新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

ジカウイルス感染症第一例のミャンマー的事情

2016-10-31 19:55:15 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ジカウイルス感染症の第一例発生が報じられたミャンマー、この国らしい展開です。

  • 第一例(として明らかになったの)は、この国に在2年間住する外国人の32歳女性。診断に先立つ2週間前、ミャンマー以外の近隣国に旅行歴。
  • 第一例については、拡大予防の見地から今後2週間、自宅から出ることを許されず。妊娠について心配している本人に対してはカウンセリングが行われている。
  • 本件をうけて、今後6カ月、妊娠する前に健康診断をうけるよう呼びかけ。

いまこの国は、2011年の軍事政権終焉以来、先進各国の進出ラッシュにあります。この国に住む日本人(海外在留邦人数)は毎年毎年50%台の増加率を示し、他の欧米諸国や韓国も似たような状況。ANAは成田から(同レベルのカンボジアやラオスよりはるかに先んじて)直行便を飛ばし、大韓航空とアシアナ航空はダブルで就航。そして今月のアウンサンスーチー氏米国訪問でオバマ大統領はさらなる経済制裁解除を約束し、さらに拍車がかかるのは確実です。

そんな中どっと入ってきた外国人たちは、医療機関も富裕層向けでミャンマー庶民とは異なった待遇をうけます。庶民がまず関係ないであろうジカ検査を(おそらく本人からせっついて?)受けて最初の顕在化。第一例が外国人というのは、よく理解できる結果です。

そして2週間の自宅から外出禁止・・というややエキセントリックな対応もなんとなく実感がわくところ。軍事政権時代の「アウンサンスーチー氏の自宅軟禁」というのは繰り返し世界中に報じられてきたところでありますが、自宅軟禁された人々はNLD(現政権与党)の闘士たちふくめ庶民多数。政権が代わり、政治的理由による自宅軟禁はとりあえずなくなったものの、自宅軟禁という事象に対するハードルが低いのです。ジカ感染者の自宅軟禁という、(蚊帳内軟禁ならともかく)あまり意味をなさなそうな処置も結構お気軽に決まってしまったのかも。気の毒なことです。 

http://reliefweb.int/report/myanmar/moh-holds-press-conference-first-zika-virus-infection-yangon

MoH holds press conference on first Zika virus infection in Yangon

Report
from Government of Myanmar
Published on 29 Oct 2016
 
写真:ヤンゴン近郊でも水道のない家は多く、軒先にこのような水がめ=ボウフラ培地が並んでいます(管理人撮影)
 
 

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