「かわいそうだね。病気でシカさんたち、みんないなくなっちゃったの」。母親が説明、幼児は黙って聞いている。池田市の五月山動物園。鹿舎はガランとしていた。そばにテント張りの献花台が設けられ、祭壇には遺影が数枚。小さな無料の動物園だが、ニホンジカは1958年の開園以来かわいがられていた。今は1頭もいない。ゼロになってしまった。
理由は、突然シカを襲った「結核」だった。昨年10月に1頭が死に、5頭に感染した。隔離して、感染したシカを殺処分。残りは18頭いる。ピンチを切り抜けたようだった。ところが年明けの1月にまた1頭死に、12頭に感染が確認された。他の動物にも被害が及ぶ心配があって「苦渋の決断」。一時閉園とすべてのシカの殺処分を決めた。
動物園は2月初旬に再開された。私が訪れたのは27日。祭壇が目について「えっ」と息を呑んだ。正面の入口から、坂を下ってすぐのところ。園内の“1等地”である。空っぽのオリを見るのは寂しい。シカが畜舎に隠れて寝そべっているわけではない。言葉も出ない。幼児のように黙ったまま。献花台の上に来園者が弔意を記す記帳簿。すでに2冊目になっていた。
理由は、突然シカを襲った「結核」だった。昨年10月に1頭が死に、5頭に感染した。隔離して、感染したシカを殺処分。残りは18頭いる。ピンチを切り抜けたようだった。ところが年明けの1月にまた1頭死に、12頭に感染が確認された。他の動物にも被害が及ぶ心配があって「苦渋の決断」。一時閉園とすべてのシカの殺処分を決めた。
動物園は2月初旬に再開された。私が訪れたのは27日。祭壇が目について「えっ」と息を呑んだ。正面の入口から、坂を下ってすぐのところ。園内の“1等地”である。空っぽのオリを見るのは寂しい。シカが畜舎に隠れて寝そべっているわけではない。言葉も出ない。幼児のように黙ったまま。献花台の上に来園者が弔意を記す記帳簿。すでに2冊目になっていた。