峠を越えてもまだ先がある

谷 和也 シニアの挑戦 ゆっくりマイペースで

執念の「銅」

2007年09月02日 | ランニング
 世界陸上大阪大会最終日の2日、長居陸上競技場を発着点とする女子マラソンで土佐礼子(三井住友海上)が終盤、驚異的な粘りを発揮して銅メダルを獲得した。今大会、日本勢唯一のメダル。顔をゆがめながら土壇場で、前を行く選手を交わした根性の力走は賞賛ものだ。タイムは2時間30分55秒。土佐は来年の北京五輪代表に内定した。優勝はアテネ五輪銀のキャサリン・ヌデレバ(ケニア)で2時間30分37秒。2位は8秒差で周春秀(中国)が続いた。

 30度近い気温でスローペースの展開。サバイバルレースとなった。土佐は原裕美子(京セラ)とともに積極的に先頭集団を引っ張った。23㌔すぎで原に異変。腹痛なのか脇腹を押さえ、ずるずるとさがった。33㌔で先頭グループは8人に。日本勢は原と嶋原清子(セカンドウィンドAC)の2人が頑張る。あと4㌔地点でケニア勢が仕掛ける。あと3㌔、ケニア、中国の計4人が抜け出し、土佐が離されていったん5位に落ちた。10㍍から15㍍ほどの差。

 そこから土佐が挽回し始めた。まず、下がってきたケニアの選手をとらえる。競技場取り付け道路の40㌔を超えたあたりで、中国の選手にぐんぐん迫り、追い抜いて3位に浮上。さらに前の2人を追ったが、トラックに入ったときには、もう交わせない距離だった。

 「とにかくホッとしています。最後、メダルがどうかというところでは、絶対にあきらめないという気持ちで頑張りました。競技場に入って、カメラ(映像スクリーン)を見たら、後ろの選手がいないのを確認できました」。泣き出しそうな表情のインタビューだった。汗といっしょに涙をぬぐっていたかもしれない。(沿道や競技場でも声援が大きかったが、テレビ観戦でも力が入った)

 嶋原は6位に入賞した。「気づいたら、後ろからついてくる人がいなくて…」。期待の原は18位に終わり「応援していただいたのに、申し訳ありません」。

 《カット写真は毎日テレビから。終盤4人の争い。右端が土佐。隣が優勝したヌデレバ、左端が2位の周》
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