読んだと言えるか疑問だ。ページをめくって、時々、書いてある文字を目にしたくらいだからだ。
それでも、何となく、わかるのは、既に2巻読んでいるので、だいたい想像がつくからだろう。
はちゃめちゃな人生を送る主人公が、失恋しまくる。女に翻弄される。ただ、それだけのものがたりだからだ。
最後の新潮社の部長(女)の解説が唯一、興味を引いた。
「驚くべきことに、最高傑作の一つにあげる人も少なくない。わ . . . 本文を読む
直木賞お勧めミステリーの2番目にランクされていた「破門」を読んでみた。
不思議な魅力の作品だった。え~!これが、直木賞受賞作?と読み始めた頃には、感じた。なぜなら、そもそも、極道の話であり、かつ、文体も、関西弁の非常に軽妙なやりとりの中で進んでいくが、決して、深遠な趣があるわけではない。
しかし、その会話や話の流れに、引き込まれて、あっという間に読み終えた。
最後の講評に、著名な選考委員の絶 . . . 本文を読む
とりあえず、この4部作も読もうと決めた。
理由は、洋書も、現在、クリフトン年代記(7部作)を読み続けているからだ。
まるで、苦行僧のように、チャレンジしているようだ。
クリフトン年代記の方は、英語の速読力の向上という意味がある。実際に面白いストーリー展開もある。
しかし、この「錨を上げよ」についていえば、同じ時代、しかし、ちょっと違った人生を味わうような感覚だ。
2編目は、座礁篇とあるだ . . . 本文を読む
東野圭吾の「容疑者xの献身」を読んだ。
この作品は、直木賞受賞作のおすすめトップ10と、直木賞受賞のミステリートップ10の両方にリストされている作品だ。
おもしろくないはずがないと思ったが、やはり、面白かった。
東野圭吾の作品は、一時期、はまって「秘密」他、5作品ほど読んだが、同じ時期、はまっていた宮部みゆきの作品の方が、自分の好みに合っていた。
この作品は、福山雅治主演のTVドラマで「ガ . . . 本文を読む
百田尚樹の自伝的ピカレスクロマンの「錨を上げよ 1出航篇」を読んだ。
普通、全部読んでから、書評を書くところだが、4部作であるし、続けて読むかどうか決めてないので、書いておこう。
まず、著者と自分は、同年代である。この書の主人公も同年代である。
したがって、時代背景や事件などは、ほぼ、理解できるし、体験している。その辺から、興味を持ったのも事実だ。
しかし、東京と大阪という場所の違いと、環 . . . 本文を読む
直木賞受賞作で、おすすめミステリー10というのをネットで見つけた。
私が読んだ中には、佐々木譲の「廃墟に乞う」や、宮部みゆきの「理由」、藤原伊織の「テロリストのパラソル」など、面白いものが入っていた。
そこで、その中の他の作品も読んでみようと思った。最初は、NO.1にランクされている「流」だ。
もう一つは、台湾のことが書かれているとのことで、興味を引いた。読んでみて、著者の東山氏も、実は台湾 . . . 本文を読む
「このミステリーがすごい」対象受賞作で、柚木裕子のデビュー作でもある、「臨床真理」を読んでみた。
人の感情が色でわかる「共感覚」を持つという不思議な青年を担当することになった臨床心理士の物語だ。
とにかく、設定、ストーリーが面白いので、あっというまに読んでしまった。
デビュー作ということもあってか、少々、力が入ってるなと感じる部分があった。また、女性の作品だけど、結構、エロい部分があるので驚 . . . 本文を読む
第135回直木賞受賞作、「まほろ..」を読んでみた。
まほろ市は、東京のはずれに位置する架空の都市西部最大の町で、他の小説でも使われる地名のようだ。
解説によると、架空の(まぼろし)とも取れるし、素晴らしい、住みやすい街とも取れるとのことだ。また、三浦しをんに描かれたまほろ市は、おそらく町田市であろうとのことだった。
主人公の多田便利屋に、高校の同級生、行天が、ころがりこんで、一緒に暮らすと . . . 本文を読む
百田尚樹の初のミステリー作、「野良犬の値段」を読んでみた。
初の時代劇も面白かったが、初のミステリーも面白かった。
まず、設定が素晴らしい。誘拐事件なのだが、誘拐されるのが、幼子でも、重要人物でもないのだ。何と、ホームレスで、複数人なのだ。
ここから、野良犬の値段という素晴らしい表題が付いたのは明らかだ。
また、さすが、百田さんと思わせる、数々の、皮肉や批判がちりばめられている。明らかに、 . . . 本文を読む
佐々木譲氏の初めて書いた小説、「鉄騎兵、跳んだ」を読んだ。
何とも、みずみずしい、青春小説の表題作のほか、同じく、バイクだったり、スポーツに絡んだ5つの短編集となっている。
佐々木譲氏の作品では、3作目だが、どれも、違った魅力に満ちた作品と言える。
. . . 本文を読む
浅田次郎の「おもかげ」を読んだ。
著者会心の傑作という背表紙につられて読んだのだが、なるほどと思った。
定年を迎え、送別会の帰りの地下鉄で倒れ意識を失ったエリート会社員の物語だ。
それだけなら、物語にするのが難しいくらいの物語だが、知らず知らず、引き込まれていく。
年代などが近いせいもあるのかも知れない。
死に瀕すると三途の川があるという。私の父も若い時、経験したことがあるという。
経 . . . 本文を読む
辻堂ゆめの「十の輪をくぐる」を読んでみた。
認知症を患う80歳の母を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する娘と暮らしている主人公、泰介に、母が、「私は..東洋の魔女」「泰介には、秘密」と、呟く。母は、ニチボウカイヅカに勤めていたのだろうか?認知症、オリンピック、東洋の魔女などのキーワードに興味を持って、読むことにしたのだが、非常に面白く読めた。
また、最後には、感動で涙 . . . 本文を読む
米澤穂信氏の「満願」を読んでみた。読売新聞の書評で、「黒牢城」に興味を持ったが、まず、代表作の「満願」から読んでみようと思ったのだ。
「満願」は、表題作を含む6篇の短編からなるが、どれも、質の高い、しかし、まったく、異なる種類のミステリーからなる。
2014年には、評判になり、山本周五郎賞ほか、ミステリーランキングの3冠を取ったという。,最後の解説で、この短編集に共通しているのは、人間の不可解 . . . 本文を読む
重松清の「エイジ」を読んでみた。
理由は、オリンピック中に、読売新聞に重松氏のコロナの中での、オリンピック開催についての文章が載っていたのだが、その文章に、魅力を感じたせいだ。
細かい内容は、はっきり思い出せないが、客観的とも言えるし、妙に、感動をあおるでもなく、批判的でもないような文章だったと、記憶している。
そのあとに、この「エイジ」を読んで、ますます、不思議な印象を持った。従来の、青春 . . . 本文を読む
直木賞受賞作の佐々木譲の「廃墟に乞う」を読んだ。
何らかの事情により、刑事を休業中の主人公が、休業中ながら、知り合いなどから、頼りにされ、事件を解決するのに一役買う。という6篇からなる短編集だ。
その設定から、本来の刑事としての捜査権もなく、警察手帳の替わりに、名刺で、警察と名乗り、プライベートながら、協力を依頼して聞きこむのだ。
したがって、探偵ものと言ってもよいのだが、刑事であるのは確か . . . 本文を読む