このたびの北海道地震被災者のみなさまにお見舞い申し上げます。
今回は、大規模停電が発生し、「自宅自体は損壊しなかったけれど、冷蔵庫が動かなかった。その後復電して元通り動きだした」というシチュエーションの方々が非常に多数発生しました。これは、泥水につかった豪雨災害や損壊した震災ではあまりなかった事象です。
当管理人は、電気の足りない国々、94~95年のスーダン、00~03年のセネガルと、合計5年間、「停電と復電」に親しみ(?)つきあってきました。そんなアフリカ生活の知恵(もっと正直に言えば、”痛い目”)から、北海道の皆さまに知っていただきたいことを記します。
1.冷蔵庫の中のものには特に注意を。デリケートなものは廃棄も
私が外務省医務官として在勤したスーダン(ほぼ毎日4時間以上の計画停電。最高は20時間停電して4時間しか電気が来なかった)、セネガル(1日おきぐらいに数分~数時間の停電)では、停電⇒復電⇒停電⇒復電の繰り返しによる冷蔵冷凍庫内の食品の傷みによる下痢罹患が頻発しました。原因はさまざまで、アフリカにあって毎回原因特定はとても出来ませんが、一度、仲良し奥様4人組集団り患のときは調べて、結果サルモネラでした。
ところで、これは少々意外かもしれませんが、その発生頻度はスーダンよりも、(アフリカの中では比較的)状況のましなセネガルでの方がよく発生しました。気温40℃のなか毎日停電するスーダンでは、在留邦人はみな警戒感維持し、停電になると冷蔵冷凍庫(商店にあるような巨大冷凍庫を各家庭備えていた)の開閉を最小限にするというアフリカ生活の知恵を徹底していました。
しかし状況がましなセネガルでは、そこまではピリピリしていません。意識があがっていません。結果、停電で庫内温度上昇して溶けたり常温化したものが復電で再び冷えるので、表面上警戒せず口にしてしまうことがあります。あるいは我々邦人自身が警戒しても、現地人の(自家発電も不十分な)個人飲食店が警戒しないで食材として使ってしまうので結果的にやられてしまうことも再々ありました。
今回北海道では、これまで停電に接するという経験値があまりなく、停電でいったん溶けたものを復電後に食べてしまう人が多発するのではと懸念しております。いたみやすい生ものは廃棄した方が良いでしょうし、野菜室の根菜ぐらいは大丈夫かもしれません。要は、意識レベルをあげてくださいと啓発が求められます。
2.復電に注意、精密機器
通常、電気コンセントからは一定の電圧の電気が流れます。先進国では間違いなくそう。日本の平時はもちろんそう。しかし、それは世界共通未来永劫の事象ではありません。200Vという約束になっていても250Vや150Vとなる国が世界中にはいくらでもあります。管理人は、電圧安定機なる電気製品を赴任荷物にいつも入れていました。では、そういう”約束と違う電圧”は特に流れやすいのはいつか。「復電の瞬間」です。パソコンなど精密機器が一瞬でおしゃかになってしまうという悲劇が起こるのは、(全部とはいいませんが)比較的多いのが復電の瞬間。
途上国の日本人社会では必ず耳にする話ですが、管理人は日本に戻ってもあの恐怖はどうしてもこびりついています。家電量販店で「雷サージ」のコンセントやテーブルタップを買い込み、大学はもとより、産業医先やバイト病院など立ち回る先々に置いておきパソコンだけは必ず、異状電圧が来ても守れるようにしております。コンセントの1個は持ち歩くリュックに入っていて、たとえばN700系新幹線などで電源つなぐ時には使用しています。
まあ、そこまでしなくても、停電した家庭では、いったん精密機器のコンセントは抜いておき、復電して少したってからさすのが良いかと思います。
以上、スーダン・セネガル生活経験からでした。