tamagoのドイツ滞在記

ドイツ、キールに住んで、体験したことや思ったことを書きとめていくブログです。

『ミノタウロス』@Royal Opera House 2013年1月17日

2013年01月25日 | シアター

観劇に関して独立して記事にしたことはなかったのですが、
ロンドン、ロイヤル・オペラ・ハウスでのオペラが忘れがたいものだったので、書き留めておこうと思います。


‘The Minotaur’ (『ミノタウロス』)。


オペラの形式としてはモダンで、歌詞は英語で書かれています。

ミノタウロスはギリシア神話のなかに登場し、
古代クレタの迷宮(ラビリンス)に閉じ込められていたという半人半牛の怪物です。


あらすじ等は、こちらのブログに大変詳しく紹介されています。


指揮:リアン・ウィグレスワース(Ryan Wigglesworth)
舞台監督:ステファン・ラングリッジ(Stephen Langridge)

アリアドネ:クリスティーヌ・ライス(Christine Rice)
テセウス:ヨハン・ロイター(Johan Reuter)
ミノタウロス:ジョン・トムリンソン(John Tomlinson)
ハゲタカ:エリザベス・マイスター(Elisabeth Meister)





ラビリンスのシーン。(ロイヤル・オペラ・ハウス公式サイトより。)


これがもうダークでダークで・‥、
舞台はいつも暗く鬱々としているのに加えて、演出は凄惨を極めます。
ミノタウロスが去ると犠牲者の周りにはハゲタカが集まり、心臓を掴み出すことまで・‥。

前半が90分あって、普通に座っているだけでくたびれます。
苦手な人にとっては、永久に終わらないのではないかと思えるのでは。。


この日の席は最前列だったため、舞台の迫力はもの凄かったです。

劇の途中でパニックに陥った観客が叫んでいるのが聞こえたり、
気分が悪くなってしまった人が休憩中に倒れこんだりするのを見たりして、
無事で帰れるかしら・‥と不安に。


休憩中に何かいただく気にもなれず、うなだれて座っていると、
お隣の席の方が話しかけてくれ、、

こーんなのフィクションよっ!
これがダメなら、タランティーノなんて観られないじゃない


と、豪快に笑い飛ばしてくれて助かりました。
ブラジルから休暇でやって来たというマダム、素敵すぎです。。


前半で帰ってしまう観客も結構いて、どうなってしまうのかと思いきや、
幕が降りるとやんややんやの大喝采。
好き嫌い、というか、面白いと思う人と全く受け付けない人と、
こんなにはっきり分かれる舞台は初めてでした。


とにかく、歌手が役から素に戻ってカーテンコールに応えるのを見ると、
これは劇なのだ、と臨場感をメタに落とし込むことができます。
悪い夢にうなされないで済みそう・‥ほっとした~~

ミノタウロス役のジョン・トムリントンは、
この日がロイヤル・オペラ・ハウスに立って20周年のアニバーサリーだったそうで、
最後には大きなケーキが登場して一気に祝福ムードになりました


また観に行けるとしたら、今度はぜひ桟敷席で。


*追記*

カテゴリーに「シアター」を設定しました。
オペラや映画などの感想をちょこちょこ書き留めていきたいと思います。

大英博物館と古代彫刻

2013年01月23日 | 美術館、博物館


ロンドンといったら、大英博物館は外せません。
ここの目玉のひとつであるパルテノン神殿彫刻群(エルギン・マーブルズ)の写真です。




大きな部屋の壁にレリーフが展示され、古代の神殿の様子が想像できるように展示されています。




有名な破風(三角形の屋根の下のところ)彫刻にクローズアップしてみましょう。




人体に沿った布の表現が見事です。




ブヒヒン。



ところで、古代彫刻をめぐっては話題にのぼることが少なくありません。
その一例、彩色についてここで触れてみます。



古代ギリシア、ローマの彫刻というと、白いものがイメージされると思います。

近代のヨーロッパ社会においても、古代芸術は一般的に白いものとして考えられていて、
(注:古代の絵画が遺っていることはほとんどなく、彫刻がメインで出土していた。)

