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歴史の流れ

2024-04-09 | Weblog
シリアのイラン大使館に対するイスラエルの攻撃によってイラン軍要人が殺害された事件に関し、イランの最高指導者はイスラエルに報復する意図を示しました。受けて、イスラエル国内はパニックモードとなり、ネタニヤフに対する抗議デモも激しくなっている模様です。秋の米大統領選に向けてなのか、バイデンもネタニヤフにRafahへの軍事作戦を中止するように要請しました。世界のほとんどを敵に回したシオニスト政権のイスラエル、Rafahを総攻撃してパレスティナ人を虐殺した上でガザを完全掌握したあと、ネタニヤフはどんな形の国をつくろうとしているのか、まともに考えているとは思えません。イスラエルに殺された数万人の遺骨の埋まった「子供の墓場」と呼ばれているガザを整地して、ユダヤ人ファミリー向けのマイホームでも立てるつもりなのでしょうか。知恵ある人なら、どう考えても今のシオニストイスラエルに明るい未来があるとは思えないでしょう。イスラエルという国は存続してはならない、解体されて、人種、宗教にかかわらず平等な人権が守られる普通の近代国家、新パレスティナとでも呼ぶべき国が作られるべきであると強く思います。

さて、シオニストに牛耳られているアメリカ議会、そのアメリカのポチである自民党政権、その自民党政権に会長人事を握られている政権広報放送局のNHKや、政府広報などを通じた金で政権に飼いならされたマスコミの報道を聞いていると、「情けない」の一言しかありません。世界中のアメリカ以外のほとんどの国や国連や国際司法裁判所で、イスラエルが意図的に200万人のガザのパレスティナ難民を飢えさせ、3万人以上の市民をこの半年弱で殺害し、パレスティナ人道支援者を意図的に攻撃し、ガザの文化、施設、インフラを破壊し続けて、人が住めない土地にしてきた行為は「ジェノサイド」以外の何ものでもないと非難してきているのに、NHKは、このイスラエルによる「悪魔の所業」をあたかも遠い国の二つの勢力間のコンフリクトであるかのように報道しています。ホロコーストにせよルワンダの虐殺にせよ、「ジェノサイド」は外国の話と思う人もいるかも知れませんが、今回のイスラエルのガザへの攻撃を外国メディアが非難するときにしばしば、喩えとして語られるのはヒロシマでありナガサキです。何万という市民が突然の大量破壊兵器によって瞬時に殺害された出来事です。また戦時中の沖縄の扱いを見ても、これは日本政府による沖縄人に対するジェノサイドと言えないことはないし、帝国主義時代の日本のアジア諸国の人々に行った行為もそうです。日本はジェノサイド加害者であるとともに被害者でもあり、こうした行為に対して日本人は強く非難する義務があるはずですが、政府にしてもマスコミにしてもこうした人道主義に対する冒涜と犯罪を強く非難しません。そして、NHKが、ガザ自治区で選挙によって選ばれた政権であるハマスを「イスラム勢力」と呼ぶのを聞くたびに、情けない気持ちになります。こうして言葉や表現を恣意的に選ぶことで、ハマスはテロ組織でイスラエルが10・7におきたテロの被害者であるかのような刷り込みをしようとするsubtleな悪意を感じます。ハマスは、ガザ自治区の正式な政府であってイスラエルに侵害されたパレスティナ人の権利を守るためにイスラエルの抑圧に抵抗するために組織です。しかるに、イスラエルやアメリカにとっては、ハマスはテロ組織であって、イスラエルはテロの被害者でなければ、都合が悪いのです。でなければ、「民主主義」を錦旗に掲げて世界中で紛争に介入してきたくせに、イスラエルのシオニスト政権を支援し続けるアメリカは言い訳が立たないのです。そして、そのアメリカの飼い犬である自民党政権は飼い主の意思に背くことができないのです。

イスラエルは、いまだに10/7以前には罪のない国家であったかのように振る舞い、まるで10/7に突然、テロによって人質を取られた被害者のような顔をしてきました。事情をよく知らない人々やイスラエル国内のユダヤ人移民者はそのプロパガンダを信じています。しかし、そもそもが1948年の建国前から、シオニストがテロ行為によって、パレスティナ住人の村を襲い、虐殺と略奪を通じて、領土を広げて、75万人のパレスティナ難民を作り出したのが、ことの始まりであり、イスラエルを建国したシオニストこそがテロリストと言えます。以来、ガザのパレスティナ難民はイスラエルに武力によって出入りを制限され、あの狭い産業もない土地に閉じ込められてきたのであって、10/7以前に75年に渡るイスラエルによるパレスティナ人に対する略奪、虐殺、差別、暴力、抑圧があって、現在はそれを極限までエスカレートさせている彼らのいう「芝刈り」すなわち「最後の仕上げ」の段階なのです。

同様に、先のウクライナーロシア戦争にしても、まるで歴史は2022年2月のロシアのウクライナ侵攻から始まったかのように報道していますが、もちろん、そこに至るまでに長い歴史があったわけです。これに関しては2014年のミンスク合意を経て、三十数年前の東西冷戦終結時の西側とロシア側との合意あたりまでは遡るべきだと思います。ウクライナに武器を供給しているのは誰なのかを見れば、この戦争でロシアが何と戦っているのは明かです。アメリカとNATOが冷戦終了時の「NATOは東進しない」という合意を破り、再三のプーチンの要請と警告にもかかわらず、NATO加盟国を次々に増やし、ついにウクライナにまで進出してきたことと、イスラエルがオスロー合意を守らず、違法入植によってどんどん領土を拡大して、ついにガザとウエストバンクを掌握しようとしてきたことには相似性があります。

コンテクストというか歴史の流れの中でこれらの問題が今後どう解決されるべきかを考えてみれば、帰趨はなんとなく見えてくるように思います。われわれは、都合の良い部分だけを背景から切り離して取り出し、自己利益のために、それを針小棒大に大声で主張するものの声を排除し、できるだけ第三者の立場で大きな視点で全体を見て評価するという態度を忘れるべきではないと思います。
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