新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

紀州で雑感(パンデミック対策)

2008-08-30 00:19:57 | 旅で考えた/現地レポート

 一昨日から今日まで、郷里の施設で実習(精神保健福祉士/社会福祉士)に励む学生君達の巡回指導に回っていました。 太平洋を眺めながら紀勢線にゴトゴトゆられて南下し御坊市へ、2ヶ所ばかし福祉施設にお邪魔してから日本横断!で日本海側の但馬で病院、そして生野峠を越えてまた瀬戸内側へ・・・

 紀伊半島の小さな街で想ったこと・・
「今すすめられている新型インフルエンザ対策は東京の人が東京の空気を吸いながら東京の風景を眺めながら東京のオフィスの机の上で考えているだけでは??との懸念でした。

 

たとえばこの写真、御坊駅の片隅にひっそり身を寄せる「日本一短い鉄道」こと紀州鉄道のレールバス。たった1両のミニ車体に5人の乗客を乗せて草むらに埋もれた線路をカッタンコットン。 こんな車内に咳をする人がいても乗客間は2メートルはゆうに離れているのでまあ、飛沫感染はないでしょう。5人の乗客、私をのぞけば地元のおばあちゃんに主婦風のご婦人。このレールバスが無ければ生活成り立たず(と多分思う)。
 新型インフルエンザ対策で「ただちに電車を止めよ!」と大声で叫ぶ人々がいます。大きな活字になっただけで岡田氏、横浜市長、、、国土交通省の結論はまだですがいずれそういう方向にはなるでしょう。まあ、私だって反対はしません。ただ、こういう人達の頭の中で思い浮かぶ「電車」というのは山手線だったり地下鉄だったりで、こういう「人畜無害な生活必要鉄道」というものはズボッ!と抜け落ちていなければ良いがなと、「東京スタンダードの”全国一律の禁止規則”」の押し付けになれねば良いがな・・と懸念は否定しきれないのです。

 そして、小規模授産施設に行くと、状態の良い障害者たちが、回収された空き缶やペットボトルの選別作業に汗を流しています。街に配置したボックスから回収した資源から、数少ない唯一の現金収入を得る。ホントに唯一の現金収入。 厚労省の「事業場・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」25頁には「不要不急の業務については可能な限り縮小・休止することがのぞましい」とあります。まあ、これは正論にて反対のしようがありません。正論なんですが、本省の机の上でこの文章を起案した人、新型インフルエンザ対策室で午前2時3時まで過労死寸前になっている人の頭の中で、こういう事を考える物理的余力があるのか。ズボッ!と抜け落ちていなければ良いがと・・ 精神障害・身体障害、障害福祉局、すなわち、新型インフルエンザ対策室とは違う局で扱われています。霞ヶ関で違う局とは違う会社と≒ですから、懸念するばかりです。

 今、日本の新型インフルエンザ世論をリードしている人々・・・田代・岡田氏はじめ国立感染研の人々、厚労省新型インフルエンザ対策室の人々、押谷氏・・・こういう方々の交際範囲というか、朝から晩までに会って話す方々は「賢い人々」で占められてるのではないか・・

 実習巡回大旅行で十数時間も海山を車窓にガッタンゴットン揺られていると、色々なこと考えてしまったようです(苦笑)。

 当ブログでは時折「イナカの視点」も思いついたら書いてゆこうと思っています。

 

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