連句通信124号
2008年7月5日発行
二句表「藤房の」膝送り
藤房のピンクありけり多摩の里 峯田 政志
調子はづれに鳴ける松蝉 梅田 實
ウ
ご先祖のDNAの名残りにて 古賀 直子
お墓参りに煙草くゆらす 玉木 祐
あら不思議残んの月が池に落ち 星 明子
ましら酒など探しに行こう 古谷 禎子
張り込みにしびれ切らした鬼刑事 直子
あられもないねこんな寝姿 政志
ナオ
わんわんと蚊が群れている蚊帳の外 實
百一疋の逃げる夏月 祐
中国のディズニーランドつまらない 明
ナショナリズムはほんにおそろし 禎
初天神豆ぽりぽりと噛み続け おおた六魚
童手を振る反り橋の上 政
ナウ
花吹雪海の奏でる波の琴 六
夢もおぼろに貝の呟き 執筆
二00八年 五月三日 於 永山学習室
二句表「憲法は」 膝送り
憲法は六十一歳若葉雨 玉木 祐
豆飯たべる三人の孫 太田 六魚
ウ
新劇の稽古益々熱入りて 星 明子
こおろぎ探す助手のワタクシ 古谷 禎子
工房に機音響く後の月 古賀 直子
どぶろくを汲み話し込む人 峯田 政志
埒明かぬことになったと頭掻き 梅田 實
仲人役は割りにあわざり 祐
ナオ
濡れごとの濃淡ありオトコマエ 六
月の明かりに雪女笑む 明
鯛焼きは人形町の柳屋で 禎
また迷ってるメトロの出口 直
さよならはとどのつまりの人生か 政
首を振っても鳴らぬ尺八 實
ナウ
花パンダ出立つ空の広き果て 六
ぶらんここいでははみえるまで 執筆
平成二十年 五月三日 於 永山学習室
二句表「太っちょ」の巻
雛壇は太っちょばかり青嵐 梅田 實
薫る新茶を賞でる古伊万里 古賀 直子
ウ
一しきりケータイが名を呼びたてて 星 明子
逃げ行くやんま何処までも追い 實
赤い花つけてもらった月の街 直
新酒の甕を開けてもてなす 明
名をかえてでていますのよ膝に乗り 實
十二単の裾の艶めく 直
ナオ
お局と呼ばれる上司夜叉の顔 明
梟鳴いて月も翳りて 實
太棹のリズム激しく寒復習 直
狩勝峠徒歩で越え行く 明
今時の若いものにゃとやせ我慢 實
春場所きょうも満員御礼 直
ナウ
お手植えの花と伝わる花万朶 明
君が代歌ううららかな午後 實
平成二十年五月十八日 於聖跡桜ヶ丘
二句表 「不発弾」
明易や身の内にある不発弾 星 明子
眼をつむり沈む菖蒲湯 梅田 實
ウ
富士を背にとんびくるりと輪を描いて 古賀 直子
釣瓶落としの道を急げる 明子
月後に暖簾くぐれば新走 實
千生りびょうたんまつる神棚 直
灯心を簪抜いて掻き起こす 明
燃ゆる想いは尽きることなく 實
ナオ
終電で君追いかけたエアポート 直
銀狐跳ぶ月を映して 明
行悩む北極海の砕氷船 實
地震逃れて国境まで 直
幼児の手の温もりの尊けれ 明
犬に曳かれて針供養にも 實
ナウ
名物の豆腐御膳を花筵 直
くるくる回る春の絵日傘 明
於 五月十八日 関戸公民館
二句表 「未だ生れぬ子」
未だ生れぬ子の便りかな青葉木菟 六魚
蛍飛び来て点す葉の裏 明子
ウ
海鳴りを知らずこの里住みつきて 祐
機軽やかに秋のセル織る 直子
窓に月静かに雲の流れゆき 實
よき米できて案山子お手柄 薫
石油高庶民直撃困ります 政志
大塩さんは何と云ふかな 魚
ナオ
残り物に夫婦喧嘩をする若さ 明
好きな河豚鍋月登り来る 祐
厄落としやっと済ませたメタボ腹 直
あれあれと言うことが重なり 實
畳の下二重帳簿を見つけられ 薫
敷居の高き豪邸の居間 志
ナウ
花爛漫靖国神社例大祭 明
春の宵には銘酒一献 執筆
ヴィータワークショップ 二〇〇八年六月七日首尾
二句表 「衣装籠」
梅雨晴間その日暮らしの衣装籠 星 明子
硝子戸染める万緑の色 大田 六魚
ウ
サングリア作り食卓華やぎて 玉木 祐
口の滑りも爽やかになり 梅田 實
