ライブドア事件、いよいよ「粉飾容疑(正確には証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑)」での逮捕となりました。今回は堀江元社長の逮捕以降代表取締役に就いていた熊谷取締役もなりました。
さて、これで問題となるのが「会社機関としての取締役・取締役会」の問題です。取締役の人数は商法第255条により
今回のライブドア事件では、熊谷取締役を含めてぎりぎり3名取締役しかいません。したがって、もし熊谷取締役が退任してしまうと、「商法違反の会社」となってしまう・・・・ように見えます。
しかし、商法を良く見ると実はこの部分は手当てされており、商法258条1項で
とはいえ、今回の場合には熊谷取締役が逮捕されてしまっているので取締役会への出席その他を事実上行うことが出来ません。そうすると、実質的に出席可能な取締役は2名ということになります。
このとき、商法260条の2にて
ただ、商法ではそんな場合に備えての手当ても行われています。商法第258条2項として
今回の一連の出来事を踏まえてライブドアが取り得る選択肢としては
(1)逮捕された熊谷取締役が当分の間そのまま留まる。
(2)あらかじめ全ての段取りを整えた上で、熊谷取締役を退任させ、仮取締役を選任する。(取締役不在の瞬間的なタイムラグ部分は258条1項で逃れる)
とはいえ、1月28日付けの[経営実務] 機関設計:ライブドアに見る“執行役員社長”とは?で指摘した状況(役付取締役でないものの代表取締役就任+取締役以外からの社長就任)は全く代わっていません。ということで、これを一度に解決するためには
(2’)上記(2)の平松執行役員社長を仮取締役及び仮代表取締役として請求する
という手段がありえるのかな?と感じています(定款は「現時点で代表取締役になれるものがいない」状態ですので、仮代表取締役の選任も認められるのではないかと思いますが・・・いかがでしょうか?)
なお、仮取締役・仮代表取締役のいずれもあくまでイレギュラーな緊急避難措置ですので、会社機関の安定という面からは「もともとからお粗末だった」ということと言わざるを得ないのかなと感じます。
法人たる会社での法定機関には主に「取締役」「取締役会」「代表取締役」「監査役」「監査役会」とありますが、これらの1つが欠けても会社としては機能不全状態となってしまいます。そういう意味では、今回の出来事からコーポレート・ガバナンスの第1歩は「常に会社が機能するよう、少なくとも法定機関については保守的に構築すること」ということを改めて感じさせられました。
今日の日経新聞のコラムで元米国SEC委員の方が「危機は『危険』と『機会』の組み合わせである」と論じていましたが、正に今回の出来事は「一人ひとりが会社機関の意義やコーポレート・ガバナンスを改めて考える『機会』」となったのではないかと思います。
なお、本日のエントリにつきましては
●Law Maniac - 『仮取締役の選任』(minori氏)
●isologue - 『取締役の欠員はどうするのか?』(磯崎氏)
の2つを参考にさせて頂きました。Law Maniacでは東京地裁での取り扱いなど、isologueでは発表資料に基づく細かなライブドアの現状等が紹介されていますので、ぜひ合わせてご覧頂ければと存じます。
また法定機関を含めた会社機関の位置づけは“マネジメント”にも深く関わる問題ですので、今後も深堀りしていきたいと思います。
さて、これで問題となるのが「会社機関としての取締役・取締役会」の問題です。取締役の人数は商法第255条により
第255条 取締役は3人以上たることを要すとなっています。
今回のライブドア事件では、熊谷取締役を含めてぎりぎり3名取締役しかいません。したがって、もし熊谷取締役が退任してしまうと、「商法違反の会社」となってしまう・・・・ように見えます。
しかし、商法を良く見ると実はこの部分は手当てされており、商法258条1項で
第258条 法律又は定款に定めたる取締役の員数を欠くに至りたる場合に於ては任期の満了又は辞任に因りて退任したる取締役は新に選任せられたる取締役の就職する迄仍取締役の権利義務を有すとあり、取締役が定員割れとなった場合に限っては、新しい取締役が決まるまでの間、期間満了退任又は辞任した取締役が引き続いて取締役の任に就くことになります。
