岩切天平の甍

親愛なる友へ

中野重治

2008年01月26日 | Weblog

 大江健三郎の講演集、“「話して考える」と「書いて考える」”を読む。
中野重治という戦中、戦後の左派文学者について話している。
プロレタリア文学運動、共産党を経て当局に逮捕され、「転向」を余儀なくされながらも思想弾圧と戦い続けた作家。

大江氏は中野重治の言う「民族道徳樹立の仕事。」ということに触れている。
『民族道徳という理念は、世界において普遍的なものです。ここで普遍的というのは、個別の実体が世界でひとつに定まっているということではなくて、具体的ないちいちは多種多様であるけれど、それらをつらぬく理念は世界につうじるものだということです。その多種多様である各民族、各国民の、民族道徳がこぞってめざす、ひとつのものがありうる、ということでもあります。たとえば、ヒューマニズムがそうです。・・・そしてそれから半世紀過ぎて、いま日本、日本人にどのような民族道徳があるか・・・。』

紀伊国屋に寄って探してみるが、中野も佐田稲子も無い。アマゾンで調べてみるとほとんどが絶版になっている。なるほど、売れない本は刷らないか・・。しかしそれが重要な作品なら、電子図書とか、何らかの方法で希望者が閲覧できる仕組みは出来ないものかとも思う。

古本屋サイトで全集を探して、何件かにアメリカまで送ってくれないかと打信してみた。北海道と関西から親切な返事が来た。全二十巻で三万円、送料が重量三十キロにつき三万円。値段はともかく、三十キロ、一冊一キロ半ですか・・。ほとんど旅行中の飛行機や電車の中で読むしなぁ、と意気地が萎える。
文庫本で我慢することにして、百円の古本を買うのに送料二千円はしかたないとしても振込手数料が四千円かかる。百円の本に六千円か・・。日本の古本屋もクレジット・カードとかペイパルに対応してくれないかなぁ・・。

結局東京に住む知人に迷惑を承知で泣きつく事にした。
快い承諾をいただき、感謝、感謝。本の到着が楽しみ。





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