ご贔屓の役者見に行く小望月 古賀 直子
利酒会にやとう幇間 藤尾 薫
洒落本の聖遊廓読み合せ 峯田 政志
寺子屋帰りませた初恋 實
ナオ
お手紙は真名で書いたか道真さん 六
新幹線を追って凍月 直
暮なずむ窓にはぬっと雪の富士 祐
エンジェル税制ちょっと気になる 政
ファッションショー羽根毛のついたニューデザイン 薫
玩具の兵隊こわしたの誰? 直
ナウ
「荒城の月」の調べに花散りて 實
紋白蝶の群がりて舞う 明
平成二十年六月七日 於関戸公民館
二句表「あの時は」 膝送り
あの時は本当だった濃あじさゐ 玉木 祐
ラムネの栓をポンと抜く音 古賀 直子
ウ
悠々と流れる水は豊かにて 梅田 實
こぼれ萩手に庭の蹲 藤尾 薫
月仰ぎコント練習きりもなし 峯田 政志
円朝忌でもギャラは上がらず おおた 六魚
肩に手を雪駄をすげる優男 星 明子
錦帯橋を通う夜な夜な 祐
ナオ
銭湯ののれんの陰で待つつもり 直
三味の音につれ冬月がでて 實
うろうろと寒犬歩く路地の奥 薫
行灯透かしユーロ札見る 政
007は金貨噛んでみて 魚
五輪めざして記録続出 明
ナウ
花のもと花のかんばせ盃掲げ 直
赤白黄色とばす風船 執筆
二00八年六月七日 於 関戸公民館
二句表 海鳴り
海鳴りのおさまる頃や芋焼酎 六魚
正覚坊のかえる砂浜 明子
ウ
玉手箱語れる漁師年老いて 祐
新煙草をばおもむろに吸う 統一
山裾の真葛原に月のでる 薫
鞍馬天狗が弾くバイオリン 六
留学の娘を送るエアポート 明
絵手紙の繪はどうも彼らし 祐
ナオ
教会で同性婚の挙式あり 統一
冴えわたる月コロラドの河 薫
樹々黒くトムソーヤーは哲学す 六
善と悪との揺れる間に 明
宇宙船精密機器の微調整 祐
おたまじゃくしの数珠つなぎ切れ 一
ナウ
猿沢に漣おこす花吹雪 薫
草餅つくり孫を呼び寄せ 明
二〇〇八年六月一五日首尾 ヴィータ
2008年7月5日発行
二句表「藤房の」膝送り
藤房のピンクありけり多摩の里 峯田 政志
調子はづれに鳴ける松蝉 梅田 實
ウ
ご先祖のDNAの名残りにて 古賀 直子
お墓参りに煙草くゆらす 玉木 祐
あら不思議残んの月が池に落ち 星 明子
ましら酒など探しに行こう 古谷 禎子
張り込みにしびれ切らした鬼刑事 直子
あられもないねこんな寝姿 政志
ナオ
わんわんと蚊が群れている蚊帳の外 實
百一疋の逃げる夏月 祐
中国のディズニーランドつまらない 明
ナショナリズムはほんにおそろし 禎
初天神豆ぽりぽりと噛み続け おおた六魚
童手を振る反り橋の上 政
ナウ
花吹雪海の奏でる波の琴 六
夢もおぼろに貝の呟き 執筆
二00八年 五月三日 於 永山学習室
二句表「憲法は」 膝送り
憲法は六十一歳若葉雨 玉木 祐
豆飯たべる三人の孫 太田 六魚
ウ
新劇の稽古益々熱入りて 星 明子
こおろぎ探す助手のワタクシ 古谷 禎子
工房に機音響く後の月 古賀 直子
どぶろくを汲み話し込む人 峯田 政志
埒明かぬことになったと頭掻き 梅田 實
仲人役は割りにあわざり 祐
ナオ
濡れごとの濃淡ありオトコマエ 六
月の明かりに雪女笑む 明
鯛焼きは人形町の柳屋で 禎
また迷ってるメトロの出口 直
さよならはとどのつまりの人生か 政
首を振っても鳴らぬ尺八 實
ナウ
花パンダ出立つ空の広き果て 六
ぶらんここいでははみえるまで 執筆
平成二十年 五月三日 於 永山学習室
二句表「太っちょ」の巻
雛壇は太っちょばかり青嵐 梅田 實
薫る新茶を賞でる古伊万里 古賀 直子
ウ
一しきりケータイが名を呼びたてて 星 明子
逃げ行くやんま何処までも追い 實
赤い花つけてもらった月の街 直
新酒の甕を開けてもてなす 明
名をかえてでていますのよ膝に乗り 實
十二単の裾の艶めく 直
ナオ
