雑居空間
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 社会思想社・現代教養文庫、イアン・リビングストン著のゲームブック、「死のワナの地下迷宮」に3回目の挑戦。

 これ以降、かなり「死のワナの地下迷宮」のネタばれを含んでいます。ご注意ください。



 ハッ!

 あたしは全身に汗をびっしょりとかきながら跳ね起きた。
 身体の芯にどす黒い恐怖が渦巻いている。あの体験が夢だったということが、こうして無事でいる今でさえ信じられないほどだ。
 あたしはサカムビット公が主催する迷宮探検競技に挑むため、このファングの町へとやってきた。そして洞窟に潜り、それまでの挑戦者と同様にサカムビット公の悪意に押しつぶされた、筈だった。
 しかし今、あたしはこうして無事にベッドの上にいる。あれはどうやら夢だったようだ。
 ベッドから起き上がり、悪夢を引きずって混乱した気持ちを落ち着けていると、やがてやぶ睨みの小男があたしを呼びに来た。
「ご案内いたします」
 あたしは考える間もなく、その男につれられて群衆が待ち受ける迷宮の入り口に向かっていった。

 ?
 あたしは小男について歩きながら,妙な感覚に囚われていた.この様子,以前にも体験したことがあるような…….
 そうだ,あたしは夢の中でこれとまったく同じことをしていたのだ.それも2回も!
 既視感? いや、そうじゃない.多少の不鮮明さは残っているが,あたしは夢の記憶を徐々に思い出してきた.この宿の光景だけではない.これから赴く洞窟の入り口も,さらにはサカムビット公の洞窟の内部さえ,あたしには見てきたようにリアルな体験として思い出されるのだ.
 しかも,あたしが悪夢から目覚めたのは,確かこれで2度目だ.最初に洞窟に挑んで挫折し,その後夢から醒めて,改めて洞窟にに挑んで再び命を失った.2度のチャレンジにおいて,その洞窟の構造はまったく同じものだった.もしかしたら今度も,夢の記憶を利用することが…….

 いや,いや! あたしはあわてて首を振る.
 そんなこと,文字通りの夢物語だ.不確実な情報に命を預けるほど,あたしは楽天家ではない.
 しかし洞窟の入り口の光景から,他の参加者から群衆にいたるまで,夢で見た光景とまったく同じものだったのだ。
 あたしは身体を振るわせた.
 やはりあれは正夢だったのだろうか.
 だが,いずれにしろ夢の中ではこの洞窟を踏破することはできなかったのだ.夢なんて関係ない.自分の腕を存分に振るうことしか,このチャレンジから生還する術は無い.
 あたしは静かに目を閉じ,独り,自分の順番が来るのを待っていた.



<現在の状況>

技術(12):12
体力(23):23
運(10):10

食料:10
金貨:0
宝石:
飲み薬:ツキ薬

装備:夢の記憶



 あたしはゆっくりと洞窟の中へと歩を進めていく。
 同じだ。
 それはまさしく、夢で見た様子と寸分違わぬ光景だった。
 やがて、通路の左側に6つの箱が乗っている石のテーブルが目に入った。それも夢で見た通りだ。
 確か夢では、この箱の中には金貨が2枚と、サカムビット公のメッセージが入っていた。あたしはあたしの名前がかかれている箱に手をかける。
 果たして、箱の中には夢のとおりに、金貨と羊皮紙が入っていた。その文面も、はっきりとは記憶していないが同じような意味合いのことが書かれていたと思う。

 ここにいたって,あたしはあの夢が真実だったと思えるようになった.理屈ではない.実際にそうなのだから,そうだとしか言いようがない.確かに不思議なことではあるが,それで生存率が向上するのならその事実を利用しない手はないだろう.

 あたしは金貨を懐に収めると、トンネルを北へと進んだ。その先は夢のとおりに、東西に分かれていた。床には先行している4人の足跡が残っており、3人は西へ、1人は東へと向かったようだ。
 夢の中では、2回ともあたしは東へと進んだ。しかしあたしの勘では、この通路の危険性は西も東も大して変わらないのではないかと思う。
 すでに東の通路は夢の中で確認済みだが、西は未知の領域だ。ここは西の通路がどうなっているのかを確認した方が良いような気がする。

 あたしは3人の足跡について、西の方角へと歩を進めた.


(つづく)



<現在の状況>

技術(12):12
体力(23):23
運(10):10

食料:10
金貨:2
宝石:
飲み薬:ツキ薬

装備:夢の記憶


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