tamagoのドイツ滞在記

ドイツ、キールに住んで、体験したことや思ったことを書きとめていくブログです。

ハンブルク、ハーゲンベック動物園

2015年09月19日 | 美術館、博物館










やあやあ、写真を編集するのに時間がかかってしまいました (^^;)
少し前に訪れたハンブルクのハーゲンベック動物園について記事にしたいと思います。



こちらの施設は、“檻のない展示”で有名な動物園です。





可愛いライオンの赤ちゃんについつい目がいってしまいますが、、
手前が堀になっているのが分かるでしょうか?
猛獣のいるエリアは基本的にこのような堀や池で区切られています。


ハーゲンベック動物園は、動物商であったカール・ハーゲンベック(1844-1913)によって、
1907年に設立されました。


ハーゲンベック氏は根っからの動物収集家、興行師だったようで、
珍しい動物を集め、あっと驚く方法で見せることを次々と考え出していきました。

サーカスも手掛け、動物に様々な芸を仕込んだり、
ライオンとトラを交配させてライガーを世に送り出してみたり、

少数民族やアフリカの住民を生活空間とともに展示するなんていう、
現代人にとってはぎょっとするような興業を行ったりもしています…。



19世紀的な価値観を体現するような人で、
ともかくエキゾチックなもの、驚愕、驚嘆の念を抱かせるものを
追い求めた生き方であったのかなという感じがします。

園の入り口もオリエンタルなことといったら…。


今日ではどこの動物園でも生態展示が盛んで、ここの展示にそう驚くこともないのかもしれませんが、
それでも他の動物園はもちろんのこと、
多方面に影響を与えた先駆的な施設という位置づけは充分にできることと思います。







入り口付近では、エサを購入することができまして、、

最初に出会うのは、ゾウです!






ゾウに野菜を食べさせる赤ちゃん(を支えるお爺ちゃん)。






ゾウの足元はロープが張られているだけ。
しかも踏み越えています…!






小っちゃい子ゾウも野菜が欲しそうですが、
まだお鼻が届きませんねー…。
代わりに周りの大人ゾウや監視員に甘えています。






ペリカンゾーンもロープのみで区切られています。
静かに立っていると、かなり近くまでやって来ます。






人とカメの距離感。






泳ぐコツメカワウソ。
近くをすーっと通過していきます。






恐竜ゾーン。
ハーゲンベック氏の嗜好によるものでしょうか。
作りこみが若干甘いのが惜しいところであります。。







動画にも出てきましたね、ライオンゾーンです。
檻が無いとはいっても、もちろん観客との距離は結構あります。

面白いなと思ったのは、ちょっとした展示の仕方。

ライオンの前で後ろを振り返ると、、






お分かりだろうか?





にょきにょき、ダチョウが生えています。


実は、この生垣の後ろは草食獣が集められたエリアになっていて、
好奇心の強いダチョウがよく覗いているのです。

それを見たライオンが“おっ?”“おっ?”と反応して、
観客はライオンが活動的になるのを楽しめるという仕組み。

肉食獣はだいたい夜行性で、昼間は寝ていることが多いので、
この工夫には大いに感心しました。






格好良い写真が撮れました!







食事に夢中なモルモットと少年。

家がバイエルン風に造られていて、
中には生まれたばかりの赤ちゃんが詰まっていました。







そして動物園の目玉、海獣ゾーン。


水の中の白い影、、






こんなん出ました~







ペンギンのエリア。






室内に入ると、ひんやりしていて寒い。。
流氷の世界が再現されています。






あんまり動物との距離が近いので、こんな看板も。。







先日の記事に写真を載せたように、
プールの地下では水中を眺めることができます。






目の前まで泳いで来ては、、






すぃーーー。

彼女(?)は泳ぐルートが決まっているらしく、
何度も目の前を横ぎっていきます。





陸上ではヨタヨタしていますが、
水の中では身軽に泳ぐのですね~


海獣は水族館にいるイメージがありますが、ドイツでは動物園で割と目にします。

アクアリウムには、魚、爬虫類、昆虫が多く展示されている。。
アクア…?はて…。







ハーゲンベック動物園の開園当初から、海獣は呼び物であったようです。

このポスターに描かれているのが当時のスター、ゾウアザラシの『ゴリアテ』。全長4.85メートル!







