Cartagenaで楽しい夕食会
9月13日(木)Alicanteからてまりに乗った義弟夫妻の長男夫婦がロンドンから訪ねてきた。久しぶりに大人数で楽しい夕食会となった。ここで義弟夫婦は船を下り、陸路スペインの家族旅行を楽しむことになる。
てまりは翌9月14日(金)30マイルほど先のAguilasを目指して朝8時過ぎにCartagenaを出航。海は穏やかで追い潮に乗り、艇速は6ノット以上をキープしていた。昨日Aguilasのマリーナに電話をしたところ、マリーナは満杯で明日にならないと停泊できるかわからないと言われている。
午前10時過ぎ、次の目的地Garruchaのマリーナに電話を入れてみると、いつでもどうぞとの返事。そのままGaruchaまで足を延ばすことに決定。幸い順風に乗って艇速を維持することができ、午後4時前にGaruchaのマリーナに入港することができた。着いてみると、広いマリーナはかなり空きスペースがある。「いつでもどうぞ」に納得。
ここのところ外食が続いたので、今日の夕食は久しぶりに和食。先日購入したオオトロ鮪、冷奴、鰯の塩焼きに友人が持ってきてくれた日本酒。やはりいつ食べても和食が一番腹に落ち着く。
深夜の大雨で船内は水浸し
深夜12時過ぎ、激しい雨の音で目が覚めた。熟睡していて雨の降りだしに気付くのが遅れ、開けていた窓から雨が吹き込んで周囲は水浸しとなってしまった。朝起きてもどんよりとした曇り空。 そして予報どおり昼前に再び猛烈な雨が降り出した。たまの雷雨以外まったく雨を気にする必要が無かった地中海の夏も、どうやら終わりに近づいてきたようだ。
最後の寄港地、Almeriaに到着
9月16日(日)、朝8時前Garruchaを出航した。風は穏やかな陸風から次第に東に振れて追い風になる。午前10時過ぎ、Almeriaのマリーナに電話をする。ここもAguilas同様当日にならないとバースの空きがわからないと言われていたのだ。OKの返事が出たので、バックアップと考えていたSan Joseをパスして52マイル先のAlmeriaを目指した。
沖からみたSan Joseの町
12時半過ぎSan Jose沖を通過。ここは8年前、てまりの購入を決めて初めてのテスト航海で訪れた場所。何もないリゾートタウンだがその時のわくわくした気持ちを思い出した。
陸を見ると、南スペイン独特の白い家並みの村が目立つようになってきた。
終始追い風に乗り午後4時、想定より早くAlmeriaのマリーナに入港。
ここが、てまりクルーズ最後の寄港地。最終目的地Almerimarまであと21マイルを残すだけとなった。
巨大な城塞遺跡が残る港湾都市Almeria
日本のガイドブックでもあまり紹介されていないAlmeriaは、人口20万人を擁するアルメリア地方の中心都市。20世紀半ばごろまで、鉄鉱石の積み出し場所として活用されていたらしく、その積み出し用の鉄道線路が当時のままの姿でマリーナ入口に残されている。
小高い丘の上には巨大な城塞Alcazabaがある。10世紀にこの地がイスラムの支配下になった時に建築された城塞は長い城壁をもつ広大なものだ。その後キリスト教徒によって取り戻されたのちにも増改築がなされたようで、この城塞はグレナダにあるアルハンブラ宮殿同様、イスラムの建築とヨーロッパの建築デザインがミックスされている。
9月18日(火)明日がてまりラストランということもあり、旧市街のレストランに出かけた。レストランのディナーがスタートする午後8時半に予約したが、我々以外誰もお客はいない。9時半頃になってようやく他の客が入り始めた。本当にスペインの夕食時間は遅い。
てまり航海最後の日を迎える
9月19日(水) 快晴。海は風も波も無く穏やかだ。 Almerimarまで残り21マイルを5.5ノットのスピードでトローリングをしながらのんびりと走る。小さめだがカツオが立て続けにヒット、上出来だ。
てまり、Almerimar入港の瞬間 うめぼし増田さん撮影
午前11時半過ぎ、Almerimar周辺の見慣れた景色が見えてきた。
防波堤を回り込んでマリーナに入っていくと二人の日本人が手を振っている。マリーナスタッフのフミさんと、ヨットうめぼしの増田さんだった。
午前11時50分、Almerimarの受付桟橋に舫いを取る。8年間に及ぶ、ヨットてまり号のクルージングが終わった瞬間を迎えた。
夜はフミさん増田さんと、4年ぶりに戻ってきた、「てまり」のふるさとAlmerimarで無料タパスを楽しみながら歓談。アルメリア県の主要都市では、アルコール飲料一杯に無料でタパスが付く。日本の小皿料理程度の量だが、お店によっては20種類ほどの中から好きなものを選べるのがうれしい。今日も2軒のお店を梯子し、ビールとワインを2杯ずつ飲んでタパスをつまむと、それで十分な夕食だった。
日本からシングルハンドで世界一周を目指して航海中の増田さんにびっくり
Almerimarマリーナスタッフのフミさんと共に我々を迎えてくれた増田さんは、2015年1月木造の28フィートのヨットで日本を出航し、インド洋から喜望峰を回って地中海に入り、地中海を周航して9月中旬にAlmerimarに到着したというシングルハンドセイラーだ。途中大波を食らってろっ骨を骨折したり、様々なトラブルを乗り越えてここまで来たすごい人だ。ヨットうめぼしブログはこちら
8年間で走った距離は地球一周プラス
8年の間にてまりで訪れた国は45か国。航海日数(停泊期間も含む)は992日。
地球の赤道上をぐるっと一周すると約4万キロあるそうだ。てまりが走った距離は約22,600マイル(海里)。キロメートルに換算すると41,810キロ。地球一周よりも長い距離を走ったことになる。何度も計算し直したが、間違いない。そんなに長い距離を走ったという実感はまったくなく、正直なところびっくりした。
ここAlmerimarは、ヨットてまりを購入した場所。まさにてまりのホームポートだ。船を購入した2010年から今回で5回目の訪問。今までの滞在期間は4カ月を超える。これから船の後片付け、船を売却するための相談、日本に持ち帰る荷物の整理などやることは山ほどある。しかし、フミさんという頼もしいマリーナスタッフが居る、慣れ親しんだここAlmerimarで、美味しいタパスとワインを楽しみながら、てまりクルーズの締めくくりを楽しもうと思っている。
次回が、ヨットてまりブログの最終回となりますが、日本帰国までのレポートをお届けします。