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気がつけば思い出Ⅱ

日々の忙しさの中でフッと気がついた時はもう
そのまま流れていってしまう思い出!
それを一瞬でも残せたらと...。

時雨をお題にした母の句~鳩

2021年11月22日 | 伊代の俳句

しぐるるや寺に鳴きいし鳩一羽

時雨にあった寺で一羽の鳩が心細そうに鳴いていた

季語:しぐるる(冬)

【時雨(しぐれ)】時雨る(しぐる)朝時雨 夕時雨 小夜時雨 片時雨

冬の初め、晴れていても、急に雨雲が生じて、しばらく雨が降ったかと思うとすぐに止み、また降り出すということがある。

これを時雨(しぐれ)といい、本来は京都など、山がちの場所で見られる現象で、「北山時雨」「能登時雨」などと使われていたが、

しだいに都会でも冬の通り雨を時雨と呼ぶようになった。

「神無月ふりみふらずみ定めなき時雨ぞ冬のはじめなりける よみ人知らず 『後撰和歌集』

にあるように時雨はその定めなさ、はかなさが本意とされてきた。※俳句歳時記より

             

歌では「ぽっぽっぽおー鳩ぽっぽっ」ですが、鳩の鳴き声は「ホッ~ホー」でしょうか?

何故かいつも遠くから、それも誰かを呼んでいるように聞こえます。

母は句に自分を重ねて詠むことが多かったので、(鳩一羽としているところから)この頃は心細い時期だったのかな?とも思いました。

義父の残した写真の整理中に、鳩(多分)の写っているものがありました。

で…この写真に自分の句を載せてみました。場所はどこだかわかりません。(未添削です。)

竹林にさまようふ鳩や初しぐれ

すこしぼけているけれど、長閑というか寂しいというか…まさしく定めない・・・いい感じの写真です。

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小春日をお題にした母の句~遠嶺

2021年11月15日 | 伊代の俳句

小春日や遠嶺はるかに雲を置き

春を思わせるような暖かい晴れた日 遠くに見える嶺には雲が乗っている

季語:小春日(冬)

※俳句歳時記:【小春】小春日 小春日和 小六月(ころくぐわつ)

小春・小六月ともに旧暦十月の異称。小春・小春日和は、立冬を過ぎてからの春のように暖かい晴れた日のこと。
「小春風」「小春凪」「小春空」などとも用いられる。

            

小春日と聞くとやはりさだまさしさんの曲「秋桜(コスモス)」のなかのフレーズを思い出します。

こんな小春日和の穏やかな日はあなたの優しさが浸みて来る~上手いフレーズだなと思います。

この頃少し風はあっても穏やかな暖かい日が続いています。そんな日はやはり母を思い出します。

ACさんから見出し用に頂いた写真はどこの嶺だかわかりませんが、この母の句の(遠嶺)とは多分群馬の山並みだと思います。

冬の澄み渡った晴れた日には、実家から北方に群馬の山並みが見えました。

ずいぶん前に買い、一度咲いた玄関のコスモスが暖かいせいかまた綺麗に咲いています。

庭の日だまりに野良の猫ちゃんもよく来ています。

お隣の山茶花の散った感じが綺麗なので写させてもらいました。

それぞれ寒い冬になる前のしばしのぬくもりを感じます。

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菊をお題にした母の句~あまる程ある菊

2021年11月09日 | 伊代の俳句

我が家の庭に咲いた菊のコラージュ

あまる程菊ある庭に菊を思ふ

庭にはあまる程の菊が咲いている 見ているといろいろな思いが浮かび
やはり菊はいいなと思う

季語:菊(三秋)

※花と植物の俳句歳時記:キク科の多年草の総称。菊の花・白菊・黄菊・小菊・厚物咲(あつものざき)・懸崖菊(けんがいぎく)・菊畑

菊は花期によって春菊・夏菊・秋菊・寒菊(冬菊)に分けられるが、代表的なのは秋菊。

「思ふ」は、感じる・願う・心配する・悩む・回想する・懐かしむ・愛する・願う・予想する…等の多くの意味が含まれれる言葉ゆえに解読も難しい。

           

