Smoke will be with me!

cigar, cigarette, pipe tobacco等、タバコと私の濃密な時間

紫煙、Berlinの空に舞う

2006-07-14 | cigar
 Italyが優勝した瞬間、ちらりと監督のMarcello Lippiが映った。World Cup優勝の瞬間であるから監督としても最高に嬉しいはず。普通ならば両手を上げガッツポーズの一つもし、よっしゃー!と声でも出すはずだ。ところが彼はくるりと後ろを向き、上着を手にした。私はその姿に違和感を感じた。そして画面は喜ぶ選手達を追い始めた…
 
 大歓声に包まれた表彰式の後、選手、スタッフ、関係者が入り乱れ、勝ち取ったカップに触ろうと皆が手を伸ばしていた。そこにLippi監督の姿もあった。当然だ、選手達を優勝に導いた彼にも触る権利がある。左手を伸ばし、嬉しそうにカップに…と、その右手にcigarがあったのを私は見逃さなかった。その時、彼の手にあった細身のcigarは1cmほど灰になっていた。まさに優勝が決まったその時、彼はcigarに火を着けたと思われる。
 
 そこで私ははっとした。彼が上着を手にした理由…あれはポケットに入っていたcigarを取るためだったのではないだろうか。



 確かヨーロッパではピッチ上は禁煙だったはずだが…BerlinのOlympic Stadiumがそうだったかどうか、私は知らない。しかし、たとえそうだったとしても、この1本は許してあげて欲しい。彼は仕事を全うし、最高の栄誉に輝いたのだから。そしてこの時、すでにその職から退くことを決めていた可能性も高い。きっとこのvictory cigarには彼の様々な想いが込められていたはずである。