お局と呼ばれる上司夜叉の顔 明
梟鳴いて月も翳りて 實
太棹のリズム激しく寒復習 直
狩勝峠徒歩で越え行く 明
今時の若いものにゃとやせ我慢 實
春場所きょうも満員御礼 直
ナウ
お手植えの花と伝わる花万朶 明
君が代歌ううららかな午後 實
平成二十年五月十八日 於聖跡桜ヶ丘
二句表 「不発弾」
明易や身の内にある不発弾 星 明子
眼をつむり沈む菖蒲湯 梅田 實
ウ
富士を背にとんびくるりと輪を描いて 古賀 直子
釣瓶落としの道を急げる 明子
月後に暖簾くぐれば新走 實
千生りびょうたんまつる神棚 直
灯心を簪抜いて掻き起こす 明
燃ゆる想いは尽きることなく 實
ナオ
終電で君追いかけたエアポート 直
銀狐跳ぶ月を映して 明
行悩む北極海の砕氷船 實
地震逃れて国境まで 直
幼児の手の温もりの尊けれ 明
犬に曳かれて針供養にも 實
ナウ
名物の豆腐御膳を花筵 直
くるくる回る春の絵日傘 明
於 五月十八日 関戸公民館
二句表 「未だ生れぬ子」
未だ生れぬ子の便りかな青葉木菟 六魚
蛍飛び来て点す葉の裏 明子
ウ
海鳴りを知らずこの里住みつきて 祐
機軽やかに秋のセル織る 直子
窓に月静かに雲の流れゆき 實
よき米できて案山子お手柄 薫
石油高庶民直撃困ります 政志
大塩さんは何と云ふかな 魚
ナオ
残り物に夫婦喧嘩をする若さ 明
好きな河豚鍋月登り来る 祐
厄落としやっと済ませたメタボ腹 直
あれあれと言うことが重なり 實
畳の下二重帳簿を見つけられ 薫
敷居の高き豪邸の居間 志
ナウ
花爛漫靖国神社例大祭 明
春の宵には銘酒一献 執筆
ヴィータワークショップ 二〇〇八年六月七日首尾
二句表 「衣装籠」
梅雨晴間その日暮らしの衣装籠 星 明子
硝子戸染める万緑の色 大田 六魚
ウ
サングリア作り食卓華やぎて 玉木 祐
口の滑りも爽やかになり 梅田 實
ご贔屓の役者見に行く小望月 古賀 直子
利酒会にやとう幇間 藤尾 薫
洒落本の聖遊廓読み合せ 峯田 政志
寺子屋帰りませた初恋 實
ナオ
お手紙は真名で書いたか道真さん 六
新幹線を追って凍月 直
暮なずむ窓にはぬっと雪の富士 祐
エンジェル税制ちょっと気になる 政
ファッションショー羽根毛のついたニューデザイン 薫
玩具の兵隊こわしたの誰? 直
ナウ
「荒城の月」の調べに花散りて 實
紋白蝶の群がりて舞う 明
平成二十年六月七日 於関戸公民館
二句表「あの時は」 膝送り
あの時は本当だった濃あじさゐ 玉木 祐
ラムネの栓をポンと抜く音 古賀 直子
ウ
悠々と流れる水は豊かにて 梅田 實
こぼれ萩手に庭の蹲 藤尾 薫
月仰ぎコント練習きりもなし 峯田 政志
円朝忌でもギャラは上がらず おおた 六魚
肩に手を雪駄をすげる優男 星 明子
錦帯橋を通う夜な夜な 祐
ナオ
銭湯ののれんの陰で待つつもり 直
三味の音につれ冬月がでて 實
うろうろと寒犬歩く路地の奥 薫
行灯透かしユーロ札見る 政
007は金貨噛んでみて 魚
五輪めざして記録続出 明
ナウ
花のもと花のかんばせ盃掲げ 直
赤白黄色とばす風船 執筆
二00八年六月七日 於 関戸公民館
二句表 海鳴り
海鳴りのおさまる頃や芋焼酎 六魚
正覚坊のかえる砂浜 明子
ウ
玉手箱語れる漁師年老いて 祐
新煙草をばおもむろに吸う 統一
山裾の真葛原に月のでる 薫
鞍馬天狗が弾くバイオリン 六
留学の娘を送るエアポート 明
絵手紙の繪はどうも彼らし 祐
ナオ
教会で同性婚の挙式あり 統一
冴えわたる月コロラドの河 薫
樹々黒くトムソーヤーは哲学す 六
善と悪との揺れる間に 明
宇宙船精密機器の微調整 祐
おたまじゃくしの数珠つなぎ切れ 一
ナウ
猿沢に漣おこす花吹雪 薫
草餅つくり孫を呼び寄せ 明
二〇〇八年六月一五日首尾 ヴィータ