浦佐駅を魚沼市の無料シャトルバスで出発。
この午後1便の終点が温泉。石川雲蝶の作品見たらそのまま温泉でも浸かりに行こうかなー♪。
なんて考えていました。
雪深い、というより雪が私の背丈以上に積もっている道を走りながら目的地・永林寺に到着。
シャトルバスはここで20分停車して、お客さんを観光させてくれるシステム。
さ、20分後の出発まで堪能するかーっ。見たら再び乗車してめざせ温泉。
拝観料を払ってお堂の中へ。
待っていたのは…「美」の世界。
今にも動きだしそうな鮮やかな孔雀の欄間。
100年前に造られたとは思えない、迫力の龍の顔。
御本尊の上部に施された「カリョウビンカ」と呼ばれる、上半身が菩薩で下半身が鳥の2対の彫り物。
今にもフワフワと宙を優雅に舞いそうで…。
(写真撮影禁止だったので、紹介出来ないのが残念)。
そして。
ある欄間にワタシは声を失った。
(↑観光パンフより)
あああああっ写真じゃ全然伝わらない!!悔しいぃぃぃっ!!。
この天女の欄間が、美しすぎてボー然としてしまった。
どぉーーーん、と天女が太鼓を鳴らし。
豊かな和音の笙の音が、美しい唇から放たれて。
白魚のようなその指で、高い音色の笛がなる・・・。
天女の欄間を凝視していると、まるでその演奏が聞こえてきそうになった。
うつくしい。うつくしすぎる!!。
見上げたワタシはぽかーんと口を開けて、しばらく動けなかった。
「心を奪われる」というのは、きっとこういう状態なんや。
どれぐらい時間がたったのか、足音がしてお寺のひとがやってきた。
「バス出ますよ」と言われた。
もう20分たったのか!?。
いやいや、もっと見ていたいっ。離れたくない。
シャトルバスの人に声をかけて、ここで下車させてもらうことにした。
温泉も行きたかったが、今はこのままでいたい。
お寺の人に「あとはタクシーしか足ないですよ」と言われたけど、今はこの天女をとにかく見たい。
誰もいなくなったお堂で、ザックを下して天女の欄間をひとり占め。
斜め下から天女の横顔を覗くと、憂いを秘めたその表情にうっとりする。
貴婦人の手のように美しく、なおかつ生命力がその指に溢れていた。
動いてもいい。むしろ、動いて欲しい。
ワタシは完全に、この天女たちに恋をした。同性ながら。
もうひとつの天女の欄間は、裏側から見るとなんと天女の背中が露わになっている!!。
帰宅してから調べたら、こういう肌をみせた天女というのはすごく珍しいらしい。
でもね・・・この背中。決して美女の背中じゃなかったんですよ。
どちらかというと、母親の背中だった。
それが、ものすごーく印象的で。
正面から見た天女は、まぎれもなく美しい飛翔でありながら。
後ろ姿が母親という。
いやいや、何度表裏と移動しながら見たことか。
感動の波に溺れながら、しかし身体はどんどん冷え切っていく。
西福寺同様、お堂の中って凄まじく底冷えする。
もう足の裏の感覚はない。
でも、でも。帰りたくない。この目に焼き付けたい。
こうな感情は久しぶりだった。
そのとき。ふと、廊下に永林寺の写真集が置いてあるのをみてパラパラと手にとった。
おー、買って帰ろう。と写真集を閉じたときのこと。
お堂の奥の扉が…スーッと開いた。
ん??。んんんん????。誰か…来た??。足音しなかったよ。
そろ~っと扉を覗きこんだが。誰もいない。
き、気のせいよな??。
もう一度写真集に目を向けると、またわずかに風が吹き込んですーっと扉が開いた。
ザザザザ…と血の気が引く。
そう言えば、さっきから何回も堂内に置いてある豆の袋が落ちた。
「気のせい、気のせい」と呟いてみるも、ゾワゾワしてきた。
開いた扉がパタン、と閉じたとき。超特急で床のザックを拾い上げて、写真集を抱えて一目散に堂内から走り出した!!。
すいませーんっ!!すいませーんっ!!。
大声で拝観料を払った入口で叫び、ようやく出てきたお寺のご婦人に写真集代を手渡した。
「あ、あのあのっ!!奥の扉が…勝手に開いたんですけどっ…」
たぶんこのときメッチャてんぱった顔してたぞ、ワタシ。
「ああ」とお寺の方。
「風で開くんですよ」。
な、なんだ…そうだったのか…。良かった~。ははは。ははは。
後で考えると、まあそうだったのかもしれへんけど。
天女のいたずらだったのかも、と思った方がなんだかロマンチックかも。
この旅は石川雲蝶と出会い、石川雲蝶に魅せられた旅でした。
これだから旅は素晴らしい♪。
西福寺開山堂の天井彫刻の迫力も、永林寺の天女たちも。
ワタシの中では宝石のように輝きつづけ、きっと年老いた日にも鮮やかにこの感動を思い出せる。
旅人で本当に良かったよ。
そして自分の旅力が衰えていなかったことに、ホッとしました。
帰ってから石川雲蝶の本を図書館で借りたら、新潟県内に雲蝶の作品がまだまだ沢山あるらしい!!。
み、みたい~っ!!。全て見たい!!。
今度は雪のない季節に西福寺の山門の彫刻だって見たいし
何時間も天女たちと一緒にいたい。
嗚呼、また旅に出るときは行き先新潟で決まりやな(笑)。
