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ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

人事考課:従業員の「納得性」を高めるポイント

2006-03-07 | マネジメント
今日の業務は、お客様企業での管理職を対象とした「考課者ミーティング」のナビゲーター。年度代わりにあわせて実施する人事考課の手順や評価ガイドラインについて、1日かけて検討を行いました。年度末に向け、多くの企業ではそろそろ「人事考課」の準備をはじめている頃ではないでしょうか?

人事考課の一義的な目的は「新たに仕事を任せる事ができるか否か?」を判断することです。そして、この裏返しとして「新たに仕事を任せる分だけ報酬(給料)を増額」したり、「昇格・昇進」を行うこととなります。さらに、人事考課のプロセスを通じて会社(管理職)としての期待を従業員に伝え、同じ方向を向いて仕事ができるように環境を整えることになります。(ちなみに、賞与評価は「過去一定期間の成果を測定し、短期的に還元する」という側面が強くなります。)

巷では「成果主義がいい」とか、「いや、日本型年功賃金がいい」とか様々なことがいわれていますが、私としては制度自身はどのようなものに立脚していてもかまわないと考えています。それよりも大切なことは「考課内容やその結果である報酬(給料)が、従業員にとって納得できるものでか?」ということです。

では、どのようにすれば人事考課や給料への納得性が高まるのでしょう?それぞれの企業で様々な工夫を凝らしていますが、概ね次の事柄がうまく回っているところでは、納得性が高まる傾向にあります。

○日常のコミュニケーションの中で部下の行動を細かく観察する。
○観察してさらに進めてほしいこと(良行動)や修正が必要なことがあれば、出来る限りその場でフィードバックする。
○このフィードバックを通じて「実際に行っていた行動」について、部下と合意を取っておく。
○この合意のとれた行動の事実について、人事考課のインプット材料とする。


実は、これはISOのマネジメントシステム等で用いられる「内部監査」と同様の考え方です。内部監査も人事考課も、PDCAサイクルの中の「Check(検証)」という点は変わらないため、自然と同じような観点が求められるのです。

とはいえ、上記のようなことを日々細かく行っていくのは大変です。このため、管理職としての日々の行動の中で自然とこれらのことを実践できる“マネジメントの道具”を用意するとよいでしょう。

私の場合は、表形式の「ファクトシート」を用意し、部下を褒めたことや注意したことを普段から記録してもらうようにしています。ポイントは「実際に褒めたこと・注意したこと」を記録してもらうことです。こうすることで、「その場で部下に伝える」「合意をとる」といったプロセスを出来るだけ行ってもらうように促しています。

さらに可能であれば、部下自身に「自分の行動が良かったのか?悪かったのか?」を考えさせるケースもあります。この場合、日報や週報などに「自己評価」としての点数をの理由を添えて部下に書かせます。この場合、上司がその評価を変更したい(甘すぎる・辛過ぎる)と考えた時には、きちんと理由を添えて部下に話を行い、合意が取らなければならないようにします。これにより、部下自身が主体的に考えた結果が評価結果となりますので、納得性は大変高まることになります。さらに、この方法では考課対象期間後には日報・週報を集計するだけで考課結果が自動的に決まりますので、大幅な作業短縮となります。

ただし、これらの手法をいきなり導入したところでうまくは行きません。人事制度を作り上げる中では「どのように働いてもらいたいのか?」「何に対して報酬を支払うのか?」ということを経営者自身がしっかりと考え、明確なメッセージとして伝えることが、納得性を高める上で最も重要なポイントなのです。

「人事考課がうまくいかない、活きていない」とお悩みの方は、まずは上記の2点から考えてみてはいかがでしょうか?


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