Smoke will be with me!

cigar, cigarette, pipe tobacco等、タバコと私の濃密な時間

artisan & artist~ part1

2006-08-16 | cigar
 近所のショッピングモールに買い物に行った。少し前に買ったケーブルが短かったのでそれを返品し、長い物を買い直すためだ。目指す物も目的もはっきりしていたので用事は10分ほどで済んだのだが、車まで戻ろうと出口へ向かう途中、小さな机に向かって作業をしている男が目に入った。
 
 ちょうどSamの店の前。
そこは私がcigarを始めた頃時々顔を出していたキオスクのような店で、当時その店の主人はSamと言う名の韓国人だった。Samの店というのは私が勝手に付けた名前である。しばらくしてSamはリタイア、オーナーは別の韓国人に代わった。

 そのSamの店はcigarを扱っている。スナックや雑誌、新聞やらコーラやら…そんな店にしては珍しくcigarの品揃えが豊富だ。オーナーが変わってからはヒュミドールになっている棚をチェックする事も無くなったが、それほど回転がいいとは思えない。特にCuba産は高くて売れないだろうから、モノによってはビンテージになっているものもあるんじゃないか?通る度にそんなことを思ったりして…
 
 そう、その店先に置かれた小さな机…いや驚いた。なんとcigarを作っていた。そこに腰掛けていたのは葉巻職人・Torcedor(トルセドール)だったのだ。横に控えていたのはSamの店のオーナー、の息子が(決してSamの息子ではないのでご注意を←わかる人にはわかる、わからない場合はそのままで結構というシャレです、はい)、CubaのRomeo Y Julieta工場で働いている職人だと紹介してくれた。そう言えばCuba旅行の時、Romeo Y Julieta工場併設の店に行ったっけ…Cubaの葉巻職人は自国の葉巻宣伝の為に世界各国を訪れデモを行っている。「トーキョーにも行ったことがあるよ」スペイン語訛りの残る英語で職人は言った。
 
 それにしても見事だった。
普通、cigarを作る時は葉を固めるために木型を使う。固めた後、バインダーと呼ばれる葉で巻き、最後に大外の葉・ラッパーで巻くのだが、この時はデモということもあって木型を使わず全て手で巻いていた。基本的に質問などは、そのオーナーの息子が受け付けていたのだが、それでも道行く人はお構い無しに直接職人に話しかける。そんなわけで彼自身が質問に答えなければいけない場面が結構あったのだが、その時も手は止まらなかった。目は手元から離れているのに、である。速い、そして正確。指先の感覚で作業をしていた。私がCubaで見た職人とは明らかにレベルが違う。まるで指先に目が付いているようだった。