古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

袋小路の男     絲山秋子

2021-06-21 01:18:36 | 小説の紹介

講談社文庫    2004

 

表題作「袋小路の男」はエリック・サティの音楽の似合う

 

静謐に満ちたいい作品だった。プラトニック・ラブという

 

ものであり、男と女の静かな精神の交わりみたいなものが

 

感じられて、さすが川端康成賞を受賞しただけあるなあ、と

 

思った。

 

でも、「小田切孝の言い分」はよくなかった。平凡に堕して

 

いた。ストーリーも平凡で、文体もフツーにおもしろくなく、

 

ツンドクした。

 

なんか読みとうなかったので、本を投げだしてしまっていた

 

が、好きでもなくなってしまう人の子を妊娠とか、すごく

 

不潔な感じである。そういう詰まらぬごたごたから逃げるた

 

めに読書はあるのではないだろうか、などと思ったものの、

 

ふとまた、この本を手にして、「アーリオ、オーリオ」という

 

短篇をじっくりと読んでみた。思春期の女の子のもろく切ない

 

感じと宇宙の話しが相まって、不思議と心に響いてくる。

 

おじさんも乙女なのだよ、と心にじわじわと来た。大人の読

 

み物だな、と思って、外の雨音に耳を澄ませた。……合掌。

 

 

 

 

一服するときに、まめっこぷりんはいいよね。世界が終わるときに、山を登るときに、まめっこ。海を渡るときに、空を飛ぶときに、まめっこ。いつでも、まめっこといっしょ。

 


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