衛兵交代式の後に、スリ!?

「ロンドン滞在記17」

アビーロードを堪能した我々、
次なるは
絶妙の位置取りで
衛兵交代式を楽しんでまいりました。



ロンドンの観光スポットのひとつだけに
シーズンオフにも関わらず
多くの観光客で賑わっておりました。







交代式の１時間半前には
バッキンガム宮殿の正面の正門に着いたのですが、
もうすでに並んでいる人多数。
我々が並ぶ間にも後ろにはドンドン列ができていきます。
正門の左側、前から２列目に並ぶ事ができたのですが、
この日は非常に寒い。

式が始まるまでに
体は心底冷えきっておりました。









そんな観光客を和ませてくれたのが
式の警備、誘導などをしている
地元警官の皆様方。

いえね。
決して彼らはこちらを和まそうとしているわけではないと思いますよ。



しかしその立ち居振る舞いと
観光客への注意の仕方が
長年従事されているからか
まるで歌うかのように
リズムよく聞こえてくるんです。


何しろ人が多いものですから
次から次へと
観覧スペースを離れて見ようとする者
移動中に式の妨げになる場所で立ち止まろうとする者
ごった返しているわけです。


それら観光客に
一度目はやんわりと「立ち止まらないで下さい」
二度目は本人に向かって「レイディー（ミスター）、立ち止まらないように」
それでも写真を撮ろうとしたり立ち止まり続ける人には
大きく咳払い
「ぐおほおおん！」（←これがまた名物芸、格好良く咳払うのです）
「ユー、あなたに言っている。立ち止まってはいけません。すぐにその場から移動しなさい」
このように繰り返し、繰り返し注意を促すのです。
語気を強める口調も、きっちり段階をふんでいき。
いやはや交代式より、こっちのが面白いよ！
と思ってしまいました。


一度なんかは、警官さんが振り向いた際に
観光客にぶつかってしまいました。
すると、
「おっと、今のは私のミスだ。ごめんなさいね。しかしながら、皆さん立ち止まらないで下さい」
こんな感じでしたから
寒い中、交代式を待つ我々の心をしっかりと温めてくれました。


交代式は予定通り始まり
楽器隊、騎兵隊、歩兵の帰還と交代。
曲の演奏。
最後は正門からそれぞれの勤務地へ向かって歩き出す。
こんな流れでした。





足並み揃って歩く姿は実に格好いい。
（有名な赤い装いではなく、冬用のグレーのコートでした）


約２時間ほど立ちっぱなしで
ガチガチに関節が固まりましたが
ええもん見たなーと
ホクホクして一旦ホテルへ向かったわけです。




が、、、、



その帰り道。
ホテルへ続く公園の中を歩いていると
一人の男に呼びかけられました。

自分のアイフォンを渡してきて
公園をバックに
写真を撮ってくれというのです。

撮った後、彼は自分はブラジルから観光で来たと
話しかけてきました。
実はもうここから巧みな手口が始まっているのですが…

リオデジャネイロを知っているかと
ジャネイロ野郎はブラジルのお札を我々に見せてきました。
今度日本へ旅行に行くから
日本のお札も見せてくれ。

ここで我々は気がつけばよかったのですが、
ジャネイロ野郎を同じ観光客だと思い込んでいるので
異国に来た者同士
異文化コミュニケーションしているという認識から
気を許してしまい
目の前でサイフを開け
日本のお札を見せてしまったのです。

するとジャネイローは日本のお札には目もくれず
ポンド札をちょっと貸してー。

何やら怪しい雲行きなので
「いやいやいや」
「大丈夫、俺ドクターだから」
「嘘つけ、ジャネイロー！」
変な事になっていると、
お札を取り返すのですが、
尚もしつこく見せてくれと言ってきて
わけのわからぬ間に奪おうとしてきました。

「いやいやいや、おい何すんねん！」

ここでようやっと危険を察知した我々は
ジャネイローを押し退けスタコラサッサと逃げました。

幸い追いかけては来ず。
ポンドも日本円も盗まれずに済みましたが、
用心に用心を重ねてきた筈が…という思いで
その後しばらく落ち込みました。

こ、これがロンドンのスリか、、、、

皆様も
絶対に人前でサイフは開けませぬように。

いや我々もこの言葉を胸に
ロンドンへ向かった筈がこのザマですから。

お気をつけください。

いやほんと
取られなくてよかったー！
ジャネイロー許すまじ。


つづく。