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「幕末史」半藤一利

2019年05月03日 20時57分08秒 | 読書(幕末/明治)
「幕末史」半藤一利

面白かった。
幕末をわかりやすく、語ってくれる、ありがたい本だ。
しかも、「反薩長史観」として「教科書」と異なる視点で語られる。
「昭和史」とともに、歴史教科書の副読本にして頂きたい。

孝明天皇の死について
P257
御年36歳、原因は痘瘡(天然痘)によるものと発表されています。しかしながら、そこは微妙でして、二つの見方に分かれています。間違いなく病没であるという説と毒殺説です。(犯人は岩倉具視という説もある・・・)

P231
幕末の人たちは天皇のことをなんと呼んでいたかといえば、前にも述べましたが、内裏、ミカド、禁裏であり、民衆的には「天子様」であり、天皇という言葉は少なくとも一般的ではなかったと考えた方がいいと思います。

P309
幕末にはずいぶんいろんな人が出て来ますが、自分の藩がどうのといった利害損得を超越して、日本国ということを大局的に見据えてきちんと事にあたったのは勝(海舟)一人だったと私は思っています。

勝海舟の「密事」
P360
もし一旦緩急あって戦いとなった場合は、徳川慶喜公をロンドンに亡命させる、その際イギリスの軍艦にお願いする、ということを決めたようなんです。

P375
それにつけても、戊辰戦争とは、いってみれば幕末の“関ヶ原の戦い”であったな、と考えています。

P377
それまでは幕藩体制の名のとおり幕府があれこれ命じつつ、各藩の地方分権で国が成立していました。全体の政治は幕府がみながら、各藩に自治が任されていた。この幕藩体制が260年間、うまくいっていたのです。これをいっぺんに壊して世界の大勢のなかで国家を一つにまとめるにはどうすればいいのか。

版籍奉還
P399
版とは版図すなわち領地。籍とは戸籍すなわち人民。これを新政府に献上する。

P493
国策が開国と一致したのに、あえて戦争に持ち込んで国を混乱させ、多くの人の命を奪い、権力を奪取したのです。「維新」とカッコよく呼ばれていますが、革命であることは間違いのないところです。将軍を倒し、廃藩置県によって自分の属している藩の殿様を乗り超え、下級武士であるものが、一斉に頂点に立つ。では、つぎにどんな国を建設するのか、という青写真もヴィジョンもほとんどなく、なんです。

P494
つまり戊辰戦争のつづきといえるこの明治の権力をめぐってガタガタした十年間は、古代日本人的な道義主義者の西郷と、近代を代表する超合理主義の建設と秩序の政治家大久保との、やむにやまざる「私闘」であったといえそうです。

【参考】
4/30、Eテレで「廃藩置県 藩(クニ)をつぶして国家(クニ)をつくれ!」が放映された。見た? 5/7、再放送があるから見逃した人は見てみて。
また、5/7、10:00pmには、後半にあたる「廃藩置県 都道府県誕生の衝撃」が放送予定。
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