岩切天平の甍

親愛なる友へ

高橋信之介

2007年08月16日 | Weblog

ハーレムに住むジャズ・ドラマー、高橋信之介のアパートへ。
庭でとれたキュウリのぬか漬けを心ばかりのお土産に持参する。

若手ナンバー・ワンの信之介はベテランジャズマン達をして「会う度に上手くなる、常に進化しているドラマー。」と嬉しそうに言わせる。本人にそう言うと「練習してますからねぇ。」と笑う。
以前からパンツ一丁で練習している写真を撮らせてよとセマっていた。
そっちの方の趣味があるわけでは無い、念のため。

ドラムを叩いてもいいという条件で入居したという小さな部屋は、ロフトベッドの下にPCの乗った机、あとはドラムセットと練習パッドが占めている、まさにドラムを叩くためだけの部屋、壁には吸音材が張られている。

「・・・で、(写真)どうしたらいいですか?」
「あー、普段通り、必要な練習をしてくれる?」
メトロノームに合わせたパターン練習が始まる。
すぐにステージで見なれた真剣な顔に入り込む。
ブラシやスティックを持ち替え、パターンを変え、楽譜を変えて練習は続く。
汗だくで写真を撮りながら、シンプルな練習なのに、その音に魅了されている自分に気づく。ドラム・セットの隙間にもぐり込んで撮っていると、音に包まれてものすごく気持ちいい。ずっとそこに居たいような気になる。
あれー、これはひょっとして恐ろしく贅沢な体験をしちゃってるのかしら・・・。へへへ、信之介ファンにばれたらやばいなぁ。

「パッドだけでも一時間はやりますよ。一日最低でも三時間、ノッて来るといつまででもやってるけど、さすがに近所があるから六時にはやめるようにしてます。」

ハーレムのアパートで音楽の言葉に磨きをかけて。
夜になるとステージで世界と会話する。
信之介の部屋でシンプルなメッセージを聞く。
たった一つのことをやり遂げるにも、人生はあまりにも短い。
「おまえはどうするんだい?」と言われているようだ。



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