古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

江分利満氏の優雅な生活     山口瞳

2023-05-16 10:43:40 | 小説の紹介
新潮文庫    昭和43年

優雅な生活というから、金持ちのエリートの話かと

思っていたが、借金まみれの父親と自身がいるだけで、

ちっとも優雅じゃなかった。父親が事業で失敗して

大借金して、と苦労話がでたところで、いつものぼく

だったら、この本を放り出すが、今日のぼくは違う。

じっくりと読んだ。仕事小説というジャンルに属するか

とも思うが、それだけではない身辺の細々とした分析が

つづく。

昭和は恥ずかしい、と瞳氏はおっしゃるが、ぼくも、

バブルのころの日本が恥ずかしい。DJ COOとか

小室某とかが出てくる度に、ひとり恥ずかしく、冷や汗

など垂らしつつ、穴に入りたくなる。いや、あのころの

ぼくは、まだ少年だったのだが、そのころの苦い思い出

などと共に、死にたくなってくるのだ、と思う。

  (読了日 2023年4・27(木)12:30)
                 (鶴岡 卓哉)  

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