兵隊よりも士官になろう

私はリーダーは天性のものではなく、教育によって量産が可能であると考えています。

【21世紀の横型リーダーシップ】2.20世紀のリーダーシップ

2008-05-03 01:54:25 | リーダーシップ
2.20世紀のリーダーシップ

(1) アメリカ大陸横断鉄道の鉄道会社 (架空の話です)

 19世紀、アメリカ大陸横断鉄道ができました。多くの列車が走る中、ある単線区間を列車が走っていた際、反対方向からやってきた列車と正面衝突してしまうという事故が発生してしまいました。さっそく事故の原因を調査する委員会ができ、多くの状況証拠と証言から、ある結論を取締役会議に提言しました。

 ・各部門ごとに、きちんとしたマニュアルを作りましょう。
 ・運行管理する部門では、何らかの事故で列車が遅れた場合、駅員や信号主に運行状況を確実に伝えましょう。
 ・それぞれの駅では、信号やポイントがきちんと切替ているのか確認しましょう。
 ・列車を定期点検する際は、点検した結果をきちんと残しましょう。

 いまでいうISO9001みたいに各部門ごとに何をするべきか決め、自分で決めたとおりに実施すること。全部門できっちり仕事をしていれば事故が発生する予知はないだろう(最後の「だろう」が重要です)。ここでは列車事故の防止だけに着目していますが、大きな会社を組織別に細分化し、命令の伝達、実施結果の報告はもちろん、売上げとコストの報告、赤字が出た場合の対処など、情報が上から下へ、下から上へ流れていく。外から見るとピラミッドのようになっています。
 ピラミッドの中で、全部完結しているので、社内抗争など負のエネルギーがたまりやすい。昨今、縦割り組織の弊害が言われるようになると、組織横断的な組織(全社部門とかスタッフ部門)をつくり、共通的なことや、企画立案するようになります。これを体系的に作ったのが、ビスマルクのプロシャ軍における参謀本部で、多くの組織の手本として世界中に広まりました。
 鉄道会社といえば、鉄道をダイヤ通りに走らせることが、重要な評価項目となります。国鉄がJRになったとき、ダイヤの正確さと安全確保が最重要課題でした。究極の電車運行ダイヤは、1つは東京の山手線。朝のラッシュ時など1分半で次の電車がやってくるように作っている。もう1つは東海道新幹線。とにかくダイヤが過密な上に、東京-名古屋-京都-新大阪しか止まらない「のぞみ」と各駅停車の「こだま」までごっちゃにして時速200km以上でバンバン飛ばしているのは、すごいとしか言いようがありません。鉄道マニアに聞いた話では、京急のダイヤもすごいと言っていましたが、詳しいところはわかりません。品川から羽田空港に行く際、快速特急の発信音が「ピュロピュロピュロピュロロー」とドレミ音みたいな音がするのは好きなのですが。

(2) 昭和時代に見られた日本の大企業

 終身雇用を実現した日本の大企業を、組織的にみると、上下があいた煙突があって、新卒が下から入って、だんだん上の方に上がってきて、一番上に達するのが定年退職というイメージです。新卒者を田植えの苗のように、同じ素質を持った人をずらーっと並べて、社内教育したり仕事を通して会社の色に染めていきます。会社が求める人を学校が提供する際、同じ価値観を持った人を大量に育てることが求められてきました。いわるるタイラ・ヒトシ(平均)君が必要だったのです。稲を育てていても同じですが、時々、周りに合わせない人がいるわけで、そういう人は煙突から追い出され(転職)ます。煙突は上にいけばいくほど細くなっていきます。そうするとイス取りゲームと同様、社内での競い合いが始まります。最後に残った人は、公務員なら次官だし、大企業なら役員や社長になれます。この場合、リーダーの仕事は、煙突を環境に合わせて変化させることは求められていません。煙突は前任者から後任者へ引き継ぐ間、折れない(倒産しない)ように管理するだけです。リーダーは煙突の中で人事評価をしているだけでよかったのです。こういうことができたのも、強力な規制があったからで、銀行でしたら護送船団を組んで、一番弱いところでも倒産しないように大蔵省が守っていました。これまでは煙突の外のことを気にしないで、済みました。会社の中では、壮絶なイス取りゲームをしていたのですが、社内に通用するルールであって、仮に会社が倒産した場合、仕事を探す際に、「私は○○会社の部長をしていました」と言ったところで、面接の相手から「それで、あなたは何ができるのですか?」とスルーされるだけという喜劇にもならない出来事が起こりました。

<コラム> スーパーマンとバットマン

スーパーマンもバットマンも、アメコミの人気ヒーローである。
スーパーマンは、クリプトン星人で、赤ん坊の頃、母星が滅びる前に地球に放出され、ケント夫妻に育てられた。普段はさえない新聞記者として普通の社会人として過ごしているが、スーパーマンに変身するととんでもない能力を発揮する超能力者である。映画を見る限り、アメリカの正義を体現することが行動原則のように見える。スーパーマンの活躍は、自分の能力を世の中のために役立てるためだそうです。すばらしい志(こころざし)です。

一方、スーパーマンのお友達のバットマンは地球人である。お金持ちで慈善事業家でありながら、犯罪撲滅のため、自らの体を鍛え、様々な武器や道具・衣装を自前で作り、街の自警団として活動している。自らの手で敵を殺さないというのがモットーだが、法律と照らしあわしてどうなのよという行動をすることもある。超能力を使わず、努力と鍛錬により、肉体能力を向上させるところが、他のヒーローと異なる点である。映画をみる限り、自分の身の回りで破壊された秩序を回復したり、奪われたものを奪回している行動から、個人の正義を体現しているヒーローといえる。

2人に共通しているところは、目前の問題を解決するのに、自分でなんとかしようとし、他力本願ではないことである。見たこともない神仏に祈るということもしない。リーダーシップでいうと、能力がある者は、能力に応じた責任があるという言葉で表されるような、リーダーの資質を持った人がリーダーになるのだという古典的なリーダー論を体現しているように思える。体を鍛えたり、勉強したり、経験を積めばリーダーになれるリーダー量産論と対になる考えとして、心に留めておいてほしい。


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