エジプトのAl-Honsanya, Sharkea Governorateにて2歳児の鳥インフルエンザ発生、H5N1確定です。
4月13日発症、翌14日入院で現在加療中。
鳥との接触歴確認。
これでエジプトのヒト感染は50例になりました(犠牲者は22名)。
ソースは4月17日付WHO↓
http://www.who.int/csr/don/2008_04_17/en/index.html
2歳児といえば、よちよち歩きを始めていくばくかの時期です。この時期、エリクソンのいう「基本的信頼」を獲得すべき時期で、ワァーと泣いたらお母さんがすぐ抱っこしてくれる、ミルクを与えてくれる、その”安心感”を獲得すべき時期です。お母さんが目の前から姿を一時的に姿を消しても、ワァーと泣いたらお母さんがすぐ現れ、お母さんが居なくなったわけではないことを確認する「対象の永続性獲得」の時期です(ピアジェの思考段階発達説)。
こんな時期に、お母さんから離され、ひとり隔離病棟に入院させられたこの2歳児の心の傷が懸念されます。
このエジプトや隣のスーダンではco-patientという制度があり、「一人部屋」の病室には2つベッドがあります。入院生活を家族とともにおくり、家族はケアのしかたを学んでスムースな退院に結び付けられるスグレモノですが、鳥インフルエンザでこのような適用がなされるとは常識的に考えられず、心の傷が懸念されるものです。
わが国に新型インフルエンザが入ったら、64万人が亡くなったら(別の試算で210万人が亡くなったら)、膨大な数の喪失体験が発生し、膨大なトラウマが発生するはずです。パンデミックに向けて「こころのサポート」体制を今から検討する必要があるのではと考えます。