アシカショー(トドショー?)の先駆け?
兵隊さんよろしく、「気をつけっ!」の姿勢になっています






VIPは彼らと触れ合うこともできたみたいですよ。

エサをやっている写真もありました。







シロクマのクヌート、、ではありません。

1953年にここで生まれたフンメルちゃん。
(“Hummel”は、ハンブルク人同士の挨拶で、「やあ!」くらいの意味。)


それにしても、シロクマの赤ちゃんはなんて可愛いのでしょうか。
この可愛さは異常。。口が緩んでしまいます。。







【おまけ】





園内を歩いているマメジカを眺めていたら、、






子どもがやって来て、タッチ成功。

シカは逃げず、こちらを振り向いて「やったぜ!」の笑顔です




動物の種類はそこまで多くないものの、敷地がとても広くて一周するだけでもかなり歩きます。
今度は水族館のほうにも行けると良いのですが。。




そういえば、コスタリカでは愛護団体からの要望を受けて動物園の動物が森に放たれているのだそう。
変わりゆく意識や価値観。。
次の世紀には、動物園はまだ存在しているのでしょうか。

時代の空気を色濃く残し、色々な考えが頭をよぎる場所でした。




国立自然史博物館、進化大陳列館 Gran Galerie de l'Evolution

2013年02月18日 | 美術館、博物館




この展示を見たい!という夫のリクエストで、
進化大陳列館(Gran Galerie de l'Evolution)に行ってきました。

展示方法が変わっていて面白いのだとか



 

パリの文教地区、カルチエ・ラタンの一角には広大な敷地があり、
国立の自然史系博物館群が置かれています。

敷地内は公園のようになっていて、人々が憩っています。
写真で見えるでしょうか?動物園もありますよ~ (・(ェ)・)




現在パリで見られる最古の鉄骨建築(エッフェル塔や水晶宮の仲間!)である大温室(Grande Serre)。
熱帯のジャングルが再現されています。




鉱物陳列館の門です。
巨大な水晶が。




進化大陳列館はもともと動物学館であったのですが、
1994年にリニューアルされ、動物(というより生物)の進化の過程を体感できる展示になりました。

「進化」を焦点としたこれだけ大規模な展示はなかなか見つからないのではないでしょうか?


 

魚類、海洋生物のコーナー。
模型、剥製が混在しており、生態に即した標本を見ることができます。

1階から3階まで展示が行列状に続きます。


 
 
                                               「?」

階段を上がると、スペクタクルな景観が!
シカ?レイヨウ?と目が合います

古代生物から微生物まで。
一日の時刻の移り変わりを再現したライトの変化も見ていて飽きません。


 

絶滅してしまった生きものたちの展示も。


生物の進化そのものはもちろん、
それらを通して地球の環境や生態系の保全等、いろいろなテーマが設けられていました。



フォトチャンネルに写真をまとめましたので、お楽しみくださいませ




The Cafe Campana@オルセー美術館

2013年02月13日 | 美術館、博物館




オルセー美術館の5階にある時計裏のカフェ、カンパーナに行ってきました


2011年秋に一大リニューアルを終えたオルセーですが、
こちらのカフェもそのときにオープンしています。

ランチや一休みポイントとして気になっている方も多いのではないでしょうか。



(HPより画像をお借りしました。)

ブラジル出身のデザイナー、
ウンベルト(1953- )とフェルナンド(1961- )のカンパーナ兄弟によって空間が演出されています。

エミール・ガレやアール・ヌーヴォーを直接的なインスピレーション源とし、
ジュール・ヴェルヌの『海底2万マイル』に出てくる幻想的な水中世界がテーマとなっているそうです。
(オルセー美術館HPより。)


  

彼らは、紙、布、木断片、ワイヤー等を組み合わせた椅子のデザインで注目されました。

カフェのスペースでも、金属やチューブの質感が強調され、
デザイナーの個性がよく出ていましたよ


さて、カフェのメニューはベーシックなブラッスリー料理が揃えられているということです。

お昼時だったので、あれこれ注文してみました。




「本日のキャセロール料理」。
この日は、仔牛のブランケットでした。




アジア風ヌードル。
甘辛味です。




ブルーベリー・タルト。




ケーキの名前を失念…。


お味はですね、、
たまたま忙しい日、時間帯だったのかもしれませんが、
麺を茹で置きしてる?くったくたに茹でられています。。

パリではパスタがアルデンテで出てくることはないと聞いたことがありますが、
これかー!という感じです。

タルトのブルーベリーは、ジューシーで甘すぎず、好みでした


それにしても、場所柄とても混雑する場所なので、店員さんがてんやわんやで大変です。
お会計を頼んでもかなり待たなければならないので、
こういうところはテーブル・チェックではなくてレジ会計にならないものか。。

