神戸新聞のコラム連載、当管理人担当の第2回はセネガルのストリートチルドレンを取り上げました。
彼らは、イスラム高僧というセーフティネットで支えられますが、それで不十分なところを支えようと行政も動いています。
日本のホームレスに対して新型インフルエンザワクチン接種をどうするか、日本国政府も地方行政も、しっかり考えていただきたいものです。イスラム諸国に笑われないように・・・
以下、元原稿からコピペ
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赤い空缶
今年も赤い羽根共同募金週間が始まった。日本中でボランティアが動員され、街頭で駅で「よろしくお願いしまーす」の爽やかな声が響く。通勤の道すがら、ボランティアの掲げる募金箱にいくばくかのコインをすべりこませながら、ふと思い出した光景がある。
西アフリカのセネガル在勤中、車を運転し交差点で止まると、何人かの子供たちが駆け寄りフロントガラスをコンコンと叩きに来た。お揃いの赤い空缶(トマトソース定番商品の空缶)を手に、そこにいくばくかのお金を入れると立ち去ってゆく。
これは、「タリベ」と呼ばれる子供たちで、イスラム教の高僧(マラブー)のもと修行中の身で交差点での活動は「托鉢」に相当するものである・・・というのが建前上の説明で、事実、相互扶助精神が旺盛なイスラム社会では、それなりの額が集まるとも聞いた。
が、タリベ達の姿をよく見ると泥にまみれ穴ぼこだらけの民族衣装に裸足ということも多く、更なるセーフティネットが求められるのも明らかだった。
ある日、旧知のダカール大学教授が保健社会局の局長に就任したというのでお祝いがてらオフィスを訪ねたら、得々と計画を説明してくれた。救急車整備・廃棄物処理場と並んで、このタリベ対策も盛り込まれている。シェルターの提供・臨床心理士によるカウンセリング、家具職人や修理業などの職業訓練などのプログラムを作成中で、「赤い空缶」以外に糊口をしのぐ手段を提供しようとの趣旨である。官民イスラム一体となったセーフティネットに支えられアフリカの子供たちはたくましく育ってゆく。
日本国のセーフティネットも、イスラム諸国に笑われない程度には再建されねばと思いつつ、赤い空缶ならぬ羽根を受け取った。
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次回は10月20日です。兵庫県の方はお楽しみに
神戸新聞10月2日夕刊一面