花と植物の俳句歳時記に漱石の例句がありました。

《有る程の菊抛げ入れよ棺の中》夏目漱石

この句にもあるように菊というと亡くなった人のことを思い起こすことも多いと思います。

実は、さきおととい私たち夫婦の仲人さんが亡くなりました。

仲人さんといっても、夫からすると義理の叔父(母親の妹の旦那)さんです。

おととい、葬儀場に安置されている叔父さんに会いに行ってきました。

頼まれ仲人だったのに、叔父さんにはいろいろとお世話になりました。

私たち夫婦がこうして、二人ともに老後を迎えられるのも叔父さんがいたからと言っても過言でない存在でした。

私は、もう物言わぬ叔父さんを目前にして、苦しかった昔のことなどを思い出し、不覚にも泣いてしまいました。

※月舟さん/写真AC

今日はお通夜です。

それなのに、それだからなのか・・・朝からとても激しい雨が降っています。

明日のお見送りには漱石の句のようにるだけの菊の花をいっぱい棺に入れ)てあげたいと思います。

 

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鵙(もず)をお題にした母の句~急かす(せかす)鳴き声

2021年10月14日 | 伊代の俳句

※泉ちゃんさん/写真AC

夕鵙や夕餉急かさる思いして

夕方に鳴く鵙(もず)の鋭い鳴き声に
夕餉の支度を急かされる(せかされる)思いがする

季語:【鵙(もず)】(秋)

※俳句歳時記:百舌鳥(もず)・鵙の声・鵙の贄(もずのにえ)・鵙日和(もずびより)
モズ科の鳥で山野・平野、都会付近にも繁殖し、秋、高い木の頂や電柱に止まって、尾を振りながらキーッ、キーッと鋭い声で鳴く。
これは縄張りの確保のためといわれる。大きさは雀の二倍ぐらい。猛禽類で、昆虫や蛙、蛇や鼠なども捕らえる。

獲物をとがった木の枝や有刺鉄線などに刺して蓄えたものを「鵙の贄(にえ)」「速贄(はやにえ)」という。→冬の鵙(冬)

鵙を題とした母の句はもう一つあった。

日曜の朝寝家族や鵙猛る

日曜なので家族みんなゆっくり朝寝をしているのに 

鵙がものすごい勢いで鳴いている

             

この二つの句を読むと、朝も夕も鳴いていることになります。ともに(モズは煩い)といったような句になっています。

多分昔実家にいた頃にはよく耳したのかもしれませんが、今私の住んでいるところでは鵙の鳴き声は聞こえません。

YouTubeで探しお借りして聞いてみました。

OGPイメージ

モズの鳴き声

少し苛立って?鳴いている

youtube#video

 

この鳥、丸く可愛い顔をしていますが、太くて鋭いくちばしがあり、歳時記にもあるように「猛禽類」で、冬の間は単独に縄張りを構え、たとえ異性であっても追い出しにかかるといわれています。

冬に水面に浮かぶカモの仲間のように寄り添うような光景とは大違いだそうです。

木に刺さっている干物のような昆虫は鵙の仕業らしいです。

なんだか習性と言えばそれまでですが「かわいい顔して✖✖✖~」虫さんにとっては怖いんです。

でも面食いで可愛いものには弱い私としては、顔だけを見ていると何だか憎めないのですが...鵙(もず)さん。

そして、声もそれほどでは無いと思えるのですが・・・どうですか母さん?

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【秋の山】をお題にした母の句~秋嶺

2021年09月28日 | 伊代の俳句

※中村昌寛さん/写真AC

秋嶺(しうれい)や一抹の雲肩に負う

秋の山がほんのわずかの雲を背負っている

季語:秋嶺(秋)

※俳句歳時記:【秋の山】秋山(あきやま)・秋山(しうざん)・秋嶺(しうれい)・秋の峰

秋は大気が澄むので、遠い山もくっきりと見える。

秋が深まるにつれ紅葉に彩られた山は華やかさの中にも寂しさを感じる。

母が亡くなった後、同人誌に掲載されていた句や残された短冊の句をブログに載せるようになって2年経ちこの句で50句目となった。

そして、去年の夏に古稀を迎え退職し、時間ができたけれどコロナ禍で外出もままならない私の生活上、ひとつの時間配分となっていた。

見出しの句は、【あした合同句集(座唱Ⅲ)宇咲冬男編著】に掲載されていたもの。

秋嶺を題とした句は短冊にもあった。

秋嶺や話の弾む畦憩い

※TTSさん/写真AC

これは、長閑な刈り入れ時の情景を詠った句だ思う。

遠くには秋の山嶺(さんれい)が見える。(実家地方から見えるのは群馬の山々)

そんな中、田んぼの畦で家族が和やかに休憩をしている。

子供の頃、学校に農繁期休暇があったので、祖母の用意してくれた昼食や休憩時のおやつを田んぼにいる両親や祖父の元へ運んで行った覚えがある。

そして畦に座り一緒に食べる。

母の句に懐かしい昔の秋を思い出した。

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