極めて写実的ながらも理想主義で決して俗っぽくならない芸術を生み出した古代の精神は、
永遠性や崇高といった概念を尊んだのだろう。。と一つの規範として捉えられていたのでした。



しかし…、


これの彫刻や建築はもともと鮮やかな彩色がされていたらしいのです。
現在の科学的な解析で、オリジナルの色彩がかなり復元できるようになったということです。




こんな風に。(2012年~2013年、ウィーン自然史博物館で開かれた展覧会より。)
崇高というイメージからは結構はなれますね・‥。



それじゃあ、今までの古代を規範としてきた思想や芸術はなんだったのであろうか、、と、
古代彫刻の彩色をめぐる問題に関しては、それぞれの博物館、美術館がどう消化していくのか面白いところです。


例えば、大英博物館ではエルギン・マーブルズに彩色が残っていたのを洗浄して白くした経緯があります。
どうもイギリスとしては、このような行為を生んだ大きな要因として、
18世紀ドイツの考古学者、美術史家のヴィンケルマンの古代研究と彼の著書、言説を取り上げたいようです。

一方、ドイツ語圏のオーストリアでは、上に挙げたウィーンの展覧会で、
「ヴィンケルマンは著書のなかで古代彫刻の色彩について記述している」と釘をさすようなことを言っています。





外に出ると、空には月が。

博物館の威容も、やはり白いギリシア。。



雪のロンドンとウィンドウショッピング 1月11日~

2013年01月22日 | イギリス


ロンドンより戻ってまいりました。




宿で朝カーテンを開けてみると、うっすらと雪が積もっていました




雪のトラファルガー広場。

学校が半休になったり、空港や交通機関の混乱があったりと、いろいろと大変だったようです。
外を歩くのにもつるつる滑って危なっかしいのですが、これはこれで雰囲気がありますね


今回は近郊へ出かけてみようと思っていたのですが、
夫が風邪気味だったのと天候との兼ね合いで、結局はロンドンへ留まることになりました。
場所を絞った分、じっくり時間をかけてまわれたのでまあ良しとしましょう。。



あまり写真を撮ってこなかったのでアップできるものが少ないのですが、
雪の降る前に軽く散歩をしたときの写真を紹介しようと思います。
ウィンドウショッピング気分でご覧くださいませ




夕暮れの空が綺麗なピカデリーの眺め。
紅茶で有名なデパート、フォートナム&メイソンを過ぎたあたりです。




1819年に創立されたバーリントン・アーケードを通ります。
写真はホームページよりお借りしました。

歴史あるアーケードに相応しく、両出入口にはシルクハットをかぶった守衛さんが立っています




ピカデリー側の入口にはラデュレがはいっています。
ウィンドウのデコレーションはラデュレだけにとてもロマンティックなものの、
これぞイギリス!という感じの場所にフランスのお菓子屋さんが店を構えているのは少し不思議な感じもします。






宝飾品やアンティーク、カシミヤ製品等、素晴らしい品々が並びます。


アーケードを抜けて、ブランド街のニューボンドストリートへ。




ラルフ・ローレンのショーウィンドウ。
ロレンスの『白孔雀』のイメージでしょうか?贅沢で幻想的なウィンターホワイト。




こちらはリトル・レディのホワイトドレス!
かわゆい


年末の虹と年越しの花火

2013年01月08日 | 生活




大晦日か、その前日だったかな…?
雨が止んで虹がでた瞬間をパチリと撮りました



ウィーン旅行から戻ってきまして、
順番が前後してしますが、年越しの様子を先にアップしておきたいと思います。


ドイツでは、年が明ける午前零時に花火を打ち上げるのが恒例になっています。
その花火というのが、各家庭や友人同士で準備されるものなので、
年末になるとスーパーや商店の店頭に大きな花火が並べられ、消費されていきます。


ライン河畔で花火をする人は多いものの、特に決まった場所があるわけでなく、
普通に家の前や庭、道路沿いで打ち上げられます。
毎年ケガをする人が出たり、ボヤ騒ぎがあったりするのだそうな。。


大家さんから「気をつけて」と言われていたので、
自宅でどんなものかと見届けようと待っていましたら、年が明けて盛大に始まりました




本当に家の前でやってる!