うーん、、
次はメインのレストランかセルフ・カフェのほうに行くかな。。



ルーブルの犬たち

2013年02月13日 | 美術館、博物館




ルーブル美術館に展示されている、昔のギャラリーが描かれた絵画です
右手前の球体を持ったライオンに注目~



彫刻の実物もちゃんと展示されています。


美術館は色々な楽しみができると思うのですが、
ここでは絵に描かれた犬に注目してみます。




なんじゃらほい。

犬は人間のとても身近にいて、懐いてくれる動物です。
様々な意味を担う象徴としての犬たち、あるいは実在した犬たちが絵の中にも頻繁に登場します。




身分の高い人物の傍にいて、ご主人を慕っていたり、


 

頼もしい部下か相棒の風情であったり、




おチビさんには、ミニサイズの従者がかしずいています。




可愛がられる動物として。
フワフワでいたずら好きの生き物。




こちらではワンちゃんが押され気味です。
天使:「ほれっ、どうだ!」
犬:「ちょ、やめてくださいよ。」


犬も天使も少女漫画と親和性が高いですね。




表情や耳や尻尾から喜怒哀楽を読み取りやすい(描きやすい)のもポイントです。




黒柴かと思ったら、ツキノワだったでござるの巻。




あっ、猫だった。




また猫だ。
大きい猫ですね、ゴロゴロニャーン。




くーん…。

大英博物館と古代彫刻

2013年01月23日 | 美術館、博物館


ロンドンといったら、大英博物館は外せません。
ここの目玉のひとつであるパルテノン神殿彫刻群(エルギン・マーブルズ)の写真です。




大きな部屋の壁にレリーフが展示され、古代の神殿の様子が想像できるように展示されています。




有名な破風(三角形の屋根の下のところ)彫刻にクローズアップしてみましょう。




人体に沿った布の表現が見事です。




ブヒヒン。



ところで、古代彫刻をめぐっては話題にのぼることが少なくありません。
その一例、彩色についてここで触れてみます。



古代ギリシア、ローマの彫刻というと、白いものがイメージされると思います。

近代のヨーロッパ社会においても、古代芸術は一般的に白いものとして考えられていて、
(注:古代の絵画が遺っていることはほとんどなく、彫刻がメインで出土していた。)

極めて写実的ながらも理想主義で決して俗っぽくならない芸術を生み出した古代の精神は、
永遠性や崇高といった概念を尊んだのだろう。。と一つの規範として捉えられていたのでした。



しかし…、


これの彫刻や建築はもともと鮮やかな彩色がされていたらしいのです。
現在の科学的な解析で、オリジナルの色彩がかなり復元できるようになったということです。




こんな風に。(2012年~2013年、ウィーン自然史博物館で開かれた展覧会より。)
崇高というイメージからは結構はなれますね・‥。



それじゃあ、今までの古代を規範としてきた思想や芸術はなんだったのであろうか、、と、
古代彫刻の彩色をめぐる問題に関しては、それぞれの博物館、美術館がどう消化していくのか面白いところです。


例えば、大英博物館ではエルギン・マーブルズに彩色が残っていたのを洗浄して白くした経緯があります。
どうもイギリスとしては、このような行為を生んだ大きな要因として、
18世紀ドイツの考古学者、美術史家のヴィンケルマンの古代研究と彼の著書、言説を取り上げたいようです。

一方、ドイツ語圏のオーストリアでは、上に挙げたウィーンの展覧会で、
「ヴィンケルマンは著書のなかで古代彫刻の色彩について記述している」と釘をさすようなことを言っています。





外に出ると、空には月が。

博物館の威容も、やはり白いギリシア。。



自然史博物館 Naturhistorisches Museum 10月16日

2012年10月15日 | 美術館、博物館




ウィーン旅行より帰ってまいりました。
夢のような数日でした。
お世話になったウィーン在住のMさん、どうもありがとうございました。




最終日は、ベルリン旅行のときと同じく、
自然史博物館(Naturhistorisches Museum)で締めくくりました。
こちら、コレクションの質が素晴らしいのは言うまでもないのですが、
展示方法がとても凝っていて、切り上げるのが大変です




