本来の目の水晶体とは異なる素材の、眼内レンズが両目に入っている。そのレンズと合うよう、伊丹市の眼鏡店で新たにメガネを調整してもらった。メガネを新調したのである。考えてみれば“不思議”だ。レンズ2つを通してモノを見ているかっこう。実際には両目だからレンズの個数は全部で4つ。そして、近くを見る場合だけは、メガネを外す。
新しいメガネをかけて見る世界は、とても明るく、新鮮な「動く映像」が広がっていた。くっきり見えるので、まるで精密な機械仕掛けのような光景のように錯覚するほど。これまでは、いかに“ぼんやり”としか見えていなかったということなのだ。モノが見え始めた乳児たちの目に映る世界は、ひょっとしたらこういう感じだったのか。
だんだん慣れてくると、新鮮さは薄らぐ。感動もなくなってくる。だが、今のところは「よく見えるようになった」と、しばしば感じる。まだ、週1回程度、眼科医に通い、チェックを受けている。自宅で両目に点眼薬を日に4回さす。つい、うっかりして忘れることもあるけれど、目薬を使っている間は少なくとも「目を大事にする意識」は持ち続けているのではないか。
《白内障の手術をするということは、体の部品が傷んできた証拠である。インドネシア語で白内障をどういうか。インドネシアから来日中の人に尋ねたら「katarak」という返事。医学用語であり、英語の「cataract」から来ている》