本格的な花火です




遠くのものは、ライン河沿いで打ち上げられている花火です。




筒が倒れて道路に火花が噴射しています
車がびっくりしていました。。
事故が起こったりしないかしら…






夜中の2~3時頃まではこんな感じで続きます。
爆音がすごいので、なかなか眠れません。。

ドイツの人々、かなりきっちりしているのかと思ったら、
なかなかどうして刺激的なことを好んだりもするのですね。。


火の扱いはちょっと怖いので、恐らく自分では参加することはないと思いますが、
こんな年越しもあるのだなと、寝返りを打ちながら感慨深く思ったのでした。

1月4日 ブタペスト Budapest

2013年01月05日 | ハンガリー




ウィーンからブタペストへ足を伸ばしてきました。
初の東欧です


詳しくは、あとで記事をアップするとして、簡単なご報告を。。

ブタペストは「ドナウの真珠」と形容されることもあるそうで、なるほど、とても美しい街でした。


上の写真は、ドナウ河に架かるくさり橋から対岸の王宮の丘を望む構図です。
この地区一体は1987年、2002年に世界文化遺産に登録されています。


くさり橋はブダ地区とペスト地区を結ぶ初めての橋として、1839~49年に建設されました。
この橋は、ブタペストの中心に位置し、ハンガリーの近代史を語る上では欠かせません。
権力者がこの橋を掌握することは、即ちブタペストを手中に収めたことを意味していました。
民主化運動の結果、1989年10月23日、ハンガリーが社会主義と袂を分かった際には、歓喜した市民がハンガリー国旗を持って橋に集まったそうです。







朝のウィーン、西駅。




レイルジェットという特急で、約2時間35分。
朝7時発の列車だったので、朝焼けが眩しいです。






ブタペスト、東駅へ到着。






東駅から市民公園へバスで移動し、ドナウ河を目指して歩きます。




国立オペラ劇場。
オーストリアの統治時代には、皇妃エリザベートもしばしば観劇に訪れたそうです。




聖イシュトバーン大聖堂が見えてきました。
こちらは、後日写真を上げたいと思います。








お昼は大聖堂近くのカフェでハンガリー料理を。
ポークのグリルと、パプリカチキンをいただきました

ハンガリー料理にはパプリカパウダーが多用され、パプリカチキンはその代表格です。
クリーミーなソースがチキンにからんで、、絶品!
レシピを探して、自宅でも作ってみたい。。






大聖堂、オペラ座界隈はレストランやカフェも多く、お洒落なショッピングエリアになっています。




ドナウ河に突き当たりました。
くさり橋を渡り、王宮の丘へ進みます。




ケーブルカーから対岸のペスト地区を撮った写真。




マーチャーシュ教会。
丘にそびえる尖塔は、ブタペストのシンボル的な存在です。


これらの見所の他にも、ブタペストは古代ローマ時代からの温泉の街でもあります。
早足で見て回りましたが、今度はもっと時間をとって訪れたいな。。

1月のウィーン、イルミネーション

2013年01月05日 | オーストリア




20時頃のシュテファン寺院前。


クリスマスの雰囲気がそこかしこに残るウィーンです。
街のライトアップやイルミネーションも意匠が凝らされて素敵です







昼間はこのような感じ。

夜になると・・・





シャンデリアが煌めきます。




赤いくす玉のような装飾が華やかです。




多くの教会では、祭壇にもみの木が配されていました。


1月中頃まではクリスマスムードが続くようです

明けましておめでとうございます

2013年01月04日 | 生活




あけましておめでとうございます。

ドイツに来て、無事に年を越すことができました。
家族の皆さま、ブログをご覧いただいた方、
旧年中はたいへんお世話になりました。

今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます


現在、ウィーンにおります。
1月2日、3日とオペラに行くことができました。
演目は順に『ナクソス島のアリアドネ』、『魔笛』です。
どちらも新年にぴったりの楽しく華やかな舞台でした。

明日は少し遠出をして、ハンガリーはブタペストへ行く予定です。
内陸はさらに寒くなるとのこと、防寒をしっかりして参ります。


近いうちに、ドイツの年越しの様子やウィーンの写真をアップします。
お楽しみにー