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「あかね紫」篠綾子

2021年04月06日 08時05分43秒 | 読書(歴史/時代)


「あかね紫」篠綾子

平安朝を舞台に、紫式部の娘・藤原賢子が活躍。
同僚は、和泉式部の娘・小武部、中将の君。
彰子は皇太后になっている。
「とりかえばや」を加味したコメディタッチ作品。
(著者は児童書として、既に藤原賢子の活躍を書かれているが、その成人バージョン)

P225 
紫の一本ゆゑに武蔵野の 草はみながらあわれとぞ見る

紫草の一本を愛しく思うゆえに、その紫草が生えている武蔵野の草はすべて愛しく見える――つまり、恋しい人本人ばかりでなく、その係累までもすべて大事に思えるという意味の歌だ。
この歌から、「紫のゆかり」「草のゆかり」という言葉が生まれ、『源氏物語』の中でも、光源氏が藤壺の宮へ恋心を抱き、その姪である紫の上に想いをかける一連の物語を「紫のゆかり」と呼ぶ。

【備考】
昨年2020年だけで、著者は8冊上梓されている。
今年に入って、既に2冊。
多作で、いずれもレベルが高い。
1999年デビューだけど、驚きのポテンシャルだ。

【追記】
「とりかえばや」と言えば、氷室冴子さんの「ざ・ちぇんじ!」。
(その後、「ジャパネスク」シリーズを上梓)
当時、平安朝を舞台に現代風にアレンジ、エンターテインメントにした作品はなかった。
つまり、時代を切り開いた先駆者、と言える。


【ネタバレの備考】
あとがきを読むと、中将の君は、源懿子。
と言うことは、後に後白河天皇の妃となる源懿子だ。

【ネット上の紹介】
平安京に遷都して、二百年ばかり。紫式部の娘・藤原賢子が仕える中宮彰子の息子が後一条天皇となった。そんなある日、賢子、小武部、中将の君のライバル三人娘に、憧れの藤原頼宗から妙な依頼が。訳も分からず快諾をしてしまうが、なんと男女入れ替わって振る舞う妹と弟を元に戻してほしいというのだ。しかも、時の権力者・藤原道長からの至上命令だと…。ドタバタ三人娘が活躍する時代小説。