とはいえ、今回の場合には熊谷取締役が逮捕されてしまっているので取締役会への出席その他を事実上行うことが出来ません。そうすると、実質的に出席可能な取締役は2名ということになります。
このとき、商法260条の2にて
第260条の2 取締役会の決議は取締役の過半数出席し其の取締役の過半数を以て之を為す 但し定款を以て此の要件を加重することを妨げずという定めがあるため、「万が一もう1人にも何かあった場合」には取締役会の開催ができなくなってしまう=会社が機関決定を行えなくなる=機能不全状態となってしまうことになります。実際、TV等の報道をみると、2名の取締役のうち少なくとも1名は海外出張中とのことですので、少なくとも現時点では「取締役会が行えない」という状態にあります。
ただ、商法ではそんな場合に備えての手当ても行われています。商法第258条2項として
2 前項の場合に於て必要ありと認むるときは裁判所は利害関係人の請求に依り一時取締役の職務を行ふべき者を選任することを得 此の場合に於ては本店及支店ノ所在地に於て其の登記を為すことを要すと定めており、裁判所の関与を前提として株主総会の決議によらずして「仮取締役(取締役の職務代行者)」を選任することができます。これにより、一時的に取締役の定員不足状態を解消することが可能となるのです。また、この規程は代表取締役についても準用されていますので、代表取締役が欠けた場合には仮代表取締役を選任することも可能です。
今回の一連の出来事を踏まえてライブドアが取り得る選択肢としては
(1)逮捕された熊谷取締役が当分の間そのまま留まる。
(2)あらかじめ全ての段取りを整えた上で、熊谷取締役を退任させ、仮取締役を選任する。(取締役不在の瞬間的なタイムラグ部分は258条1項で逃れる)
とはいえ、1月28日付けの[経営実務] 機関設計:ライブドアに見る“執行役員社長”とは?で指摘した状況(役付取締役でないものの代表取締役就任+取締役以外からの社長就任)は全く代わっていません。ということで、これを一度に解決するためには
(2’)上記(2)の平松執行役員社長を仮取締役及び仮代表取締役として請求する
という手段がありえるのかな?と感じています(定款は「現時点で代表取締役になれるものがいない」状態ですので、仮代表取締役の選任も認められるのではないかと思いますが・・・いかがでしょうか?)
なお、仮取締役・仮代表取締役のいずれもあくまでイレギュラーな緊急避難措置ですので、会社機関の安定という面からは「もともとからお粗末だった」ということと言わざるを得ないのかなと感じます。
法人たる会社での法定機関には主に「取締役」「取締役会」「代表取締役」「監査役」「監査役会」とありますが、これらの1つが欠けても会社としては機能不全状態となってしまいます。そういう意味では、今回の出来事からコーポレート・ガバナンスの第1歩は「常に会社が機能するよう、少なくとも法定機関については保守的に構築すること」ということを改めて感じさせられました。
今日の日経新聞のコラムで元米国SEC委員の方が「危機は『危険』と『機会』の組み合わせである」と論じていましたが、正に今回の出来事は「一人ひとりが会社機関の意義やコーポレート・ガバナンスを改めて考える『機会』」となったのではないかと思います。
なお、本日のエントリにつきましては
●Law Maniac - 『仮取締役の選任』(minori氏)
●isologue - 『取締役の欠員はどうするのか?』(磯崎氏)
の2つを参考にさせて頂きました。Law Maniacでは東京地裁での取り扱いなど、isologueでは発表資料に基づく細かなライブドアの現状等が紹介されていますので、ぜひ合わせてご覧頂ければと存じます。
また法定機関を含めた会社機関の位置づけは“マネジメント”にも深く関わる問題ですので、今後も深堀りしていきたいと思います。
http://blog.goo.ne.jp/xxxxxxx1234567
コメントが遅くなりまして申し訳ございませんでした。
手続き的な詳しいところがどうなっているかは分からないのですが、仮監査役選任の事例等をみてみますと、申請者側からの「推薦」があれば必ずしも弁護士(その他の有資格者)でなくても選任されているようです。
もちろん一つ一つの事例を細かく見ていかければならないのでしょうが、今回の場合には「平松社長」を推薦したら通る可能性もあるんじゃないかな?と考えました。
ぜひ、またご意見をお聞かせください。