ギリギリ探偵白書・193



 ギリギリ探偵白書
 「瞬間接着男・第2話」


 
 田中の夜の営業活動の成果で依頼が入った。
 依頼者はストーカーに悩まされるキャバ嬢だった。
 調査初日、何事もなく終了するかと思った深夜の事。
 まもなく日付が変わろうかとする頃、男は現れた。



 
 マンションの前で、キョロついている男がいる。
 男は手に紙袋を持っている。
 はっきり言えば、明らかに不審者である。


サザビー 「田中、ビデオは?」

田中   「回ってます」


 男は、オートロックを難なく突破し
 マンションに入っていった。

 田中が目で合図する。
 私は無言で頷く。

 田中は、車を降り、依頼者から預かっている鍵で
 オートロックを通過し男を追う。

 田中から無線が入る。


田中   「サザビーさん、ビンゴです」

サザビー 「了解、向かいます。証拠になりそうか?」

田中   「一部始終を撮ってますが・・・」


 男が何をやっているのかはわからないが
 調査を始めて初日、証拠はまだ揃っていない。

 しかし、依頼者の話ではストーカー行為は
 だんだんとエスカレートしている。
 次は何をしでかすかわからない。
 
 私が、その階に到着した時
 男はドアの前で屈んで何かやっている。


サザビー 「何してんだろな?」

田中   「ピッキングですかね?」

サザビー 「あの鍵・・・ピッキングは無理だぜ」

田中   「そうですよね・・・あ!!」

サザビー 「ん?」

田中   「アイツ、アロンアルファですよ」


 男は、鍵穴にアロンアルファを流しこんでいた。


サザビー 「・・・開かなくなっちゃうねぇ」


 田中は、私にビデオを渡し、男に歩み寄った。

 
田中   「おい、その辺にしとけよ」


 男は、驚いた様に田中を見た。
 そして、また、鍵穴に向かって何かやっている。


田中   「・・・・・」


 私も男に近づいたが、男は無反応。

 (なめられたもんだね)

 私は後ろから男の手を掴んだ。
 男は私を睨みつけ、手を振り解こうとした。


サザビー 「田中ぁ!」

田中   「おいっす」


 田中が、暴れる男を力ずくで押えつける。


男    「な、何するんだっ!」


 私は男の指を鍵穴に押し付ける。


男    「おい、止めろっ!くっついちゃうだろ」


 お騒ぐ男を無視し、さらに、押しつける。


男    「おい、お前等っ!!
      こんな事して、タダで済むと思ってんのか?」

サザビー 「お前こそ、こんな事して、タダで済むと思ってんのか?」

男    「なっ・・・」

田中   「ま、とりあえず器物破損かな」




        完



 メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。

 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
 また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。


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