古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

狂人日記    色川武大

2016-09-22 16:36:20 | 小説の紹介
№166

福武書店。


有馬忠士氏の装丁で、この人のことを書いている


らしいが、多分に、自分のことも書いているよう


に思われる。幻覚がひどくて、寝ていて、声を出


すので寺西圭子と暮らすようになってから、半年


で三度も引っ越しをする。気狂い病院で暮らして


いることが半分で、半分は圭子と暮らした日々を


描いている。本当にこの人の文章は巧い。でもち


ょっと理屈っぽいところもある。そこも逆に魅力


である。ストーリーテリングだけではない文学の


持つ本来の面白さがあるのだ。富岡多恵子氏の言


う、”その言葉を読んでゆくことでしか得られぬ悦


楽”というものがこの小説にはあるのだ。

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