古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

手品師      吉行淳之介

2020-07-11 02:06:20 | 小説の紹介
山田詠美編「せつない話」所収

「せつない話」をあつめた文庫の巻頭の話が、この

「手品師」である。片思いの手品つかいのボーイの

脱出劇に失恋を仮託した死となるはずだったが、至らず

倉田という作家と恋相手の英子に助け出される

という話だ。

童貞の悲哀、というか、若さ、というものの、行きつく

先のない苛立ちみたいなものは感じた。倉田という

作家は、おそらく、吉行氏のことだろう、まあ、創作

だろうが、禿げあがった50年配の男の帽子を掲げ持つ

18歳のカネで買われた女、英子、というのは、淫猥な

趣がある。

18歳かあ、手品をする19歳の川井にボクは自分を重ね

合わせはできないが、ボクが19歳のころは、ジメジメと狂

っていた。若いとき、狂っていたということは、ボクにとって

文学をやる根拠となっている。まあ、32歳くらいまでは果て

しなく狂っていたな。

思い返したくない日々だが、今ではいい思い出だ。

……合掌。






















コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アロハ魂    小林聡美 | トップ | 庭の砂場      山口瞳 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

小説の紹介」カテゴリの最新記事