いまジカ熱対策で世界中の注目をあびるブラジルですが、その社会的背景を理解するごくごく基礎的知識の共有。
ひとことで言って、ブラジルという国はガタガタです。
ブラジル通貨(レアル)の相場グラフはこんなことになっています。
反騰の気配もなくつるべ落としです。
こういう状況でなにが起こるか。
- 1年で40%も下落してしまったブラジル通貨安で「お得感」が出て、諸外国から観光客が継続的に増えています。
実際のところ、リゾートホテルは相当にぎわっているそうです。
つまり、ブラジル国外にウイルスが持ち出されるチャンスが恒常的に増えているわけです。リオのカーニバルはヤマのひとつですがこれが終わっても、持ち出されリスクはさほど減りません。 - 逆にブラジル国内は貧乏になります。実際のところ、高インフレ、株価暴落、さらには政治スキャンダルで昨年12月に財務大臣が辞任したりしています。この辞任した大臣は財政健全化に努めていたそうですが、その辞任によりブラジルの信用は毀損され、12月19日にはレアルの急落を招いています。
- 政治的混乱。石油会社ペトロブラスをめぐる大スキャンダルで大混乱。やはり昨年12月にはルセフ大統領の弾劾手続きがとられています。ウォッチャーによればこの弾劾は切り抜けるだろうとのことですが、求心力低下は避けられません。
- 政治的混乱+経済的混乱で国民は疲弊しています。庶民の妊婦の多くは、何倍にも高騰してしまった虫よけスプレーも買えずに無防備なのは、先に紹介したとおりです。
つまり、現状のブラジルは五輪景気に浮かれてなど全然なくて、政治経済的に相当マズイことになっていて、ジカ熱対策にも足枷になりかねない(ならないわけがない)状況にあります。
そのような基礎知識を頭の片隅に、ジカ熱のあれやこれやは読み解いてゆく必要があるでしょう。
参考:ニューズウィーク1月19日号p20