岩切天平の甍

親愛なる友へ

カラジャス

2008年07月23日 | Weblog

早朝、飛行機を乗り継いで、ブラジルをほぼ縦断、窓の下に赤い大地と未来都市のようなブラジリアの街を眺めながら、アマゾンの南側支流域に広がる世界最大の鉄鉱山、カラジャスへたどり着く。

ジャングルの中をバスで走っても走っても終わりの無い、広大な露天掘りの鉱山。重機が轟音を立てて山を削っている。巨大なトラックがもうもうとホコリをたてて縦横に走り回る。辺り一面鉄鉱石のサビで赤茶色の世界だ。案内してくれる人はもちろん“安全”最優先、「こちらでお撮り下さい。」と、あらかじめ決められた展望所に案内されるが、僕の方は「迫力迫力!もっと近く、もっと近く!」で、ダメだろうなと思いながらも「あの辺に行きたいんですけど。」と言ってみると、困ったナといった顔で話し合いが始まる。

あそこに行きたい、あれを撮りたいと無茶な事を言うと 最初は必ずダメだと言われるんだけど、何故か最後には必ず実現してしまう。これはアメリカでは絶対に起こらない事だ。「ダメなものはダメ、ピリオド。」なのだが、ブラジルの人は頼まれるとどうにかやらせてあげようと思ってくれるらしい。
好意につけこんで、じりじりと採掘機械の真横まで近寄ってホコリを被り、最後には調子に乗ってトラックによじ登って走り回ってもらった。

夕方、碁盤の目に美しく整備された住宅地に、ヴァーレ社が用意してくれたホテルに入る。鉱山職員専用の街で、要するにこの地には人間は鉱山関係者しかいない。フェンスに囲まれたその外側のジャングルは野生動物の世界で、まさに植民地そのもの。その奥のどこかには世界と接触の無い先住民たちが昔ながらの暮らしをしているらしいけど、コロニアル風のレストランに飾られた写真の色鮮やかな彼らを、給仕のおばちゃんはまだ見た事が無いと言っていた。

先住民の保護区はブラジル政府の治外法権となるため、そういった場所で掘られる金やダイアモンドを巡る無法な流血や搾取があるらしく、また、その資源を狙う企業の圧力で、法律が変えられ、乱開発の手が伸びつつ有るという話を聞く。

天井にゆっくり回るファン、
森に響く鳥たちの声を聴きながら眠る。



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