岩切天平の甍

親愛なる友へ

エイズ・ウォーク

2007年05月20日 | Weblog

セントラル・パークでエイズ・ウォークの撮影。

16年くらい前(歳取ってくると話が十年単位になってきてイヤになる)のある日、毎日通っていたイーストビレッジの名画座から映画を見終えて出て来ると、歩道にHIV患者とおぼしき少女が段ボールの上に横たわって眠っていた。
Tシャツとショートパンツから伸びた白い手足ににじむように黒い斑点がひろがっていた。

その日のノートにはこう書いてある。

「部屋に帰って僕は、震える手でカメラを取り上げ、床に転がったギターケースをのぞきこんだ。
広角レンズに付け替え、ふらふらと早足で映画館の前に戻った。
自分が何をしているのかすら解らないままに、まるで犯罪者のようにカメラを彼女に向けた。
ファインダーの中で、彼女はギターケースよりも小さかった。」

いいのか,悪いのか。今でも答えは出ないままだ。