岩切天平の甍

親愛なる友へ

アラウェイ村

2007年12月13日 | Weblog

 首都リマから約三時間、山の学校へ。教育省のハイエースに乗って、乾燥した岩にサボテンだけの山々を分け登る。

九十九折りの山道は未舗装で、急カーブごとに十字架が立っている。そこで誰かが死んだのだ。見下ろすと車一台分の道の横は奈落の底、シートベルトをと、車内を見回すと、すっかり取り外されていて・・・観念するより外は無いらしい。

時折牛や羊を連れた人とすれ違う。紫外線が強いからか、帽子は必需品らしく、皆、この帽子に凝っているのが面白い。質素な野良着に帽子だけが鮮やかな色や形で乗っかっている。舌をかみそうに揺れながら、いよいよ空が近くなって来ると、標高二千六百五十メートルの村、アラウェイ(Arahuay)が山腹にへばりついていた。

つい最近まで電気が無かった村の学校では、今日は授業を早めに切り上げて、クリスマス会をやるという。楽しい場面はいいけれど、授業を撮りに来た我々はいささか困ってしまった。お願いしてもうしばらく授業を続けてもらい、必死で撮る僕の後ろを、アービング・ペンの写真に出て来るそのままの民族衣装をまとったお母さんたちがケーキを持ってついて来る。「食べなさい、食べなさい!」申し訳ないけど、今ちょっと忙しいからと断ると、今度は丸のままのでっかいケーキを持って来た。「コレ、持って帰りなさい。」ケーキをしょって撮影続行。

山の子供達はとてもシャイで、スペイン語が出来ない僕は、じゃれたりくすぐったりしながら何とか打ち解けようとするのだけど、ウヒウヒ笑いながら撮られているのに、何か質問されると固まってしまう。何を訊いても泣きそうな顔で「うん。」と頷くだけ。見かねた先生が横から言う模範解答を蚊の無くような声で繰り返す。「うー、コンピューターは、すばらしい、です・・・。」


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