ドイツの大河Rheinを下る
6月28日(水)Rhein-Herne canalからライン川に入ってすぐのRuhrorterマリーナを出航、そのまま川を下る。この辺りの川幅は300mほどあり、ゆったりと蛇行する水流は時速5-6kmぐらい。エンジンの回転数を今までより少し抑え目にしても、船は時速15㎞ほどで川を下っていく。
川の周辺は北ドイツの工業地帯となっているため、周りの景色も工場が多い。当初はライン川を遡上するルートを設定していたのだが、上流の流れはかなり早いため、セーリングヨットのように小さなエンジンで足の遅い船にとってはかなり危険がありそうで悩んでいた。途中で出会ったオランダのヨッティーからの情報で、大きく迂回してオランダ・ベルギーの運河を通るより安全なルートがあることを知った。残念ながら観光船が行き交う最も美しいライン川上流域の通過は諦め、オランダへ出る下流の工業地帯を走ることになったという訳だ。
今日の目的地Emmerich am Rheinまでは70㎞以上あるが5時間ほどで町が見えてきた。川を下る場合は想定以上に距離を稼ぐことができる。これより更に速く流れる上流域をてまりのような船で遡上するのはかなり危険だということが実感できた。
ライン川とともに生きる町Emmerich am Rhein
ライン川に面するEmmerich am Rheinはその名の通りライン川のお蔭で発展を遂げた町。その地理的利便性を生かして、今も川を往来する運搬船と鉄道やトラックなどの陸上輸送を結ぶハブとして重要な役割を果たしている。また周辺には日本のブラザーや花王を含む大手企業の工場が数多く稼働する。
Emmerichのマリーナはライン川から少し引っ込んだ入り江にあるため、川の流れの影響は全く受けないが、フローティングポンツーンを繋いである柱の高さに驚いた。水面から15m近くあり、どの柱もその真ん中あたりから下が黒ずんでいる。現在は渇水期なので水位は一番低いが、春先などの増水期にはそこまで水位が上がるという証拠だ。よく見るとマリーナにあるレストランも浮桟橋に建てられている。町の博物館には、過去に何度か町中が水浸しになっている写真があった。今まで水位差の全くない運河をクルーズしてきたため、改めて大河の怖さを思い知らされた。
ドイツからオランダへ入る
6月30日(金)Emmerichのマリーナを出航してライン川をさらに34kmほど下りオランダに入る。
そこで左に折れて合流するMaas川へ入る。6月12日Elbe Lubeck Canalに入って以降いくつもの運河を通り、最後はライン川を下ってドイツでのクルーズを終えた。午後3時過ぎ、ロックを二つ通過し途中にあるWellというリゾート地にあるマリーナに舫いを取る。
7月1日(土)朝から小雨が降る中Wellを出航、66㎞先のRoermondへ向かう。ドイツとの国境沿いに流れるMaas川はロックによって運河化されているため、渇水期の今はほとんど流れがない。ライン川と比べるとトラフィックも圧倒的に少なく、様々な種類の水鳥達が遊ぶ川をのんびり遡上する。午後2時半、二つのロックを通過しRoermondのマリーナに舫いを取った。
二つの顔を持つ町Roermond
Roermondは支流の運河沿いにある旧い街並みと、その外側にあるデザイナーアウトレットが売りの町だ。広大な敷地に200以上の有名ブランドのアウトレットショップを集めた場所が市の中心部から徒歩数分のところに作られ、ブランドの数は今も増え続けているという。我々が行ったのが日曜日ということもあって大混雑。人気のショップは入場制限されて大勢の人が並んで待っていた。こちらも丁度探していた靴やジャケットが予想外の安さで入手できて大満足。
ヨーロッパの歴史の重みを感じさせる町 Maastricht
7月3日(月)、Roermondから50㎞ほどMAAS川を遡上しEU設立の礎となったマーストリヒト条約で有名な町Maastrichtのマリーナに舫いを取った。
ここでの最優先課題は冷蔵庫の修理。4-5日前から完全にダウンしたので、なんとかここで直したいと思い、真っ先に色々当たって修理業者を見つけることができたが、メーカーに問い合わせるのに一日、その後修理に来てもらうのに一日待つことになった。
Maastrichtはオランダ領とはいえドイツとベルギーに挟まれたその地理的な条件から、過去に20回以上も他国に領有された歴史を持つという。MAAS川沿いにあるこの町を歩いてみるとヨーロッパの様々な国をミックスした、オランダとも違う雰囲気を感じさせる素敵な町だ。冷蔵庫の修理のお蔭でゆったりと2日間この町を楽しむことになった。緑に囲まれた町の周辺はオランダでは珍しく起伏に富んだ地形だ。
オランダではプリペイドSIMが簡単に購入できてビックリ
ドイツで購入したパケット通信SIMが使えなくなったためVodafonのショップに行った。ヨーロッパ各国で使えるパケット用と通話用の二つのプリペイドSIMを購入したが、パスポートを見せろとも言われず、スーパーで普通の商品を購入する感じで買うことができた。ドイツではドイツ国内に住所が無いと購入できないと言われただけに、その違いに驚いた。EU内でも国によってテロに対する問題意識や基準がバラバラなのだから、テロのリスクが減ることは無いだろう。
オランダからベルギーへ
7月6日(木)冷蔵庫は応急処置で動くようになったためMaastrichtを出航、数キロ先のロックは既にベルギーだ。ここからMaas川はMeuse川に名前が変わる。ロックで簡単な手続きを済ませベルギーに入国、Liegeの町のマリーナに舫いを取る。オランダはドイツと色々な意味で近い感じがしたが、ベルギーに入った途端にここはフランスだと感じた。公用語がフランス語ということもあるが、町の雰囲気や店頭に並ぶ食材もフランスだ。
Liegeの町は背後に小高い丘があるため坂が多い。374段の階段を上り町が見渡せる丘の上に立つと眼下にMeuse川とLiegeの町が見渡せた。
4つのロック通過に合計3時間40分
7月7日(金)朝7時半LiegeからMeuse川を遡行しNamurに向かった。距離は68㎞、その間にロックが4つある。今回はロックでかなり待たされNamurまで10時間近くかかってしまった。
Namurは小さな町だが丘の上に巨大な城塞跡がある。そこからはMeuse川が良く見渡せる。城塞のあった広場ではビールフェスティバルが開催されていた。
このあと更にMeuse川を遡行し、あと一か所ベルギーの町に立ち寄ったあとフランスに入る。
その他の写真はこちらからご覧いただけます。