つぶつぶタンタン 臼村さおりの物語

身体の健康と無意識のパワーへ 癒しの旅~Have a Beautiful Day.~

辻村深月著「太陽の座る場所」/小説、女子高生と元女子高生の感情の動きに共感

2020-01-09 00:14:36 | 本の感想/読書日記

年末年始に読んだ小説の感想、3冊目。

辻村深月著「太陽の座る場所」(文藝春秋)を読んだ。

辻村深月さんの小説を読むのは「凍りのくじら」に次いで2冊目。
辻村深月「凍りのくじら」小説、心のモヤモヤ、等身大のかっこ悪さに癒される

「凍りのくじら」はたまたま読書交換会でいただいた本。登場人物たちの等身大の感じがすごいよかった。どうも小説を読んでも「いやあたしそんなにかっこよくないんだけどな」と思ってしまうことが多い。

だから辻村さんの描く等身大の世界に癒された。同じ意味で桐野夏生さんも好き。

あたしにとっての辻村小説2冊目となった「太陽の座る場所」も期待を裏切らない、そして期待以上の読み応えだった。

語り手となる主要な登場人物たちはほぼ女性(一部男性)。高校の同級生たちの10年後が描かれている。そのなかのひとりが有名女優になっていて、その彼女を中心に発生する虚栄心、妬み、そねみ、プライド、見栄、計算、みたいな話。

アマゾンレビューに「登場人物が嫌な人物ばかりで引いたけど2回読んだら2回目は共感できた」というのがあって、なんとなくわかる気がした。

あたし自身に引き付けて話すと、高校のときは当時の女子が感じるような人間関係に起因する悩みはよくわからなかった。自分が生きるのに精いっぱいで、彼女たちのなかでこんなドラマがあったんだという新鮮な驚きもある。

だからこそ読んで、杓子定規に解釈してしまっていた同級生たちの心情を自分なかで復習するプロセスがとても気持ちよく癒しになる。

彼女たちの現在形における感情のほうは、なんとなくわかるものも多い。そして自分とは遠いものもあるけれど、遠いからこそ悩みはそれぞれなんだなとおもった。

なんというかしあわせのカタチはひとそれぞれで、しあわせと感じるかどうかとても主観的な感覚。
ちなみに現在開催中の「マスだ!」展の作品は、この「太陽の座る場所」を読んでしあわせのカタチについて考えたことに触発されたことがきっかけになっています。

今、「マスだ!」展についてリンクはろうと記事探したら、周りの作品と比較してほっぺたが落ちたという吐露日記しか見つからなかった。
・・・しあわせのカタチはそれぞれといいつつ、おもいっきり周りと比較して落ち込んでおりますが、まあ人間ですね。
急上昇中だけど、でも周りとの差に落ち込んだよ という日記

男性が読んだらどう感じるかはわからない。女性にはかなりお勧めの本かも。もっとも「きーちゃん」こと氷川きよしさんに象徴されるように、あたしたちの性別はグラデーションかもしれないから、女性・男性って一概には言えないんだろうね。

辻村さんの本、いっぱい読みたい。「太陽の座る場所」もいつかもう一度読みたいけど、今は他の本も読んでみたいという気持ちのほうが大きい。そして著作が大量にあってうれしいのだ。

ではまた


東京都豊島区池袋で読書交換会を開催しております。人にあげても差支えがない本を持ち寄り交換する読書会です。
東京読書交換会ウェブサイト
※今後の予定は2020年1月10日(金)夜、1月25日(土)夜です。

臼村さおり twitter @saori_u
思考していることを投稿しています。


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