田舎びと歳時記

花鳥風月、演歌と津軽に一筆啓上

17文字の世界

2008-04-30 15:29:05 | 私の歳時記
最近何を思ったか夏目漱石の『草枕』という小説を読んでみました。およそ文学青年とは程遠い私でしたが、たまには文庫本を手にするのもイイモノダと選んだのが夏目漱石だったと言う訳です。その小説の中に、俳句を詠む場面が出てきますが、わずか17文字の中に花鳥草木や人を詠い込んでしまう俳句なるものに、浅はかな感激家の私が飛びついてしまったのです。周囲の世界を17文字にまとめて、したり顔の自分、最短の詩の持つ力は偉大なりと悦に入ってる自分。

俳句歳時記、季題(季語)、切字、客観写生、花鳥諷詠……俳句の入門書とすべく値段も手ごろな本を何冊か買い求めてみました。春の季語、鶯、桜、椿、おぼろ月… 毎日毎日一句詠もうと花鳥草木を観察してみました。ところが、出てこないのです!

春雨や……?  ?……桜かな  白木蓮(はくれん)の……?

一月程の超初心者の私に、そうやすやすと花鳥諷詠も、ましてや人生を詠うなど身の程知らずもいいとこだと言うことでしょうか。
それでも、めげずに『つつじ』の名所、館林市のつつじが岡公園に行ってきました。もちろん覚えたての花鳥諷詠のためです。

園内に咲き誇るつつじは万人の心を清らかにしてくれます。たとえ罪人と言えども例外ではないでしょう。見る者の心を清浄にそして素直にしてくれる自然の力は神仏の如く偉大であると感服しました。
そして最後に、ここで一句ご披露出来ればよき締めとなるのですが、まずは写真でお許し下さい。   ?……躑躅かな




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父の落款(らっかん)

2008-04-13 22:20:35 | Weblog
昨日4月12日は父の命日でした。もう八年という歳月が過ぎ去ってしまいました。
散りゆく桜の後を追うように、旅立っていった父でした。享年73歳。

八か月に及ぶ2回目の入院時、亡くなる二か月程前のこと、急に色紙を買ってきてくれと言い出したのです。毎日を病に過ごすベットの中で、便せんに書き留めておいたのでしょう、かすれそうな鉛筆書きの詩や俳句がいくつもありました。
その中から気に入ったものを色紙に書いて、そこに落款を押すと言うのです。
父が落款まで作って持っていたとは、この時初めて知りました。

拙い文でしたが、詩や俳句は普段からしばしば作っていた父でした。
余命わずかな父の言いつけです。私も、もっと良い色紙をと思いましたが、あいにく、飛び込んだお店には望むような色紙は見つかりませんでした。
買い求めてきた色紙を差し出すと、『もっといいのは、なかったのか?』父は、ひどく不満のようでした。金粉でも散りばめたような高価なものが欲しかったのでしょうか。絶筆となるかもしれぬのに…! いつまで経っても親の気持ちのわからぬ子だな~ そんな声まで聞こえそうでした。

父が震える文字でしたため、その片隅に押した落款のあるあの色紙、三回忌の終わるまでは、しっかりと保管しておいたのですが今は行方知らずになってしまいました。母も私も、いつまでも亡くなった父のことを思っていては、故人が成仏出来ぬと考え、どこか手の届かぬ所へしまい込んでしまったようです。

桜も散り出し、ふと寂しさを感じます。散りゆく桜に父のことを思い出し、あの落款のことを思い出しました。

『文葉』それが、父の落款です。





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『桜』二題

2008-04-07 10:50:00 | 田舎暮らし
桜にうかれ、桜に酔いしれている自分に一言! 『もっと、シャキィッと、せいッ!』 この時期、そうは言ってもね~ わずか一週間位のあいだじゃないですか。こんないい季節、そうはありませんよ。
桜が咲いてからの私、ボーッとしてしまって、仕事にも身が入りません。
桜を見ながら、この世の哀れでも感じてみようと詩人?気取りで出かけてみました。

一つは、群馬県邑楽郡大泉町城之内公園の桜。
いま一つは私の愛する、織田家の城下町だった甘楽町小幡の桜です。

大泉町というのは、群馬県の南東部で太田市の南に隣接する人口約42,000人の町ですが、そのうち約16%ほどがブラジル、ペルーと言った南米の日系人で占められているそうです。確かに、町には私には読めませんが、ポルトガル語やスペイン語の表示のあるお店が目に付きます。
またこの町は、最近ラグビーの日本選手権で優勝した三洋電機の工場が町のほぼ中央にあり、まさに企業城下町というにふさわしい所です。

大泉町に行ったのは4月1日ですから、今日辺りはもうだいぶ散ってしまっていることでしょう。桜舞う今時の方が絵になったかも知れませんね~

 
城之内公園はかつてお城があったところで、内堀の水面と桜


  
内堀の内部、本丸跡には露天のお店が



この城之内公園には二十年程前、大泉町に仕事で来ていた頃、昼休みによく来ていました。桜の木もだいぶ大きくなって、我が子の成長を見る思いです。


次は、城下町小幡の桜です。織田家150年の城下町。今度の日曜日(4月13日)は桜祭りと武者行列が行われます。
小幡の桜を撮影に行ったのは4月3日ですから、今日辺りが最盛期になるでしょうか。今度の日曜日まで桜が残っていてくれればよいですが。ただし武者行列の凱旋式が行われる公園広場の桜は13日頃がちょうど見頃になるのではないでしょうか。




古い町屋風建物と桜並木の間の通りを武者行列が練り歩きます。





群馬県内で田舎暮らし最適地であると信じている甘楽町、一度訪れてみてはいかがでしょうか。


桜にうかれて、『夕桜』 『夜桜』 『朝桜』 の季節はまだまだ続いています。


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