《ヴィレンドルフのヴィーナス》紀元前約2万5000年頃
何といってもこちらが有名です。
写真、ぶれぶれですね…。とても暗かったもので、、と言い訳…


自然史博物館は、マリア・テレジアの夫君、
フランツ1世(Franz I., Franz Stephan von Lothringen,1708年-1765)の
コレクションをもとに、1889年に公開されています。
当初のコレクションに加え、年々所蔵品は増幅されており、
規模は世界でも最大級のものです。

ヨーロッパ世界が拡大し、近代的な博物学が広まった17世紀以降、
富裕な人々の間では、鉱物、植物、動物等、
レアで貴重な品々の蒐集熱が高まり、それらがまとめて展示された部屋は、
「珍奇品の部屋」または「驚異の部屋」と呼ばれていました。
このようなコレクションはプライベートな楽しみにとどまらず、
公的なミュージアムの核となることもありました。


各国の自然博物館を訪れると、コレクションの内容やその分類から、
それぞれの特色が出ていて面白いのですが、
ウィーンにおいては、自然史博物館は割りと意欲的に、
自国をアプローチする展示を行っているようです。


例えば。。
冒頭の画像は、『洞窟 ― 光り無き景色』と題された特別展の展示のパネルで、


黒い物体は、蝙蝠です。


藤岡弘、探検隊。。

暗闇のなか、鍾乳石や様々な科学的検証が浮かび上がるように展示されています。
これらの写真や映像は、オーストリア西部に実在する鍾乳洞で、
ここから湧き出たナチュラルウォーターはオーストリアの飲料水の供給源です。






鉱物、というより宝石コレクション。




オーストリアで出土し、《ヴィレンドルフのヴィーナス》と並んで、
「世界最古の芸術作品」としてフィーチャーされている彫像。
手を上げて踊っている女性の姿だそうです。
美術の歴史は、お隣の美術史博物館へ続く…というわけですね。




岩塩です。
中世から塩の精製はオーストリアに莫大な富をもたらし、
国家の繁栄の礎となりました。


〈おまけ〉



素敵な窓。
展示空間のひとつひとつが、それぞれのコンセプトでまとめられています。


自然史博物館の写真はフォトチャンネルにまとめましたので、
お楽しみくださいませ

ベルリン動物園と自然科学博物館にて。 9月25、26日

2012年10月06日 | 美術館、博物館




ベルリン動物園(Zoo Berlin, Zoologischer Garten)の門。
ドイツ最古の動物園ですよ。
クヌートなんてアイドルもいましたね




豪邸に住んでいるキリン。



シマウマ御殿も負けていません。






人懐こいトカゲたち。

好奇心旺盛なのがアクアリウムにも。。








寄って来る魚。

ふと目を横にやると、、





小さい魚が。

そして、



巨大なメガロドン。

自然科学博物館(Museum fur Naturkunde)↓ です。









古代の恐竜たち。



当世の動物たち。


こうしてみると、動物園も博物館と同じ展示施設ですね。。




ペルガモン博物館 Pergamon Museum

2012年10月05日 | 美術館、博物館




博物館のプロモーションVTR。





ペルガモン博物館は、館の名前の由来となった《ペルガモンの大祭壇(ゼウスの大祭壇)》等、
大型の古代遺物を展示する為に造られました。
1910年から建設が始まり、第一次世界大戦をまたいで1930年に完成しています。

大きな遺跡を収納するには、収納する建物はもっと大きくないといけない。。
実際に博物館を目にすると、その規模に圧倒されます。




《ペルガモンの大祭壇》(紀元前180年頃)
1864年にドイツ人によってトルコ、ペルガモン(現ベルガマ)で発掘されました。
小アジアは古代ローマとも関わりが深く、ヘレニズム文化の一翼を担った場所ですね。




《ミレトスの市場門》






古代バビロニアの《イシュタール門》(紀元前560年頃)
陶器で作られています。


 ライオーン。

 ユニコーン。


 ラオコーン。







展示品ひとつひとつが大きいです。





あ、小さいものも。
ネコです。ニャンコーン。