この午後1便の終点が温泉。石川雲蝶の作品見たらそのまま温泉でも浸かりに行こうかなー♪。
なんて考えていました。
雪深い、というより雪が私の背丈以上に積もっている道を走りながら目的地・永林寺に到着。
シャトルバスはここで20分停車して、お客さんを観光させてくれるシステム。
さ、20分後の出発まで堪能するかーっ。見たら再び乗車してめざせ温泉。
拝観料を払ってお堂の中へ。
待っていたのは…「美」の世界。
今にも動きだしそうな鮮やかな孔雀の欄間。
100年前に造られたとは思えない、迫力の龍の顔。
御本尊の上部に施された「カリョウビンカ」と呼ばれる、上半身が菩薩で下半身が鳥の2対の彫り物。
今にもフワフワと宙を優雅に舞いそうで…。
(写真撮影禁止だったので、紹介出来ないのが残念)。
そして。
ある欄間にワタシは声を失った。
(↑観光パンフより)
あああああっ写真じゃ全然伝わらない!!悔しいぃぃぃっ!!。
この天女の欄間が、美しすぎてボー然としてしまった。
どぉーーーん、と天女が太鼓を鳴らし。
豊かな和音の笙の音が、美しい唇から放たれて。
白魚のようなその指で、高い音色の笛がなる・・・。
天女の欄間を凝視していると、まるでその演奏が聞こえてきそうになった。
うつくしい。うつくしすぎる!!。
見上げたワタシはぽかーんと口を開けて、しばらく動けなかった。
「心を奪われる」というのは、きっとこういう状態なんや。
どれぐらい時間がたったのか、足音がしてお寺のひとがやってきた。
「バス出ますよ」と言われた。
もう20分たったのか!?。
いやいや、もっと見ていたいっ。離れたくない。
シャトルバスの人に声をかけて、ここで下車させてもらうことにした。
温泉も行きたかったが、今はこのままでいたい。
お寺の人に「あとはタクシーしか足ないですよ」と言われたけど、今はこの天女をとにかく見たい。
誰もいなくなったお堂で、ザックを下して天女の欄間をひとり占め。
斜め下から天女の横顔を覗くと、憂いを秘めたその表情にうっとりする。
貴婦人の手のように美しく、なおかつ生命力がその指に溢れていた。
動いてもいい。むしろ、動いて欲しい。
ワタシは完全に、この天女たちに恋をした。同性ながら。
もうひとつの天女の欄間は、裏側から見るとなんと天女の背中が露わになっている!!。
帰宅してから調べたら、こういう肌をみせた天女というのはすごく珍しいらしい。
でもね・・・この背中。決して美女の背中じゃなかったんですよ。
どちらかというと、母親の背中だった。
それが、ものすごーく印象的で。
正面から見た天女は、まぎれもなく美しい飛翔でありながら。
後ろ姿が母親という。
いやいや、何度表裏と移動しながら見たことか。
感動の波に溺れながら、しかし身体はどんどん冷え切っていく。
西福寺同様、お堂の中って凄まじく底冷えする。
もう足の裏の感覚はない。
でも、でも。帰りたくない。この目に焼き付けたい。
こうな感情は久しぶりだった。
そのとき。ふと、廊下に永林寺の写真集が置いてあるのをみてパラパラと手にとった。
おー、買って帰ろう。と写真集を閉じたときのこと。
お堂の奥の扉が…スーッと開いた。
ん??。んんんん????。誰か…来た??。足音しなかったよ。
そろ~っと扉を覗きこんだが。誰もいない。
き、気のせいよな??。
もう一度写真集に目を向けると、またわずかに風が吹き込んですーっと扉が開いた。
ザザザザ…と血の気が引く。
そう言えば、さっきから何回も堂内に置いてある豆の袋が落ちた。
「気のせい、気のせい」と呟いてみるも、ゾワゾワしてきた。
開いた扉がパタン、と閉じたとき。超特急で床のザックを拾い上げて、写真集を抱えて一目散に堂内から走り出した!!。
すいませーんっ!!すいませーんっ!!。
大声で拝観料を払った入口で叫び、ようやく出てきたお寺のご婦人に写真集代を手渡した。
「あ、あのあのっ!!奥の扉が…勝手に開いたんですけどっ…」
たぶんこのときメッチャてんぱった顔してたぞ、ワタシ。
「ああ」とお寺の方。
「風で開くんですよ」。
な、なんだ…そうだったのか…。良かった~。ははは。ははは。
後で考えると、まあそうだったのかもしれへんけど。
天女のいたずらだったのかも、と思った方がなんだかロマンチックかも。
この旅は石川雲蝶と出会い、石川雲蝶に魅せられた旅でした。
これだから旅は素晴らしい♪。
西福寺開山堂の天井彫刻の迫力も、永林寺の天女たちも。
ワタシの中では宝石のように輝きつづけ、きっと年老いた日にも鮮やかにこの感動を思い出せる。
旅人で本当に良かったよ。
そして自分の旅力が衰えていなかったことに、ホッとしました。
帰ってから石川雲蝶の本を図書館で借りたら、新潟県内に雲蝶の作品がまだまだ沢山あるらしい!!。
み、みたい~っ!!。全て見たい!!。
今度は雪のない季節に西福寺の山門の彫刻だって見たいし
何時間も天女たちと一緒にいたい。
嗚呼、また旅に出るときは行き先新潟で決まりやな(笑)。