作だ。
高村薫は、私がミステリーにはまった作家の一人だ。
ミステリーというジャンルにはめ込むことのできない上質の作品を書く。
今回、図書館で予約したが、100人以上待ちだった。やっと、順番が回ってきたが、延長ができないということで、一気に読みとおした。
しかし、下巻もやっぱし、100人以上待ちなので、いつになるかわからない。それでも、20冊弱が回転しているようなので、実 . . . 本文を読む
2012年に読んだ和書のトップ5も選んでおきたい。
今年は、国内、海外ミステリー、時代劇も含めると和書で25~26冊読むことができた。
①クライマーズ・ハイ(横山秀夫)*横山秀夫が一、二位独占だ。最近読んだのと、長編だったので、こちらが一位になったのかも知れない。素晴らしい作品だ。
②第三の時効(横山秀夫)*質的には、こちらを一位としても良かったかも知れない。短編なので、比較できない部分があ . . . 本文を読む
今年は、お勧めの江戸川乱歩賞受賞作を何冊か読んでみたが、受賞作の一つの「破線のマリス」を読んでみた。
前から、この題名が、ちょっと、かっこ良いと気になっていた作品だ。
テレビのニュースショーの特ダネの映像シーンを編集する女性が主人公の作品だ。そのカットの入れ方で、視聴者を魅了して、視聴率を上げていく。
一方、家庭では、離婚して捨てた子供から、想像力と勇気を持って映像シーンを編集する母を敬愛さ . . . 本文を読む
国内の作品で読んだものを作家別ご紹介します。(追加:野沢尚”破線のマリス”)
松本清張 或る「小倉日記」伝
真贋の森
聞かなかった場所
天才画の女
西村京太郎 南神威島
殺意を呼ぶ列車
. . . 本文を読む
池波正太郎の短編集を読んでみた。
実は、生まれて初めて手に取った。
テレビ映画では、鬼平や剣客商売など、時代劇好きなので、池波正太郎の名前は、よく知っていた。
しかし、テレビで見てしまったものを後から、小説を読む気がしなくて、ここまで来てしまった。
今回読んだのは、時代劇だとばかり思い込んでいたが、9作品のうち、7作品は、現代劇とでもいうのか、戦後の日本を舞台にしていた。
どの作品も、い . . . 本文を読む
江戸川乱歩賞受賞作も取りあえず、一時停止し、手にとったのは阿刀田高だった。
以前に読んで、リラックスして読めそうだという感覚だったからだが、ちょっと、違った重い印象を持った。
10作品からなるショートストーリー集なのだが、いろいろな雑誌に載せた作品の寄せ集めなのである。
したがって、類似のものを集めたようで、そうでもなかったりするのだ。
ただ、過去の記憶がひとつのキーになっている感じはした . . . 本文を読む