ギリギリ探偵白書・184

 ギリギリ探偵白書
 「客とストーカー・第2話」



 調査の予定も面談の予定も無くのんびりと過ごしていた昼下がり
 突如、チョーさんが思い出したようにつぶやいた。

 チョーさん「そういや、さっき相談の電話があったぞ」

 相談はストーカー被害にあっている女性からだった。 




 依頼者はある本屋で働いていて
 ストーカー男は、よく来るお客さんだったという。

 何度か、本を探したりしてあげたりして
 店内で会うと世間話をするようになった。

 その後、男は毎日のように依頼者の前に現れ
 手紙を手渡してくるようになった。

 ある時、依頼者が旅行のため、1週間、仕事を休んだ。
 そして旅行から帰ってくると家のポストに男から手紙が届いていた。
 毎日1通ずつの手紙が入っていた。

 なんとなく恐くなり、警察に相談に行った。
 警察はパトロールを強化すると言ってくれたらしい。

 それからは、男が本屋に現れても、極力、避ける事にした。
 しばらくすると、男は本屋に来なくなった。

 しかし、手紙は毎日、ポストに届いていた。
 尾行もされるようになった。
 
 依頼者はバイトを辞め、家も引越した。
 それでも、ストーカー行為は続いた。

 
サザビー 「警察は?」

阿部   「まだ、動かないだろ」

田中   「でも、こんなに被害があるのに」

チョーさん「そうだな、尾行はともかく、手紙はあるんだろ?」

阿部   「それが、全部捨てちゃってるらしいんだ」

サザビー 「ありゃりゃ、証拠隠滅」

阿部   「ま、引越代も含めて賠償請求だな」


 調査は順調だった。
 男は毎日のように、依頼者の家の近所に現れる。
 駅で依頼者を待ち伏せしている事もあった。

 調査を始めてからの手紙はしっかり保管している。


サザビー 「証拠は、まあ、揃ったよ」

阿部   「ちょっと弱いかもな」

わたぼん 「前の本屋さんからの証言も取れましたよ」

阿部   「これで押すか・・・」


 翌日、男がポストに手紙を入れている時に声をかけた。


阿部   「おじさん、ちょっといいかな」

男    「っ!!は?いえ」


 男は顔を伏せ、あべちゃんの横を掏りぬけようとした。
 しかし、あべちゃんに腕を掴まれた。


男    「な、何するんだっ!警察呼ぶぞ!」

阿部   「おいおい、そんなに喚くなよ、呼びたきゃドーゾ」

男    「わ、私は急いでるんだ」

サザビー 「そろそろ、彼女の帰宅時間だもんな?」

阿部   「今日、彼女は電車じゃないよ」

男    「な、何の事だね」


 そこに、田中が依頼者さんを連れてやってきた。


男    「・・・・・」

サザビー 「暴れんでな、社長さん」

男    「・・・・・」


 あべちゃんは、全て証拠が揃っている事
 依頼者が訴える準備ができている事を男に伝えた。
 男は、ずっと下を向いている。


阿部   「ストーカー規制法は知っているよね」



        完



 メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。

 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
 また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。


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